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わたしと家族と座敷わらし
鞠助怯えている
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「あはは、鞠助ってばわたしのことが怖いのかな? あ、でも見えていないんだよね」
座敷童子は鞠助のちょっと青白くなっている顔をじっと見つめて言った。
「な、なんか視線を感じるぞ。ま、まさか……」
鞠助は口をパクパクさせている。次の言葉が出てこないほど怯えているようだ。お化けでも居ると思っているのかな? そんな鞠助のことがちょっとだけ可哀想に思えてきた。
なのでわたしは……。
「座敷童子、あんまり鞠助を怖がらせないであげてね」と言ってしまった。
すると、鞠助の青白くなった顔をじっと見ていた座敷童子が視線をわたしに移し、「うふふ、弟想いなんだね」と言って笑った。
「べ、別にそんなことないけど……」
「そんなことないけど本当は仲良くしたいんだよね」
座敷童子はそう言ってクスクスと笑った。
図星だった……。だからわたしは何も言い返せない。ちょっと悔しいけれど仕方がないや。
「鞠助、お化けじゃないよ。ここに居るのはちょっと意地悪な座敷童子だよ」
わたしは、鞠助の頭をそっと撫でながら言った。
「鞠姉ちゃん……お化けじゃないんだね。よ、良かった」
わたしより身長の低い鞠助が見上げながら言った。
「うん、お化けじゃないから安心してね」
いつもより優しい声で答えることができた。そんな自分にびっくりしたのと同時になんだか優しい気持ちになれたことが嬉しくて誇らしかった。
鞠助が幼稚園に上がる前はこんな感じだったかな。懐かしさがじわじわと込み上げてきた。
まだ子供のわたし達はどんどん大人に近づいていく。今はわたしより身長の低い鞠助。けれど数年後にはきっと、身長を追い越されるだろう。
「おい、鞠姉ちゃん。いつまで俺の頭を撫でているんだよ」
「えっ! あ、あはは。だって、鞠助がお化けを怖がっていたからね」
わたしは鞠助の頭を優しくぽんぽんと叩き笑ってみせた。
「こ、怖がってないもん。い、いや……ちょっとだけ怖がっていたかもしれないけど」
鞠助は頬を膨らませわたしを睨んだ。
「あはは、強がらなくてもいいんだよ」
「つ、強がってなんかいないよ」
「そっかな? でも鞠助仲良くしようよ。わたしはこんなお姉ちゃんだけどね……」
わたしは嫌がる鞠助の頭をもう一度撫でながら「ねっ」と言って笑ってみせた。
座敷童子は鞠助のちょっと青白くなっている顔をじっと見つめて言った。
「な、なんか視線を感じるぞ。ま、まさか……」
鞠助は口をパクパクさせている。次の言葉が出てこないほど怯えているようだ。お化けでも居ると思っているのかな? そんな鞠助のことがちょっとだけ可哀想に思えてきた。
なのでわたしは……。
「座敷童子、あんまり鞠助を怖がらせないであげてね」と言ってしまった。
すると、鞠助の青白くなった顔をじっと見ていた座敷童子が視線をわたしに移し、「うふふ、弟想いなんだね」と言って笑った。
「べ、別にそんなことないけど……」
「そんなことないけど本当は仲良くしたいんだよね」
座敷童子はそう言ってクスクスと笑った。
図星だった……。だからわたしは何も言い返せない。ちょっと悔しいけれど仕方がないや。
「鞠助、お化けじゃないよ。ここに居るのはちょっと意地悪な座敷童子だよ」
わたしは、鞠助の頭をそっと撫でながら言った。
「鞠姉ちゃん……お化けじゃないんだね。よ、良かった」
わたしより身長の低い鞠助が見上げながら言った。
「うん、お化けじゃないから安心してね」
いつもより優しい声で答えることができた。そんな自分にびっくりしたのと同時になんだか優しい気持ちになれたことが嬉しくて誇らしかった。
鞠助が幼稚園に上がる前はこんな感じだったかな。懐かしさがじわじわと込み上げてきた。
まだ子供のわたし達はどんどん大人に近づいていく。今はわたしより身長の低い鞠助。けれど数年後にはきっと、身長を追い越されるだろう。
「おい、鞠姉ちゃん。いつまで俺の頭を撫でているんだよ」
「えっ! あ、あはは。だって、鞠助がお化けを怖がっていたからね」
わたしは鞠助の頭を優しくぽんぽんと叩き笑ってみせた。
「こ、怖がってないもん。い、いや……ちょっとだけ怖がっていたかもしれないけど」
鞠助は頬を膨らませわたしを睨んだ。
「あはは、強がらなくてもいいんだよ」
「つ、強がってなんかいないよ」
「そっかな? でも鞠助仲良くしようよ。わたしはこんなお姉ちゃんだけどね……」
わたしは嫌がる鞠助の頭をもう一度撫でながら「ねっ」と言って笑ってみせた。
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