36 / 57
わたしと家族と座敷わらし
ぽーんぽーん
しおりを挟む
ぽーん、ぽーんと鞠をつく音。
そうこの音は、もう嫌な予感しかしない。ぽーん、ぽーん、ぽんぽんぽんぽーん。
「鞠姉ちゃんどうしたんだよ? 怖い顔しちゃってさ」
「あ、うん。ちょっとね……鞠助には聴こえないのかな?」
「はぁ? 聴こえないって何が?」鞠助は怪訝そうな顔でわたしを見る。
「ぽ~ん、ぽ~んと鞠をつくような音だよ」
「はぁ? 鞠をつく音なんて聴こえないぞ」
「そっか、鞠助にはやっぱり聴こえないんだね」
「何がやっぱりなんだよ?」
鞠助は眉根を寄せる。その時、ぽーん、ぽーんと鞠をつく音と共におかっぱ頭に赤色のちゃんちゃんこ姿の座敷童子が鞠をつきながらこちらに歩いてきた。
「座敷童子!」わたしは大きな声を上げた。
そんなわたしのことを座敷童子はニヤリと笑い見ている。
「なあ、座敷童子ってなんだよ?」
「座敷童子どうしてここに居るの?」
わたしは、鞠助の質問を無視して座敷童子に尋ねた。
「うふふ、お姉さんと鞠助の登校を見守っていたんだよ~」
座敷童子は鞠を抱えにっこりと笑った。その笑顔は可愛らしいけれどちょっと不気味でもあった。
「わたしと鞠助の登校を見守っていたって家からついてきたの?」
「さあね……どうなんでしょう」と座敷童子はどちらにも取れる言い回しをした。
「おい、鞠姉ちゃん誰と喋っているんだよ」
鞠助が大きな声を出し聞いてくる。
わたしは座敷童子のことを言ってもいいかなと迷いながら「そこに赤色のちゃんちゃんこを着たおかっぱ頭の女の子が居るでしょう」と言いながら座敷童子を指差した。
「えっ? 赤色のちゃんちゃんこにおかっぱ頭の女の子? 居ないぞ……」
鞠助は神社の境内をキョロキョロと見回し言った。
「あはは、鞠助にはわたしが見えないみたいね。まだね」
座敷童子が言ったまだねと言う言葉がちょっと気になった。まだねと言うことはこれから見えるのかな?
わたしは首を傾げながら座敷童子の顔を見て「鞠助にもそのうち座敷童子が見えるってことかな?」と呟いた。
「うん、わたしが見えるかもしれない見えないかもしれないね」
座敷童子はそう言って意味深な微笑みを浮かべた。
「お、おい、座敷童子って一体なんだよ?」
鞠助のその顔は少し青白くなっていた。
そうこの音は、もう嫌な予感しかしない。ぽーん、ぽーん、ぽんぽんぽんぽーん。
「鞠姉ちゃんどうしたんだよ? 怖い顔しちゃってさ」
「あ、うん。ちょっとね……鞠助には聴こえないのかな?」
「はぁ? 聴こえないって何が?」鞠助は怪訝そうな顔でわたしを見る。
「ぽ~ん、ぽ~んと鞠をつくような音だよ」
「はぁ? 鞠をつく音なんて聴こえないぞ」
「そっか、鞠助にはやっぱり聴こえないんだね」
「何がやっぱりなんだよ?」
鞠助は眉根を寄せる。その時、ぽーん、ぽーんと鞠をつく音と共におかっぱ頭に赤色のちゃんちゃんこ姿の座敷童子が鞠をつきながらこちらに歩いてきた。
「座敷童子!」わたしは大きな声を上げた。
そんなわたしのことを座敷童子はニヤリと笑い見ている。
「なあ、座敷童子ってなんだよ?」
「座敷童子どうしてここに居るの?」
わたしは、鞠助の質問を無視して座敷童子に尋ねた。
「うふふ、お姉さんと鞠助の登校を見守っていたんだよ~」
座敷童子は鞠を抱えにっこりと笑った。その笑顔は可愛らしいけれどちょっと不気味でもあった。
「わたしと鞠助の登校を見守っていたって家からついてきたの?」
「さあね……どうなんでしょう」と座敷童子はどちらにも取れる言い回しをした。
「おい、鞠姉ちゃん誰と喋っているんだよ」
鞠助が大きな声を出し聞いてくる。
わたしは座敷童子のことを言ってもいいかなと迷いながら「そこに赤色のちゃんちゃんこを着たおかっぱ頭の女の子が居るでしょう」と言いながら座敷童子を指差した。
「えっ? 赤色のちゃんちゃんこにおかっぱ頭の女の子? 居ないぞ……」
鞠助は神社の境内をキョロキョロと見回し言った。
「あはは、鞠助にはわたしが見えないみたいね。まだね」
座敷童子が言ったまだねと言う言葉がちょっと気になった。まだねと言うことはこれから見えるのかな?
わたしは首を傾げながら座敷童子の顔を見て「鞠助にもそのうち座敷童子が見えるってことかな?」と呟いた。
「うん、わたしが見えるかもしれない見えないかもしれないね」
座敷童子はそう言って意味深な微笑みを浮かべた。
「お、おい、座敷童子って一体なんだよ?」
鞠助のその顔は少し青白くなっていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち
鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。
心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。
悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。
辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。
それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。
社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ!
食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて……
神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!
おっ☆パラ
うらたきよひこ
キャラ文芸
こんなハーレム展開あり? これがおっさんパラダイスか!?
新米サラリーマンの佐藤一真がなぜかおじさんたちにモテまくる。大学教授やガテン系現場監督、エリートコンサル、老舗料理長、はたまた流浪のバーテンダーまで、個性派ぞろい。どこがそんなに“おじさん心”をくすぐるのか? その天賦の“モテ力”をご覧あれ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
MIDNIGHT
邦幸恵紀
キャラ文芸
【現代ファンタジー/外面のいい会社員×ツンデレ一見美少年/友人以上恋人未満】
「真夜中にはあまり出歩かないほうがいい」。
三月のある深夜、会社員・鬼頭和臣は、黒ずくめの美少年・霧河雅美にそう忠告される。
未成年に説教される筋合いはないと鬼頭は反発するが、その出会いが、その後の彼の人生を大きく変えてしまうのだった。
◆「第6回キャラ文芸大賞」で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。

怪しい二人 美術商とアウトロー
暇神
キャラ文芸
この街には、都市伝説がある。魔法の絵があるらしい。それらを全て揃えれば、何だってできるとされている。だが注意しなければならない。魔法の絵を持つ者は、美術商に狙われる。
毎週土日祝日の、午後八時に更新します。ぜひ読んで、できればご感想の程、よろしくお願い申し上げます。
わがままだって言いたくなる
もちっぱち
キャラ文芸
前作に登場する
【稼げばいいってわけじゃない】の
専業主婦の小松果歩が主役でお届けします。
その後の状況を
物語にしました。
初めての方でも
読みやすくなっているので
ぜひご覧ください。
榊原絵里香の転生後のお話です。
榊原 晃が小松 晃となっています。
それはなぜかは本編を
読んでみてください。
表紙絵 せつむし 様
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる