座敷童子が見える十四歳のわたしと二十七歳のナオカちゃん

なかじまあゆこ

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わたしと家族と座敷わらし

ぽーんぽーん

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  ぽーん、ぽーんと鞠をつく音。

  そうこの音は、もう嫌な予感しかしない。ぽーん、ぽーん、ぽんぽんぽんぽーん。

「鞠姉ちゃんどうしたんだよ?  怖い顔しちゃってさ」

「あ、うん。ちょっとね……鞠助には聴こえないのかな?」

「はぁ?  聴こえないって何が?」鞠助は怪訝そうな顔でわたしを見る。

「ぽ~ん、ぽ~んと鞠をつくような音だよ」
「はぁ?  鞠をつく音なんて聴こえないぞ」
「そっか、鞠助にはやっぱり聴こえないんだね」
「何がやっぱりなんだよ?」

  鞠助は眉根を寄せる。その時、ぽーん、ぽーんと鞠をつく音と共におかっぱ頭に赤色のちゃんちゃんこ姿の座敷童子が鞠をつきながらこちらに歩いてきた。

「座敷童子!」わたしは大きな声を上げた。

  そんなわたしのことを座敷童子はニヤリと笑い見ている。

「なあ、座敷童子ってなんだよ?」

「座敷童子どうしてここに居るの?」

  わたしは、鞠助の質問を無視して座敷童子に尋ねた。

「うふふ、お姉さんと鞠助の登校を見守っていたんだよ~」

  座敷童子は鞠を抱えにっこりと笑った。その笑顔は可愛らしいけれどちょっと不気味でもあった。

「わたしと鞠助の登校を見守っていたって家からついてきたの?」

「さあね……どうなんでしょう」と座敷童子はどちらにも取れる言い回しをした。

「おい、鞠姉ちゃん誰と喋っているんだよ」

  鞠助が大きな声を出し聞いてくる。

  わたしは座敷童子のことを言ってもいいかなと迷いながら「そこに赤色のちゃんちゃんこを着たおかっぱ頭の女の子が居るでしょう」と言いながら座敷童子を指差した。

「えっ?  赤色のちゃんちゃんこにおかっぱ頭の女の子?  居ないぞ……」

  鞠助は神社の境内をキョロキョロと見回し言った。

「あはは、鞠助にはわたしが見えないみたいね。

  座敷童子が言ったまだねと言う言葉がちょっと気になった。まだねと言うことはこれから見えるのかな?

  わたしは首を傾げながら座敷童子の顔を見て「鞠助にもそのうち座敷童子が見えるってことかな?」と呟いた。

「うん、わたしが見えるかもしれない見えないかもしれないね」 

  座敷童子はそう言って意味深な微笑みを浮かべた。

「お、おい、座敷童子って一体なんだよ?」

  鞠助のその顔は少し青白くなっていた。
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