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わたしと家族と座敷わらし
仲良くしようよ
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「はぁ? 鞠姉ちゃんちゃんなんかと仲良しじゃないよ」
「それはこっちの台詞だよ。こんな生意気な弟なんかと仲良くできないよ!」
わたしと鞠助は睨み合う。
「はいはい、喧嘩しないで仲良くするのよ」
おばあちゃんが笑いながら言った。
わたしは鞠助と本当は仲良くしたいなと思っている。それからお姉ちゃんとも。だけど、なかなか難しい。
わたしは、ふぅーと溜め息をつきながら紅茶を飲んだ。おばあちゃんの淹れてくれた紅茶が温かくてほっとする。
「鞠助、学校途中まで一緒に行こうよ」
「えっ?」
「わたしが小学生の頃は一緒に登校したよね」
「それは俺が一年生の頃のことだよね?」
鞠助はふぅーと溜め息をつきながら言った。
「そうだったかな? たまにはいいじゃない」
「う~ん、まあ一緒に登校してやってもいいけど特別にだよ」
鞠助は嫌そうに眉間に皺を寄せる。
「あはは、じゃあ決まり~学校に行こう!」
わたしは満面の笑みを浮かべ鞠助の顔を見た。
「鞠姉ちゃん、その笑顔めちゃくちゃ気持ち悪いよ」
鞠助の奴は憎たらしいことを言うけれど、今日は特別に怒らないであげるよ。
玄関の前で「いってらっしゃい」と手を振るおばあちゃんに見送られたわたしと鞠助は手を振り返し元気よく学校に向かう。
とは言っても手を振り返したのはわたしだけなのだけどね……。鞠助は「いってきます」しか言わないんだから。可愛くない奴だ。
「ねえ、鞠助、こうして一緒に登校するのって久しぶりだね」
「うん、そうだね」
「わたし間違って小学校に登校しちゃいそうだよ」
わたしは小学生時代の幼き頃を思い出しうふふと笑う。鞠助の背負っているランドセルを眺めると小学生の頃が懐かしくて心がきゅっとなる。まだ、小学校を卒業して二年しか経っていないのにだ。
「鞠姉ちゃんは、中学校の制服を着ていなかったら小学校に登校しても違和感ないかもな」
鞠助がケラケラと笑いながらわたしの顔を見る。
「ちょっと、それって酷くない?」
わたしは鞠助の顔をギロッと睨む。
「そう言う鞠助だってランドセルを背負ってなかったら幼稚園児に見えたりしてね~」
わたしは鞠助の小学六年生にしては幼くて可愛い顔を見て笑い性格が悪魔じゃなかったら可愛がってあげるのになと思った。
「はぁ? 幼稚園児ってふざけてるのかよ。アホか。見えるわけないだろ。小学生鞠め!」
「はぁ? わたしは中学生です。鞠って呼び捨てにしたな」
「じゃあさ、中学生らしくしなよね」
「ふん! ほっといてよ。そっちこそもっと可愛くなりなよ」
わたしと鞠助は鼻息を荒くしながら言い合いをした。ムカつくけれど喧嘩ができることは姉弟らしくてちょっと良いかなと思った。
はぁはぁと息遣いを荒くしながら通学路を歩くわたしと鞠助。
「鞠姉ちゃんと学校に行くことになるなんてな。友達に見られたらなんて言われるかわからないぜ」
「友達のことなんて気にしなければいいのよ。なんか姉と弟って感じで良くな~い!」
わたしはにっこりと笑う。
「ふん! バカらしいよ」
「本当は嬉しいくせに」
「鞠姉ちゃんはアホなの?」
「えっ? アホって失礼な子だね」
なんて鞠助と会話をしながら通学路を歩いていると神社の通りに差し掛かる。そして神社の境内に入る。いつも学校に行く近道になるので通り抜けているのだ。
いつも思うのだけど神社には澄んだ空気が漂っているなと感じる。わたしはすうーと鼻から澄んだ空気を吸い込んだ。
その時、何処かからぽーん、ぽーんと鞠をつく音が聞こえてきた。
「それはこっちの台詞だよ。こんな生意気な弟なんかと仲良くできないよ!」
わたしと鞠助は睨み合う。
「はいはい、喧嘩しないで仲良くするのよ」
おばあちゃんが笑いながら言った。
わたしは鞠助と本当は仲良くしたいなと思っている。それからお姉ちゃんとも。だけど、なかなか難しい。
わたしは、ふぅーと溜め息をつきながら紅茶を飲んだ。おばあちゃんの淹れてくれた紅茶が温かくてほっとする。
「鞠助、学校途中まで一緒に行こうよ」
「えっ?」
「わたしが小学生の頃は一緒に登校したよね」
「それは俺が一年生の頃のことだよね?」
鞠助はふぅーと溜め息をつきながら言った。
「そうだったかな? たまにはいいじゃない」
「う~ん、まあ一緒に登校してやってもいいけど特別にだよ」
鞠助は嫌そうに眉間に皺を寄せる。
「あはは、じゃあ決まり~学校に行こう!」
わたしは満面の笑みを浮かべ鞠助の顔を見た。
「鞠姉ちゃん、その笑顔めちゃくちゃ気持ち悪いよ」
鞠助の奴は憎たらしいことを言うけれど、今日は特別に怒らないであげるよ。
玄関の前で「いってらっしゃい」と手を振るおばあちゃんに見送られたわたしと鞠助は手を振り返し元気よく学校に向かう。
とは言っても手を振り返したのはわたしだけなのだけどね……。鞠助は「いってきます」しか言わないんだから。可愛くない奴だ。
「ねえ、鞠助、こうして一緒に登校するのって久しぶりだね」
「うん、そうだね」
「わたし間違って小学校に登校しちゃいそうだよ」
わたしは小学生時代の幼き頃を思い出しうふふと笑う。鞠助の背負っているランドセルを眺めると小学生の頃が懐かしくて心がきゅっとなる。まだ、小学校を卒業して二年しか経っていないのにだ。
「鞠姉ちゃんは、中学校の制服を着ていなかったら小学校に登校しても違和感ないかもな」
鞠助がケラケラと笑いながらわたしの顔を見る。
「ちょっと、それって酷くない?」
わたしは鞠助の顔をギロッと睨む。
「そう言う鞠助だってランドセルを背負ってなかったら幼稚園児に見えたりしてね~」
わたしは鞠助の小学六年生にしては幼くて可愛い顔を見て笑い性格が悪魔じゃなかったら可愛がってあげるのになと思った。
「はぁ? 幼稚園児ってふざけてるのかよ。アホか。見えるわけないだろ。小学生鞠め!」
「はぁ? わたしは中学生です。鞠って呼び捨てにしたな」
「じゃあさ、中学生らしくしなよね」
「ふん! ほっといてよ。そっちこそもっと可愛くなりなよ」
わたしと鞠助は鼻息を荒くしながら言い合いをした。ムカつくけれど喧嘩ができることは姉弟らしくてちょっと良いかなと思った。
はぁはぁと息遣いを荒くしながら通学路を歩くわたしと鞠助。
「鞠姉ちゃんと学校に行くことになるなんてな。友達に見られたらなんて言われるかわからないぜ」
「友達のことなんて気にしなければいいのよ。なんか姉と弟って感じで良くな~い!」
わたしはにっこりと笑う。
「ふん! バカらしいよ」
「本当は嬉しいくせに」
「鞠姉ちゃんはアホなの?」
「えっ? アホって失礼な子だね」
なんて鞠助と会話をしながら通学路を歩いていると神社の通りに差し掛かる。そして神社の境内に入る。いつも学校に行く近道になるので通り抜けているのだ。
いつも思うのだけど神社には澄んだ空気が漂っているなと感じる。わたしはすうーと鼻から澄んだ空気を吸い込んだ。
その時、何処かからぽーん、ぽーんと鞠をつく音が聞こえてきた。
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