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わたしと家族と座敷わらし
座敷童子が見えるわたし
しおりを挟むわたしとナオカちゃんにどうして座敷童子が見えるのかわからないけれど、とにかくわたしとナオカちゃんには見えて鞠助には見えないようだ。
わたしとナオカちゃんはあれから座敷童子とお手玉遊びをした。座敷童子は器用に手の甲でお手玉を受けたり、複数のお手玉を投げて遊び自慢げにニヤリと笑ったりした。
三人で歌を歌いながらお手玉をぽーん、ぽーんと投げっこもした。
そう、わたしはなんだかんだ言いながらも座敷童子と遊んで楽しかったのだ。ちょっと悔しいけれど。
自室に戻り机の上にお気に入りのノートを出して日記みたいなものを書いた。
『座敷童子と遊んで楽しかった』ともね。
そんなことを書きながらふと思う。わたしとナオカちゃんは座敷童子に好かれているようだ。恐らくね。そして、鞠助は、
『座敷童子に嫌われてる』とノートに書いてみた。
わたしはなんでかなとぼんやりと考えてみたけれど、わからないからまあいいやと思った。
翌朝目を覚ますと、学習机の上には開きっぱなしのノートが置かれたままだった。その横には中身の小豆がぱらぱらこぼれている手鞠柄のお手玉とナオカちゃんの部屋から持ってきた破れていない手鞠柄のお手玉が置かれている。
「わたしいつの間に寝たんだっけな」
そう呟きながらノートと手鞠柄の破れているお手玉と破れていないお手玉を順番に眺めた。
昨夜はナオカちゃんと座敷童子とこのお手玉で遊び楽しかったな。ああ楽しかったなとわたしは笑みを零す。楽しい時間はあっという間だ。鞠助も一緒に遊べば良かったのにな。
下に降りて行くとふわふわと良い香りが漂っていた。台所を覗くとおばあちゃんがパタパタと動き朝食の準備をしていた。
お母さんと鞠助とそれからお姉ちゃんは椅子に座り紅茶を飲んでいる。ナオカちゃんはまだ寝てるようだ。
「おばあちゃん、お姉ちゃん、鞠助おはよう」と朝の挨拶をしながらわたしは椅子に腰を下ろす。
「おはよう鞠ちゃん、トーストは何枚食べるんだい?」
おばあちゃんはわたしの目の前に目玉焼きを置きながら言った。
「三枚~食べようかな」
「食べ過ぎだよ」とお姉ちゃんがわたしをちらっと見て笑う。
「三枚ね。鞠ちゃんは成長期だもんね。たくさん食べるんだよ」おばあちゃんは優しい笑顔を浮かべ食パンを焼いてくれた。
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