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わたしと家族と座敷わらし
改名した
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「えっ!? この子ナオカちゃまじゃないの?」
ナオカちゃんはいつの間にかわたしのクマのぬいぐるみを手に持ちじっと眺めている。
「あ、その子わたしの部屋から連れてきてたんだね。そうだよ、改名したんだもんね」
「改名したの? 本当に……じゃあ今はなんて名前なのかな?」
ナオカちゃんはクマのぬいぐるみをくいっとわたしの目の前に持ってきて尋ねた。
「えっとそれは……」
「それは?」
「ナオちゃんだよ……」
「ナオカちゃまからナオちゃんに改名したの?」
「うん、そうだよ」
「ふ~ん、そうなんだ」
「うん、今はナオちゃんなんだもんね」
わたしはフフンと笑ってみせた。けれどナオちゃんもちょっとねと焦る。
「そうなんだね。改名と言うか呼び名を短縮したんだね」
やっぱりナオカちゃんはちょっと可笑しそうに笑う。
「うん、って言うか改名だもん」
「わかったよ。改名だね。ナオちゃん呼びも可愛いね。こまたん、このナオちゃんを大切にするんだよ」
ナオカちゃんは柔らかい笑みを浮かべナオちゃんを差し出した。ナオちゃんを受け取ると懐かしい匂いがした。
「ねえ、ナオカちゃん見てみてくーまたんとナオちゃんを並べたよ」
わたしはナオカちゃんのところどころ黒ずみ生地も薄くなり年季が入っているくーまたんとわたしのナオちゃんを並べたのだ。
「あはは、こまたんってば何してるのよ」
ナオカちゃんは笑いながらくーまたんとナオちゃんの頭を撫でた。なんだか幼きあの日にタイムスリップした感覚に陥りわたしの頬が緩んだ。
「わたし、小さい頃くーまたんのこと知っていたらナオちゃんとこうして並べて遊ばしていたな~って思ったんだ」
「あっ! そっか、だよね。じゃあさ今からでも遅くないよ。遊ぼうよ」
「えっ! ナオカちゃんってばお人形さんごっこするの?」
「あはは、そうだよ。でもこまたんがくーまたんとナオちゃんを並べたんでしょう」
ナオカちゃんはそう言って楽しそうに笑った。わたしはまだ中学生だからまだしもナオカちゃんは大人なのになと思うと可笑しくなる。
だけど、大人も子供も関係ないのがナオカちゃんらしさなのだ。
「うん、遊ぼう」わたしもとびっきりの笑みを浮かべた。
わたしとナオカちゃんは小さな子供みたいにぬいぐるみ同士をくっつけ合い遊んだ。
学校の友達に見られたらきっと笑われちゃうかもね。ましてや鞠助やお姉ちゃんが見たら絶対に馬鹿にするだろうなと思った。
まるで昔に戻ったみたいな楽しい時間だった。
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「あ、その子わたしの部屋から連れてきてたんだね。そうだよ、改名したんだもんね」
「改名したの? 本当に……じゃあ今はなんて名前なのかな?」
ナオカちゃんはクマのぬいぐるみをくいっとわたしの目の前に持ってきて尋ねた。
「えっとそれは……」
「それは?」
「ナオちゃんだよ……」
「ナオカちゃまからナオちゃんに改名したの?」
「うん、そうだよ」
「ふ~ん、そうなんだ」
「うん、今はナオちゃんなんだもんね」
わたしはフフンと笑ってみせた。けれどナオちゃんもちょっとねと焦る。
「そうなんだね。改名と言うか呼び名を短縮したんだね」
やっぱりナオカちゃんはちょっと可笑しそうに笑う。
「うん、って言うか改名だもん」
「わかったよ。改名だね。ナオちゃん呼びも可愛いね。こまたん、このナオちゃんを大切にするんだよ」
ナオカちゃんは柔らかい笑みを浮かべナオちゃんを差し出した。ナオちゃんを受け取ると懐かしい匂いがした。
「ねえ、ナオカちゃん見てみてくーまたんとナオちゃんを並べたよ」
わたしはナオカちゃんのところどころ黒ずみ生地も薄くなり年季が入っているくーまたんとわたしのナオちゃんを並べたのだ。
「あはは、こまたんってば何してるのよ」
ナオカちゃんは笑いながらくーまたんとナオちゃんの頭を撫でた。なんだか幼きあの日にタイムスリップした感覚に陥りわたしの頬が緩んだ。
「わたし、小さい頃くーまたんのこと知っていたらナオちゃんとこうして並べて遊ばしていたな~って思ったんだ」
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「あはは、そうだよ。でもこまたんがくーまたんとナオちゃんを並べたんでしょう」
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