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わたしと家族と座敷わらし

鞠助どうした?

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「うん、ちょっとムカつくけどさ、鞠助だったらそう思うんだよなってわかっているからあ、そうなんだと思ったんだよ」

「そっか、わたしはわかっていてもムカッーって怒っちゃうよ!」

「あはは、怒っていいんだよ。わたしも怒っちゃおうかな。だって、やっぱりこまたんのことを疑うなんて酷い子だもんね。こまたんがそんなことするわけないもんね!」

   ナオカちゃんは頬をぷくっーと膨らませ「鞠助の奴めムカつく~」と言って怒った。

  ナオカちゃんは自分の為に怒るのではなくわたしの為に怒っている。そのことが嬉しくて嬉しくてたまらない。

「ナオカちゃん、わたし嬉しいよ」

  わたしはナオカちゃんの透明感のある澄んだ目を見て言った。

「えっ?  嬉しいって何が?」

  ナオカちゃんは不思議そうに首を横に傾げきょとんとしている。

「だって、わたしの為に怒ってくれているんだもん。わたしもね、ナオカちゃんがそんな悪戯するわけないぞって鞠助の奴に頭にきたんだ」

  もう鞠助の憎たらしい顔を思い出しただけでムカムカする。でも、ナオカちゃんが怒ってくれたからわたしは嬉しいのだ。怒っていたはずなのにいつの間にか頬がゆるゆると緩んでいた。


  しばらくの間わたしとナオカちゃんは「鞠助の奴~」と言い合いそして、顔を見合わせ笑った。

  やっぱりわたしとナオカちゃんはどこか似ているなと思う。

「でもさ、そのお手玉不思議だよね。鞠助の奴が自作自演するってことはないはずだしね」

  ナオカちゃんは首を傾げ「あっ!」と声を上げた。

「ん?  ナオカちゃんどうしたの?」
「もしかしたら座敷童子かな?」
「えっ!」
「だって、やっぱり考えられるのは座敷童子だよね?」

  ナオカちゃんはわたしが考えていたことと同じことを言った。

「やっぱりナオカちゃんもそう思う?」

「うん、だって、わたし達じゃないし美鞠ちゃんだとは思えないしね。絶対にあの座敷童子だよ」とナオカちゃんは言った。

「そっか、やっぱり座敷童子だね。でもどうしてお手玉なんて置いたんだろう?」

「悪戯して遊んでいるんじゃない?」

  ナオカちゃんはあははと笑う。

「まあ、あの座敷童子だったらやりかねないね。鞠助は災難だね」

「でもさ、鞠助は座敷童子に遊んでもらうといいんじゃないかな?」

  そうナオカちゃんが言ったその時。

「うわぁ~!!」

  鞠助の叫び声が聞こえてきた。
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