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わたしと家族と座敷わらし

お手玉

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  わたしとナオカちゃんは年は離れているけれど気が合う。本当のお姉ちゃん美鞠よりもずっと。

「でもね、こまたん……」
「ん?  なあに?」

  ナオカちゃんの透明感のある澄んだ綺麗な目がわたしをじっと見る。その目になんだか吸い込まれそうだ。

「勉強も一応しておくのも良いかもだよ。選択肢が増えるからね」

「そうなのかな?  わたし一応勉強してるけどあんまり頭が良くなくいんだよね」

  だから、やる気もなくなるしそれにお母さんに馬鹿だと言われるからなおのこと。

「わたしも勉強できなかったな……鞠ちゃんはわたしに似たんだね」

  なんて言ってナオカちゃんはケラケラと笑う。

「あ、鞠ちゃんって呼んでくれた~」
「そこなんだ……」
「だって、いつもこまたんって呼ぶんだもん」
「いいじゃない。こまたんなんだから」

   なんて言い合いわたしとナオカちゃんは笑った。

「ねえ、それはそうと鞠助とわたしの話をしていなかった?」

「あ、えっと、それはその……お手玉が」


「お手玉?」

   ナオカちゃんは不思議そうに首を横に傾げた。

「うん、手鞠柄のお手玉が鞠助の部屋に十個もあったんだって」

「えっ?  手鞠柄のお手玉が十個も!  あの子にお手玉の趣味なんてあったなんて意外だね」

  ナオカちゃんはどうやら勘違いしているようだ。

「それが違うんだよ。鞠助のお手玉じゃないんだって。部屋にお手玉が十個あったらしいんだけど破れていて中身の小豆が散らばっていたらしいのよ!」

「それは不思議だね?  誰がそんなことをしたんだろうね?」

  やはりナオカちゃんも不思議に思い首を傾げている。ナオカちゃんは犯人なんかじゃない。

「で、もしかしたらわたしがその手鞠柄のお手玉を鞠助の部屋に置いたと疑われているのかな?」

  流石、ナオカちゃんだ。鋭い。

「……うん、それがちょっと言いにくいんだけど、わたしとナオカちゃんを鞠助の奴は疑っているんだよ」

  わたしは鞠助の態度を思い出すとムカムカムカついてきた。

「ふ~ん、そうなんだね」

「そんなにあっさりと……怒らないの?」

  わたしだったら自分が疑われていると聞いたら目を三角にして怒るのになと思った。やっぱりナオカちゃんは人間ができているよ。
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