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わたしと家族と座敷わらし

ナオカちゃんとわたし

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  夕飯を食べ終え自室に戻りわたしは学習机に座り漫画を読んだ。この部屋は元々はナオカちゃんの部屋だった。

  二十歳になったある日ナオカちゃんは一人暮らし宣言をした。当時のわたしは七歳だったので意味が良くわかっていなかったけれど、この家からナオカちゃんが出ていくんだ寂しいなと思った。

  だけど、それまで二つ下の弟の鞠助と同じ部屋だったのでナオカちゃんの部屋を使っていいと言われたわたしは嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねた記憶がある。

  そう喜んだのだけど、ナオカちゃんがこの家から居なくなると寂しくてたまらなかった。学習机に頬杖をつきわたしは懐かしいあの頃を思い出していた。

  ナオカちゃんが高校生だった頃わたしとよく公園で遊んでくれた。あの頃のわたしはまだ小さかったのでナオカちゃんが大人に見えた。

  遊んでくれたと言うかあれは本気で遊んでいた。砂場でわたしと一緒に泥んこになって遊んだりブランコに乗って靴飛ばしもしたな。

『ナオカちゃんって大人なのに公園で遊ぶんだね』

『鞠たんってばわたしまだ高校生だよ』

『高校生ってなんだろう~?』

『学生だよ~』

『ふ~ん、学生かぁ』

  学生は大人じゃないんだなと子供なのかな?  と思いながらわたしは顔中砂まみれになっているナオカちゃんの顔を見てきゃははと笑った。

  今思うと、高校生だって砂まみれや泥まみれにならないよ。それに今でも高校生はちょっと大人のお姉さんに見える。
  


  そんな昔のキラキラ輝く思い出に思いを馳せながらわたしはぼんやりと頬杖をついていた。

「あ、そうだ!  明日ナオカちゃんを誘って公園に行こう!」

  ナオカちゃんとまた遊べるんだと思うとわたしの頬はゆるゆると緩んだ。

  わたしは机の上に置いてあるノートに『ナオカちゃんと公園に遊びに行く』と書いた。

  なんてね、まだ誘ってもいないのにわたしってば勝手に遊びに行く気になっているじゃない。そう思うと可笑しくなって笑ってしまった。

  でも、ナオカちゃんならきっと、口角をキュッと上げて『うん、こまたん公園に行こう』と言って笑ってくれるだろう。

  あ、そう言えば昔はわたしのことを鞠たんと呼んでいたよね。それがどうしてこまたんになったのだとウッキキッーとなった。

  まあ、そんなことはどうでもいいか明日は日曜日だ。楽しみだな。



  それはそうとナオカちゃんは今あの『開かずの間』にいるんだよねとふと思った。

  おかっぱ頭に赤色のちゃんちゃんこを着たあの座敷童子とナオカちゃんはご対面しただろうか。よく考えると座敷童子と一緒に生活するなんて想像するだけで鳥肌が立ち両腕をさする。

  それともナオカちゃんには座敷童子は見えていないのかな。座敷童子は見える人と見えない人がいると聞いたことがある。

  その家に座敷童子が住んでいるとか人にくっついているとか……。ってまさかわたしに座敷童子が憑いているなんてことはないよね。

  ああ、もう考えるとちょっと怖くて胸がドキドキしてしまう。だけど、それと同時になんだかワクワクしてきた。だって、わたしだけに見えているんだったら特別て感じがするから。

  お姉ちゃんや鞠助は頭が良いのにわたしにはこれといった取り柄もないのだから座敷童子がわたしだけに見えているとすればちょっと自慢になるでしょう。

  なんてことを考えているとなんだか楽しくなってきた。ペンを握りノートに『わたしだけ座敷童子が見えてる?』と書いてニンマリと笑った。

  うふふ、これってちょっと自慢できるよね。今日はもう寝よう。
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