座敷童子が見える十四歳のわたしと二十七歳のナオカちゃん

なかじまあゆこ

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わたしと家族と座敷わらし

ナオカちゃんがやって来た

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  それから数日後ナオカちゃんが家にやって来た。と言うか戻ってきたと言うべきかな。

「ふぅー荷物が重たくて疲れたよ。おっ、こまたん久しぶりだね」

  ナオカちゃんは床に大きなボストンバッグをドサッと置いた。

  そして、わたしの顔を見るとナオカちゃんは口角をキュッと上げて大きな笑顔になる。

「ナオカちゃん久しぶり。あ、でも、わたしこまたんじゃないよ。まりだよ」

  わたしが鞠だよと抗議してもナオカちゃんは、「鞠ちゃんは小さな女の子って感じだからこまたんでいいんだよ~」と答えニッと笑った。

「小さな女の子ってわたしもう十四歳だよ」

「でも身長も低いしめちゃくちゃ童顔で小学生にしか見えないよね」

「ムムッ!」

  その通りだから言い返せないよ。わたしは頬をぷくっと膨らませた。

「あはは、こまたんってば怒った顔も可愛いね」

  ナオカちゃんは口元に両手を当ててあははと笑う。

「あ、でもナオカちゃんだって二十七歳なのに十代後半に見えるよね」

  わたしは言い返してやったとニヒヒと笑ったのだけどナオカちゃんは、

「おっ、若く見えるってことだね。褒め言葉だ。ありがとう」なんてお礼を言うのだった。

「ムムッ!」

  わたしは最大限に頬を膨らませた。

「こまたん、これからよろしくね」

  ナオカちゃんは言いながらわたしのぷくっと膨らませた頬をツンツンと爪の長い綺麗な指でつつき、そしてギュッとつねる。

「痛いよ~ナオカちゃんってば!  よろしくね」

  わたしは頬を擦りながら挨拶を返した。めちゃくちゃ痛いんだからね。

  ナオカちゃんは大好きだけどやっぱり大嫌いだよ。


  その日の夕食はおばあちゃん自慢の料理だった。テーブルには大きめにカットされた巻き寿司におでん、金時豆、それからトマトサラダが並べられていた。

「おっ、巻き寿司だ。昔よく食べたな」

  ナオカちゃんが椅子に腰を下ろしながら言った。

「うふふ、ナオカちゃんはいつもわたしの料理を喜んでくれいたわよね」

  おばあちゃんは、口元に手を当ててふふっと笑った。

「うん、わたしお母さんの豪快な料理大好きだよ」

  ナオカちゃんはそう言いながら大きな口で具だくさんの巻き寿司を豪快に一口で食べた。

  わたしはこのナオカちゃんの豪快な食べっぷりが好きなんだ。だって、見ているわたしもなんだか幸せな気持ちになるんだもん。

  だけど、わたしのお母さんは気に入らないらしいのだ。

「ナオカはもっと上品に食事ができないのかしらね?」

  そう言ってお母さんは金時豆を箸でつまみお上品に口に運ぶ。

「食べ物はね大きな口で豪快に食べた方が美味しいんだもんね」

  ナオカちゃんはニッと笑い巻き寿司を大きな口で豪快に食べた。

  わたしはお上品なお母さんより豪快で自由奔放なナオカちゃんの方が好きなんだ。

  ナオカちゃんみたいな人がお母さんだったらなと思う。けれど、ナオカちゃんはわたしの叔母さんではあるけれど十三歳しか歳が離れていないからお姉さんって感じだろうか。

 

  わたしもナオカちゃんの真似をして大きな口で具だくさんの巻き寿司を食べてみる。うん、美味しいな。

  そんなわたしのことをお母さんがチラッと見るけれど気にしない。

  玉子焼きにキュウリ、かんぴょう、水菜などの定番の具がぎっしり入ったボリューム満点の巻き寿司が好きだ。人が集まる時におばあちゃんがよく作る料理だ。

  わたしとナオカちゃんは次から次へと巻き寿司を口に運び食べた。

  そして、ナオカちゃんと目が合うとニッと笑い合った。なんだか年の離れた姉妹みたいだなと思った。

  わたしの本当のお姉ちゃんとは大きな違いだ。だって、お姉ちゃんは頭の悪いわたしのことをバカにするのだから。

  ナオカちゃんがわたしのお姉ちゃんで本当のお姉ちゃんが叔母さんだったらめちゃくちゃ良かったのになと思いながらおでんのじゃがいもをはふはふしながら食べた。

  じゃがいもはダシがじわじわとよく染みほくほく感がたまらない。ああ、もう美味しくて幸せで口角がきゅっと引き上がりニコちゃんマークみたいな顔になるよ。

  うふふ、わたしは幸せ者だと幸せを噛み締めていると、

「ただいま~」と元気な声が聞こえてきた。

  ああ、もう折角幸せだったのに残念だ。悪魔のお帰りだ。なんてね。

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