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第七章 吉田さんと動物達そして
3 吉田さんと桃谷さんの関係が気になる
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「梅木さん、小躍りされているんですね」
この声は吉田さんだ。振り返ると吉田さんは肩を震わせて笑っているではないか。
「……あ、あははっ。小躍りしてたかな。あ、小躍りしていましたね……」
わたしってば、嬉しくてこの気持ちを隠しきることができなくて思わず小躍りしてしまった。それを吉田さんに見られていたなんて恥ずかしいよ。
「梅木さんはやっぱり面白い方ですよ」
吉田さんは可笑しそうにクスクス笑っている。もういいもん開き直ろう。
「はい、わたしって面白い人なんですよ。自慢しちゃいますよ。あははっ」
わたしは胸を張り笑って見せた。
「……素晴らしい。これは笑える」
吉田さんは口を大きく開けて笑った。
わたしと吉田さんがお腹を抱えて笑い合っていると、
「あのすみません。本を選びました」
その声に振り返ると本を選んでいた女性のお客さんが猫の絵本を抱えて立っていた。
そして、「あ、よ、吉田さん?」と言った。
この女性のお客さんは吉田さんと知り合いだったようだ。
「あ、桃谷《ももたに》桃谷さんではないですか? びっくりですね」
やっぱり吉田さんとこの女性こと桃谷さんは知り合いのようだ。
「このまりみど古書カフェ店さんが気に入り来店したんですけど吉田さんはこのお店で働いているんですか? また、会えて嬉しいです」
桃谷さんは嬉しそうに目を輝かせていた。この二人はどういう関係なのかなと気になる。
「お~桃谷さん、このまりみど古書カフェ店を気に入ってくれたんですね。それは嬉しいな。あ、俺はここで働いてはいませんが一応オーナーです。今日はお手伝いでたまたま来ていたんですよ。あ、こちらは梅木さんです。このまりみど古書カフェ店の店長ですよ」
吉田さんはニコニコと笑ってわたしを店長と紹介してくれた。店長だなんてまだ言われ慣れていないからなんだかくすぐったい。
「そうだったんですね。改めまして、桃谷澄花です」
「こちらこそ改めまして、梅木真理子です」
と自己紹介をした。
それから本のお会計を済ませた桃谷さんはこの前と同じ窓際の日当たりの良いテーブル席に腰を下ろした。テーブルの上には猫の絵本が置かれている。
そして、ゴーヤチャンプルー定食があると知った桃谷さんはわたしの嫌いなゴーヤチャンプルー定食を注文した。
「みどりちゃん、ゴーヤチャンプルー定食をお願いね」
わたしは、調理部屋にいるみどりちゃんに言った。
「ゴーヤチャンプルー定食はやっぱり人気だよね」
そう言ったみどりちゃんは、ニカッと笑った。
「うん、ゴーヤ苦いのにね。それよりみどりちゃん聞いてよ、桃谷さん、あ、この前、猫の絵本を買って豆腐チャンプルーを食べてくれたお客さんなんだけどまた、来てくれたよ。だけどね……」
「真理子、だけど、どうしたの?」
「それがね……その桃谷さんは吉田さんと知り合いみたいなんだよ」
みどりちゃんは驚いたように目を見開いた。どうやらびっくりしたようだ。
「知り合いってどういうことなのかな?」
「わたしもよく分からないんだけど吉田さん桃谷さんって呼びあっていたよ」
みどりちゃんは、「う~ん、気になる」と言って興味津々な表情になった。
「でしょう、めちゃくちゃ気になるよね?」
わたしはみどりちゃんの両肩を掴み体を揺さぶった。
「様子を見に行こうか?」
みどりちゃんはそう言ったかと思うとさっさと歩き出した。
「みどりちゃん、あ、ちょっと待ってよ。ゴーヤチャンプルー定食はどうするのよ」
わたしは急いでみどりちゃんの後を追いかけた。
店内の様子を見ると吉田さんも椅子に腰掛け二人は笑顔で何やら話をしているようだ。何を話しているのだろうかこれはかなり気になる。
みどりちゃんに追いついたわたしは、「ねえ、みどりちゃんあの二人仲が良さそうだね」と言った。
みどりちゃんは、くるりと振り返った。
「そうだね、何かありそうな二人だよね」
確かにみどりちゃんが言うように吉田さんと桃谷さんは何かありそうだ。だって、笑い合っていたかと思うと突然桃谷さんが俯きなにやら寂しそうな姿を見せ、そんな桃谷さんの肩を吉田さんがぽんぽんと優しく叩いている。
何だろう? わたしは話の内容が気になりみどりちゃんを追い越し吉田さんと桃谷さんに一歩近づいた。
この声は吉田さんだ。振り返ると吉田さんは肩を震わせて笑っているではないか。
「……あ、あははっ。小躍りしてたかな。あ、小躍りしていましたね……」
わたしってば、嬉しくてこの気持ちを隠しきることができなくて思わず小躍りしてしまった。それを吉田さんに見られていたなんて恥ずかしいよ。
「梅木さんはやっぱり面白い方ですよ」
吉田さんは可笑しそうにクスクス笑っている。もういいもん開き直ろう。
「はい、わたしって面白い人なんですよ。自慢しちゃいますよ。あははっ」
わたしは胸を張り笑って見せた。
「……素晴らしい。これは笑える」
吉田さんは口を大きく開けて笑った。
わたしと吉田さんがお腹を抱えて笑い合っていると、
「あのすみません。本を選びました」
その声に振り返ると本を選んでいた女性のお客さんが猫の絵本を抱えて立っていた。
そして、「あ、よ、吉田さん?」と言った。
この女性のお客さんは吉田さんと知り合いだったようだ。
「あ、桃谷《ももたに》桃谷さんではないですか? びっくりですね」
やっぱり吉田さんとこの女性こと桃谷さんは知り合いのようだ。
「このまりみど古書カフェ店さんが気に入り来店したんですけど吉田さんはこのお店で働いているんですか? また、会えて嬉しいです」
桃谷さんは嬉しそうに目を輝かせていた。この二人はどういう関係なのかなと気になる。
「お~桃谷さん、このまりみど古書カフェ店を気に入ってくれたんですね。それは嬉しいな。あ、俺はここで働いてはいませんが一応オーナーです。今日はお手伝いでたまたま来ていたんですよ。あ、こちらは梅木さんです。このまりみど古書カフェ店の店長ですよ」
吉田さんはニコニコと笑ってわたしを店長と紹介してくれた。店長だなんてまだ言われ慣れていないからなんだかくすぐったい。
「そうだったんですね。改めまして、桃谷澄花です」
「こちらこそ改めまして、梅木真理子です」
と自己紹介をした。
それから本のお会計を済ませた桃谷さんはこの前と同じ窓際の日当たりの良いテーブル席に腰を下ろした。テーブルの上には猫の絵本が置かれている。
そして、ゴーヤチャンプルー定食があると知った桃谷さんはわたしの嫌いなゴーヤチャンプルー定食を注文した。
「みどりちゃん、ゴーヤチャンプルー定食をお願いね」
わたしは、調理部屋にいるみどりちゃんに言った。
「ゴーヤチャンプルー定食はやっぱり人気だよね」
そう言ったみどりちゃんは、ニカッと笑った。
「うん、ゴーヤ苦いのにね。それよりみどりちゃん聞いてよ、桃谷さん、あ、この前、猫の絵本を買って豆腐チャンプルーを食べてくれたお客さんなんだけどまた、来てくれたよ。だけどね……」
「真理子、だけど、どうしたの?」
「それがね……その桃谷さんは吉田さんと知り合いみたいなんだよ」
みどりちゃんは驚いたように目を見開いた。どうやらびっくりしたようだ。
「知り合いってどういうことなのかな?」
「わたしもよく分からないんだけど吉田さん桃谷さんって呼びあっていたよ」
みどりちゃんは、「う~ん、気になる」と言って興味津々な表情になった。
「でしょう、めちゃくちゃ気になるよね?」
わたしはみどりちゃんの両肩を掴み体を揺さぶった。
「様子を見に行こうか?」
みどりちゃんはそう言ったかと思うとさっさと歩き出した。
「みどりちゃん、あ、ちょっと待ってよ。ゴーヤチャンプルー定食はどうするのよ」
わたしは急いでみどりちゃんの後を追いかけた。
店内の様子を見ると吉田さんも椅子に腰掛け二人は笑顔で何やら話をしているようだ。何を話しているのだろうかこれはかなり気になる。
みどりちゃんに追いついたわたしは、「ねえ、みどりちゃんあの二人仲が良さそうだね」と言った。
みどりちゃんは、くるりと振り返った。
「そうだね、何かありそうな二人だよね」
確かにみどりちゃんが言うように吉田さんと桃谷さんは何かありそうだ。だって、笑い合っていたかと思うと突然桃谷さんが俯きなにやら寂しそうな姿を見せ、そんな桃谷さんの肩を吉田さんがぽんぽんと優しく叩いている。
何だろう? わたしは話の内容が気になりみどりちゃんを追い越し吉田さんと桃谷さんに一歩近づいた。
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