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第五章 吉田さん

10 みどりちゃんは大切な友達

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「えっ、ほっぺたにご飯粒が付いてた」

    慌てて頬に手を当てるとみどりちゃんに言われた通りご飯粒がベッタリとくっついていた。近くに置いてあるキッチンペーパーで顔を拭いた。

「真理子らしいね」

  みどりちゃんは可笑しそうにクスクス笑った。

「ふん、これがわたしなんだもん」

  わたしは、ぷくっと膨れながらポーク玉子おにぎりを食べた。

  うん、悔しいけど美味しい。ホカホカのご飯に焼きたての玉子と厚切りに切ったランチョンミートが挟んであり食べ応えもある。

  美味しくて幸せだ。わたしはソーメンチャンプルーにも箸を伸ばす。豚のバラ肉にニンジン、ニラ、玉ねぎなど具沢山でこれまた美味しかった。

  うん、美味しいな。幸せだな。

「やっぱり真理子ちゃんがご飯を食べている時の顔は可愛いですにゃん」

  茶和ちゃんがにゃぱと口の両端を上げて笑った。

「わ~い、可愛いかな?  このポーク玉子おにぎりもソーメンチャンプルーも美味しいから自然と笑顔になっちゃう」

「わたしも美味しいからにゃぱっと笑顔になってしまいますにゃん」

  猫の茶和ちゃんと食について語り合うなんてなんだか不思議な気持ちになった。


  「あ、そうそう皆が使ってる食器なんだけどわたしが国際通りのお土産屋さんで買ってきたばかりの新品なんだよ。可愛いでしょう?」

  わたしが仕事をサボり購入した動物達用の食器にはハイビスカスやシーサーの柄が描かれている。

「可愛い」と動物達は頷き喜んでくれた。

「良かった」とわたしは微笑んだ。

  だけど、みどりちゃんは怖い目でわたしを睨んだ。そんな目で見ないでよ。

「まあ、皆も喜んでくれてるから良いけど仕事サボったら駄目だよ。真理子」

  みどりちゃんとわたしは同じ歳なのに時々わたしのお母さんみたいになるのだから困る。頼りないわたしの近くにみどりちゃんみたいにしっかりした人がいるからこそわたしは生活ができているのかもしれない。

  少し情けないなとは思ってしまうのだけどそれと同時に有り難いなとも思う。
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