真理子とみどり沖縄で古書カフェ店をはじめました~もふもふや不思議な人が集う場所

なかじまあゆこ

文字の大きさ
上 下
50 / 75
第五章 吉田さん

6 沖縄の太陽が輝いている

しおりを挟む
「梅木さん、笑っていませんか?」

  吉田さんが、ニヤリと笑うわたしの顔を覗き込み聞いた。

「ふふん、なんでもありませんよ」

「うーん、なんだか怪しく感じますけどまぁいいか」

  吉田さんは、首を傾げてそれから笑った。

  今回は吉田さんに勝ったかなと心の中でガッツポーズを決めた。ずっと負けっぱなしでは納得いかないもんね。

「やっぱり笑っていますね」

「いいえ笑っていませんよ~」

  わたしと吉田さんは、「笑っていますよね」、「笑っていませんよ~」と言い合い帰途につく。

  途中で可愛らしい猫を見つけ吉田さんが、「お~猫ちゃん、可愛いね。こっちにおいで」なんて言ってしゃがみ込み猫の頭を優しく撫でた。

  吉田さんの猫の頭を撫でるその姿がなんだか大きな猫が小さな猫の頭を撫でているように見え不思議な感覚を覚えた。

  わたしも吉田さんの隣にしゃがみ可愛らしい猫と吉田さんを見比べた。

  猫は吉田さんに頭を撫でてもらい嬉しそうに目を細めていた。


  
  それから、吉田さんが帰り道の途中で暑いのでアイスキャンデーを奢ってあげますよと言ってくれのでわたしは有り難く奢ってもらった。おまけとしてさんぴん茶も付けてくれた。

  わたしと吉田さんは沖縄の太陽がキラキラ輝く道をアイスキャンデーとさんぴん茶を飲みながら歩いた。

  アイスキャンデーは冷たくて頭がキーンとなった。けれど暑くてたまらない体を冷やしてくれてスッキリした。さんぴん茶もゴクリと飲むとアイスキャンデーの甘さで渇いた喉がちょうど良い感じに潤った。

「吉田さん、暑い時に食べるアイスキャンデーは最高ですね」

  わたしはゴーヤの入っているスーパーの袋をぶんぶん振り回しながら歩いた。

「そうですね。暑い時にはやっぱり冷たいものが一番ですね。って梅木さん!」

「……あっ!」

  わたしがぶんぶん振り回していたゴーヤ入っているスーパーの袋がわたしの手から離れビューンと飛んだ。

  これは、大変だ。

  わたしは、待ってとゴーヤが入っているスーパーの袋を追いかけ手を伸ばしたその時、バランスを崩した。

  あ、駄目だ転ぶ!

「梅木さん、危ない!」

  吉田さんが叫んだ。

  そして、転びそうになっているわたしを吉田さんが後ろからギュッと腕を引っ張り助けてくれた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ
キャラ文芸
高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神や不思議なムササビにあやかしがいました。 派遣で働いていた会社が突然倒産した。落ち込んでいた真歌(まか)は気晴らしに高尾山に登った。 パンの焼き上がる香りに引き寄せられ『ムササビカフェ食堂でごゆっくり』に入ると、 そこは、ちょっと不思議な店主とムササビやもふもふにそれからつくも神のぬいぐるみやあやかしのいるカフェ食堂でした。 その『ムササビカフェ食堂』で働くことになった真歌は……。 よろしくお願いします(^-^)/

裏路地古民家カフェでまったりしたい

雪那 由多
大衆娯楽
夜月燈火は亡き祖父の家をカフェに作り直して人生を再出発。 高校時代の友人と再会からの有無を言わさぬ魔王の指示で俺の意志一つなくリフォームは進んでいく。 あれ? 俺が思ったのとなんか違うけどでも俺が想像したよりいいカフェになってるんだけど予算内ならまあいいか? え?あまい? は?コーヒー不味い? インスタントしか飲んだ事ないから分かるわけないじゃん。 はい?!修行いって来い??? しかも棒を銜えて筋トレってどんな修行?! その甲斐あって人通りのない裏路地の古民家カフェは人はいないが穏やかな時間とコーヒーの香りと周囲の優しさに助けられ今日もオープンします。 第6回ライト文芸大賞で奨励賞を頂きました!ありがとうございました!

【完結】生贄娘と呪われ神の契約婚

乙原ゆん
キャラ文芸
生け贄として崖に身を投じた少女は、呪われし神の伴侶となる――。 二年前から不作が続く村のため、自ら志願し生け贄となった香世。 しかし、守り神の姿は言い伝えられているものとは違い、黒い子犬の姿だった。 生け贄など不要という子犬――白麗は、香世に、残念ながら今の自分に村を救う力はないと告げる。 それでも諦められない香世に、白麗は契約結婚を提案するが――。 これは、契約で神の妻となった香世が、亡き父に教わった薬草茶で夫となった神を救い、本当の意味で夫婦となる物語。

声を失くした女性〜素敵cafeでアルバイト始めました〜

MIroku
ライト文芸
 とある街中にある一軒のカフェ。  入り口には  “水面<みなも>カフェへようこそ。のんびりとした空間と、時間をお楽しみ下さい”    と、店長の手書きであろう、若干丸目を帯びていたが、どこか温かい雰囲気を持つ文字で書いてあった。  その文字を見て、「フフフ」と笑う、優しい笑顔の女性。その後ろには無言で俯く少女が1人、スカートを握りしめて立っていた。  「そんなに緊張しないで。大丈夫、あなたなら大丈夫だから」  そう言って女性は少女の肩を優しく撫でた。少女は無言のまま、頭をコクコクと下げ、握りめていた手を開く。  女性はその様子を笑顔で見ていた。  ドアをそっと開ける。  “チリンチリン”  ドアベルが鳴る。  女性と少女は手を繋ぎながら、中へと入って行った。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  失声症の少女と、その少女を保護した精神科医。その教え子であるカフェの店長、周りの人達を巻き込んで繰り広げられるサクセスストーリー。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

冷たい羊

青山惟月
ライト文芸
とある少女の放課後の短い物語です。

熊野古道 神様の幻茶屋~伏拝王子が贈る寄辺桜茶~

ミラ
キャラ文芸
社会人二年目の由真はクレーマーに耐え切れず会社を逃げ出した。 「困った時は熊野へ行け」という姉の導きの元、熊野古道を歩く由真は知らぬ間に「神様茶屋」に招かれていた。 茶屋の主人、伏拝王子は寄る辺ない人間や八百万の神を涙させる特別な茶を淹れるという。 彼が茶を振舞うと、由真に異変が── 優しい神様が集う聖地、熊野の茶物語。

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

処理中です...