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第四章 新しい始まりの日

7 楽しかった時間とそして

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「そっか、でも人生についていろいろ考えるよね。わたしはこのままでいいのかな?  とかわたしも考えたりするよ。真理子ちゃんとみどりちゃんはこのお店に出会えて良かったね」

  さっきまで笑っていた真奈ちゃんの顔が真面目な顔に変わりわたしをまっすぐ見つめた。

「うん、たぶん良かったのかなと思う。そう思わないとね。お客さんは、動物、あ、違う……真奈ちゃんだけしか来てないけれど、なぜだかよく分からないけれどわたしがここに来た意味があるんじゃないのかなと思うんだ」

  わたしは、今、話をしながら何となくこの古書カフェ店に導かれたことに意味があるのかもしれないなと思えてきた。

 茶和ちゃんがわたしをここに連れてきてくれた。きっと、何かが見つかるんじゃないのかなとそんな予感がじわりじわりとしてきた。

  その時、柔らかな風がさーっと吹いてきた。そうだよ、真理子ちゃんと言われたような気がした。

  「ありがとう、真理子ちゃん、みどりちゃん。今日は楽しい時間を過ごせたよ。暫く沖縄に滞在するからまた寄るね」

  真奈ちゃんはそう言って手を振り帰っていった。

「真奈ちゃん帰ってしまったね」

「うん、また静かになるのかな?」

  わたし達は真奈ちゃんの背中を見送り溜め息をついた。

  店内に戻るとテーブルの上には真奈ちゃんが飲んでいたティーカップが持ち主をなくしたかのように寂しげにぽつりんとある。

「片付けよう」

  みどりちゃんがお盆に三客のティーカップを載せカフェコーナーの洗い場に持っていった。わたしは、ぼんやりと椅子に腰を下ろした。

  さあさあ、チラシもたくさん配ったことだしまだまだこれからだよね。わたしは大きく伸びをした。

  するとその時、店の入口から人の入ってくる気配を感じた。

  これはまさかの。
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