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第四章 新しい始まりの日

5 お茶にしよう

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「真奈ちゃん、お茶飲んでいく?  サービスだよ」

  みどりちゃんがお盆に三客のティーカップを載せて戻ってきた。みどりちゃんはティーカップをテーブルに並べた。

「うん、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて」

  わたし達三人はテーブルを囲み久しぶりの再会を喜んだ。

  そう、久しぶりの再会を喜んだのだけど、何だろ?  この匂いは……。ぷーんとわたしの苦手な匂いが漂ってきた。

「みどりちゃん、これはゴーヤ茶だよね? 
 わたしゴーヤ茶好きなんだ」

「うん、正解~ゴーヤ茶だよ。真奈ちゃんは沖縄が好きなだけあって香りで分かるんだね」

「うん。やっぱりゴーヤ茶なんだね。いただきま~す」

  真奈ちゃんはゆっくりと嬉しそうにゴーヤ茶を口に運ぶ。

「うん、美味しい。沖縄に来たって実感が湧くよ~」

「真奈ちゃんやっぱり沖縄といえばゴーヤだよね」

「だよね。この独特な香りが沖縄って感じがしてわたしは好きだな」

  みどりちゃんと真奈ちゃんは、わたしを置き去りにして楽しそうに話をしている。そんな二人を眺めわたしがムスッとしていると、

「あれ?  真理子どうしたの?」

  なんてわざとらしく聞くみどりちゃんなんて大嫌いだ。


  「……みどりちゃんって意地悪なんだね。わたしがゴーヤが苦手だって知ってるくせに」

  ゴーヤ茶をゴクリと飲みながらにっこり笑っているみどりちゃん。なんてなんて意地悪なんだ。

「そう言えば真理子ちゃんはゴーヤが苦手だったよね」

  真奈ちゃんはクスクスと笑った。

  なんてなんて酷い二人なんだ。わたしはこんな意地悪な友達を持ち泣けてくる。

「真理子、そんな哀れな子犬みたいな顔しないでよ。真理子のお茶はさんぴん茶なんだからね」

   みどりちゃんはそう言ったかと思うとにやりと笑った。

「……えっ、わたしのお茶はさんぴん茶なんだ。なんだ良かった~。ってちょっとみどりちゃん酷くない?  どうしてそれを先に言ってくれないのよ」

  わたしの抗議にみどりちゃんは、

「真理子のその反応が面白くてね。というか気がつかないの?  別にわざとじゃないんだけどね」

「だって、ゴーヤの匂いが部屋中にぷーんと漂っているんだもん」

  わたしは、ぷんぷん怒りを込めて言った。

「あははっ、真理子怒らないでよ。ゴーヤはビタミンCがたっぷりで免疫力を高めてお肌にもいいらしいのに飲めないなんて勿体ないね」

「ふん、わたしは元々肌が綺麗だからいいんだもん」

  わたしとみどりちゃんのこんなやり取りを真奈ちゃんはニコニコ笑いながら眺めていた。
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