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第三章 ここから始まる

8 素敵な古書カフェ店になりますように

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  スマホのアプリをダウンロードしてチラシを作成した。

  可愛い店長真理子とじゃんけんをして勝ったら本が半額になりますとわたしが文章を作成するとみどりちゃんが、「可愛い店長真理子って何なのよ?」と言って笑った。

「にひひっ、わたしって可愛いでしょう? 
あ、わたしの写真も載せようかな」

「真理子の頭の上にはお花が咲いているんだね。はい、はい、真理子ちゃん可愛いですね~」

  みどりちゃんはわたしを馬鹿にしたように笑うのだから失礼しちゃう。

「ふん、いいじゃん。可愛い店長真理子って書いたら楽しいでしょう?」

「好きにしたら……あ、店内の写真を撮らなきゃね」

  みどりちゃんは、呆れた顔でわたしを見たかと思うとすぐに笑顔になり「楽しくなってきた」と言った。

  これでお客さんがたくさん来てくれる『まりみど古書カフェ店』になると嬉しいな。


  
  それから店内の写真をみどりちゃんがパシャッパシャッと撮った。わたしのことを可愛く撮ってねと笑顔を作ってみせたのにあっさり却下された。

「みどりちゃんってば勝手にしたらと言ったくせに~ねえ、みどりちゃんってば~無視しないで」

 「たくさん写真を撮ってその中から良いのを厳選しなきゃね。やっぱり魅力的な写真があるとお店に行きたいなと思ってもらえるはずだもんね」なんてみどりちゃんは一人でうんうんと頷いている。

「ちょっと、みどりちゃんってばみどりちゃん」わたしはみどりちゃんの前に回り込んで笑顔を作ってみせた。

「真理子、鬱陶しいな」

  みどりちゃんは眉間に皺を寄せてわたしをシッシッと手で追い払う。

「そんな~追い払わないでよ」

  わたしは、口の両端に指を入れて左右に引っ張りいーっだっていう顔をした。

「真理子、その顔笑えるんだけど」

  みどりちゃんはわたしを指差しおもいっきり笑った。

  そして、「真理子、分かったよ。写真を撮ってあげるよ。そこに立ちな」

  みどりちゃんはスマホのシャッターボタンを押した。カシャッパシャッカシャッとよいカメラ音が鳴った。わたしはとびっきりの笑顔を作った。自分でも何をしているのだろうかと思った。けれどなんだか楽しくなりポーズをとった。


  
  店内の写真やわたしの笑顔それからドリンクや料理の写真をスマホのカメラで撮った。

「こんな感じでいいかな?」

  みどりちゃんはスマホで撮影した写真をわたしに見せながら言った。

  スマホの画面にはたくさんの本やレトロな店内にわたしの笑顔それからみどりちゃんが作った美味しそうな料理などが並んでいた。

「うん、良いと思うよ」

「良かった。ではこの中から選んでチラシにしようね」

  みどりちゃんは満足そうに顔をほころばせた。 

  わたし達は写真を選びチラシを作成した。チラシ作りは楽しくて夢と希望がキラキラと舞い降りてくる。気がつくとあっという間に時間が経っていた。目の前にある楽しいことに集中するとこんなにも時間が経つのが早いなんて驚きと満足感を噛み締めた。

  先程までの退屈でくまさんのようにうろうろしていたことが遠い過去に感じた。

  さあ、ここから始めよう。きっと、まりみど古書カフェ店は素敵なお店になることでしょう。希望の光りがキラキラと舞い降りてきた。もう退屈なんてしないはずだ。これからきっと忙しくなる。

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