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第三章 ここから始まる

2 お客さん来てください

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  わたしは夢と希望を持ち『まりみど古書カフェ店』のシャッターを開けて扉にかかっている木製のドアプレートをクローズからオープンにひっくり返しお店の前にオープンの看板を出した。

「みどりちゃん、今日こそは人間のお客様も来てくれるよね?」

  わたしは、みどりちゃんの前向きな返事を期待したのだけど、「……だといいね」なんて言うみどりちゃんの表情は不安げだから期待外れだ。

  壁に掛かっている時計の針が十時を指した。いよいよ『まりみど古書カフェ店』オープン二日目の始まりだ。

  今日は店内にお客さんが溢れかえり大忙しになるんだ。きっとお客さんは本を片手にお茶を飲み楽しい一時を過ごしてくれるはずた。そう考えるとワクワクドキドキしてきた。

  「ねえ、みどりちゃんお客さん来ないね。  どうしてかな?  ねえ、みどりちゃんてば聞いてるの?」

「聞いてるよ……」

「だったらどうして返事をしないのよ」

  みどりちゃんは足を伸ばしでーんと椅子に座り読書をしている。

「あのね、真理子……そのお客さんが来ないね。どうしてかな?  って何回言った?」

  みどりちゃんは本から顔を上げ眉間に皺を寄せてふぅーと溜め息をついた。

「えーっと、一回、二回、三回、四回、五回、あー何回言ったかな?」わたしは指を折りながら考えた。うーん、何回かな?

「真理子、何回言ったかなんて真面目に考えなくてもいいから……」

  みどりちゃんは呆れたように溜め息をつく。

「だって、お客さんがたくさん来るといいなと思って本を片手にお茶を飲み嬉しそうに笑っているお客さんをイメージしているのに一人も来ないんだよ」

  わたしは、はぁーと溜め息をついた。まりみど古書カフェ店のオープン二日目もまだ人間のお客さんが来てくれません。

  たくさんお客さんで溢れかえるまりみど古書カフェ店になりますように。
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