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第二章 もふもふが集う古書カフェ店へようこそ!
7 不思議な動物も読書
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「茶和ちゃん、可愛らしい絵本を見つけたね」
わたしがこれから先の夢をあれこれ思い描いていると、みどりちゃんの声が聞こえてきた。食事が終わりテーブルの上に並べられた本を見ると可愛らしい猫さんが笑っているページが開かれていた。
「絵本は癒しだよ、心が温かくなって元気になれますにゃん。次のページに何が描かれているのかなと思うとワクワクドキドキしますにゃん。この猫ちゃんの笑顔は優しくて可愛らしくて和みますにゃん」
そう言ってページを捲る茶和ちゃんは幸せそうな表情をしている。猫が絵本を読む姿は可愛くて見ているわたしが癒される。けれど猫が猫の絵本を読んでいるその姿はなんだか可笑しくて笑ってしまう。
「茶和ちゃんは文字も読めるのかな?」
「はい、みどりちゃんわたしは文字も読めるにゃん。なので時々小説も読みますにゃん」
茶和ちゃんは自信ありげに笑った。不思議な猫さんだなとわたしは肉球のある手でページを捲る茶和ちゃんを眺めた。
茶和ちゃんはニマニマ笑いながらページを捲っている。ヤンバちゃんなんて鳥なのに難しそうな小説を読みチワワンちゃんは犬の飼い方の本なんて読んでいる。チワワちゃんあなたは犬でしょう? 面白いワンちゃんだ。
ハイビスカスティーを飲みながらわたしは沖縄の写真集をぺらぺら捲った。沖縄のキラキラと透き通る青い海。どこまでもどこまでも続く海は綺麗で息をのむような美しさだ。
ああ、この海で泳ぎたいな。沖縄に住んでいるのに最近海に行ってないな。みどりちゃんに海水をバシャとかけて驚かせたいな。
みどりちゃんはきっと目をつり上げて怒るんだ。こらー真理子なんて言って追いかけてくるその姿が目に浮かぶ。
そんなことを考えていると面白くて笑ってしまうよ。うひひっ、みどりちゃんの怒った顔は面白い。
「ちょっと真理子、うひひって笑っているけどろくでもないことを考えているんでしょう?」
顔を上げるとみどりちゃんの顔が目の前にあった。
「あははっ、みどりちゃんろくでもないことって何よ。わたしは沖縄のキラキラ輝く写真集を眺めてうっとりしているんだよ」
わたしは、綺麗に輝く海のページを指差して言った。
「ふーん、そうなんだ。ふーん、真理子の顔はだらしなくニヤニヤしたりうひひって笑ったりいきなり真面目な顔になったり七変化してるんだけどね。変顔でもして遊んでるのかなと思ったよ」
みどりちゃんはそう言ってわたしの顔をじっと見た。
「変顔って失礼な……」
わたしは、自分の頬に触れた。いけない、いけない、思わず笑ってしまった。みどりちゃんは鋭いから自分のことだと気がついてしまう。
「ちょっと、真理子、様子がおかしいよ」
みどりちゃんはわたしの顔を怪しそうに見ている。
「なんでもありませ~ん」
わたしはにっこりと笑って見せた。
「真理子ちゃんってわたし達系だよねワン」
チワワンちゃんが読んでいた犬の飼い方の本をパタンと閉じて言った。
「わたし達系? チワワンちゃんそれはどういう意味かな?」
わたしが首を傾げて聞くとチワワンちゃんは、「それはわたしやみんなみたいな動物に似てるなってことだワン。真理子ちゃんは犬や猫みたいだよ」と言った。
犬や猫に似ているそれって……?
一瞬なんのことかなと思った。けれどすぐに気がついた。
「ちょっとチワワンちゃんなんだかそれって酷くない?」
「だって、真理子ちゃんは犬のわたしから見ても可愛らしくてマイペースで仕草も動物みたいで守ってあげたいなって感じだワン」
「そうですにゃん。真理子ちゃんは可愛いにゃん」
茶和ちゃんまでにゃははと笑うのだから信じられない。これは果たして褒め言葉なのかなと考えてしまう。
ぷぷぷっ、それまで黙っていたみどりちゃんが笑いを堪えきれない様子で肩を震わせて笑った。
「ちょっと、みどりちゃん笑わないでよ」
わたしは、笑いが止まらない様子のみどりちゃんをギロリと睨んだ。
「だって、面白くて笑ってしまうよ。犬のチワワンちゃんに守ってあげたいなって感じだって言われているんだよ。正にその通りって感じなんだけどね」
みどりちゃんは、ああ可笑しいと言いながら手でテーブルをバンバンと叩いて笑いすぎて笑い泣き。泣くほど笑うなんて失礼だと思う。
「わたしも真理子ちゃんは天然ぽくて可愛いなと思うよコッコッコー」
ヤンバちゃんまでそんなことを言うのだからわたしって……
「ふんだ、いいもんね。そうだよ~わたしは可愛いんだもん。ありがとう」
わたしはやけくそになりながら言った。
こんな感じで楽しい時間はあっという間に過ぎていく。なんだか皆に笑われてしまった。納得いかないこともあるけれど楽しい時間だった。
まりみど古書カフェ店はまだまだこれからです。
わたしがこれから先の夢をあれこれ思い描いていると、みどりちゃんの声が聞こえてきた。食事が終わりテーブルの上に並べられた本を見ると可愛らしい猫さんが笑っているページが開かれていた。
「絵本は癒しだよ、心が温かくなって元気になれますにゃん。次のページに何が描かれているのかなと思うとワクワクドキドキしますにゃん。この猫ちゃんの笑顔は優しくて可愛らしくて和みますにゃん」
そう言ってページを捲る茶和ちゃんは幸せそうな表情をしている。猫が絵本を読む姿は可愛くて見ているわたしが癒される。けれど猫が猫の絵本を読んでいるその姿はなんだか可笑しくて笑ってしまう。
「茶和ちゃんは文字も読めるのかな?」
「はい、みどりちゃんわたしは文字も読めるにゃん。なので時々小説も読みますにゃん」
茶和ちゃんは自信ありげに笑った。不思議な猫さんだなとわたしは肉球のある手でページを捲る茶和ちゃんを眺めた。
茶和ちゃんはニマニマ笑いながらページを捲っている。ヤンバちゃんなんて鳥なのに難しそうな小説を読みチワワンちゃんは犬の飼い方の本なんて読んでいる。チワワちゃんあなたは犬でしょう? 面白いワンちゃんだ。
ハイビスカスティーを飲みながらわたしは沖縄の写真集をぺらぺら捲った。沖縄のキラキラと透き通る青い海。どこまでもどこまでも続く海は綺麗で息をのむような美しさだ。
ああ、この海で泳ぎたいな。沖縄に住んでいるのに最近海に行ってないな。みどりちゃんに海水をバシャとかけて驚かせたいな。
みどりちゃんはきっと目をつり上げて怒るんだ。こらー真理子なんて言って追いかけてくるその姿が目に浮かぶ。
そんなことを考えていると面白くて笑ってしまうよ。うひひっ、みどりちゃんの怒った顔は面白い。
「ちょっと真理子、うひひって笑っているけどろくでもないことを考えているんでしょう?」
顔を上げるとみどりちゃんの顔が目の前にあった。
「あははっ、みどりちゃんろくでもないことって何よ。わたしは沖縄のキラキラ輝く写真集を眺めてうっとりしているんだよ」
わたしは、綺麗に輝く海のページを指差して言った。
「ふーん、そうなんだ。ふーん、真理子の顔はだらしなくニヤニヤしたりうひひって笑ったりいきなり真面目な顔になったり七変化してるんだけどね。変顔でもして遊んでるのかなと思ったよ」
みどりちゃんはそう言ってわたしの顔をじっと見た。
「変顔って失礼な……」
わたしは、自分の頬に触れた。いけない、いけない、思わず笑ってしまった。みどりちゃんは鋭いから自分のことだと気がついてしまう。
「ちょっと、真理子、様子がおかしいよ」
みどりちゃんはわたしの顔を怪しそうに見ている。
「なんでもありませ~ん」
わたしはにっこりと笑って見せた。
「真理子ちゃんってわたし達系だよねワン」
チワワンちゃんが読んでいた犬の飼い方の本をパタンと閉じて言った。
「わたし達系? チワワンちゃんそれはどういう意味かな?」
わたしが首を傾げて聞くとチワワンちゃんは、「それはわたしやみんなみたいな動物に似てるなってことだワン。真理子ちゃんは犬や猫みたいだよ」と言った。
犬や猫に似ているそれって……?
一瞬なんのことかなと思った。けれどすぐに気がついた。
「ちょっとチワワンちゃんなんだかそれって酷くない?」
「だって、真理子ちゃんは犬のわたしから見ても可愛らしくてマイペースで仕草も動物みたいで守ってあげたいなって感じだワン」
「そうですにゃん。真理子ちゃんは可愛いにゃん」
茶和ちゃんまでにゃははと笑うのだから信じられない。これは果たして褒め言葉なのかなと考えてしまう。
ぷぷぷっ、それまで黙っていたみどりちゃんが笑いを堪えきれない様子で肩を震わせて笑った。
「ちょっと、みどりちゃん笑わないでよ」
わたしは、笑いが止まらない様子のみどりちゃんをギロリと睨んだ。
「だって、面白くて笑ってしまうよ。犬のチワワンちゃんに守ってあげたいなって感じだって言われているんだよ。正にその通りって感じなんだけどね」
みどりちゃんは、ああ可笑しいと言いながら手でテーブルをバンバンと叩いて笑いすぎて笑い泣き。泣くほど笑うなんて失礼だと思う。
「わたしも真理子ちゃんは天然ぽくて可愛いなと思うよコッコッコー」
ヤンバちゃんまでそんなことを言うのだからわたしって……
「ふんだ、いいもんね。そうだよ~わたしは可愛いんだもん。ありがとう」
わたしはやけくそになりながら言った。
こんな感じで楽しい時間はあっという間に過ぎていく。なんだか皆に笑われてしまった。納得いかないこともあるけれど楽しい時間だった。
まりみど古書カフェ店はまだまだこれからです。
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