真理子とみどり沖縄で古書カフェ店をはじめました~もふもふや不思議な人が集う場所

なかじまあゆこ

文字の大きさ
上 下
26 / 75
第二章 もふもふが集う古書カフェ店へようこそ!

7 不思議な動物も読書

しおりを挟む
「茶和ちゃん、可愛らしい絵本を見つけたね」

  わたしがこれから先の夢をあれこれ思い描いていると、みどりちゃんの声が聞こえてきた。食事が終わりテーブルの上に並べられた本を見ると可愛らしい猫さんが笑っているページが開かれていた。

「絵本は癒しだよ、心が温かくなって元気になれますにゃん。次のページに何が描かれているのかなと思うとワクワクドキドキしますにゃん。この猫ちゃんの笑顔は優しくて可愛らしくて和みますにゃん」

  そう言ってページを捲る茶和ちゃんは幸せそうな表情をしている。猫が絵本を読む姿は可愛くて見ているわたしが癒される。けれど猫が猫の絵本を読んでいるその姿はなんだか可笑しくて笑ってしまう。

「茶和ちゃんは文字も読めるのかな?」

「はい、みどりちゃんわたしは文字も読めるにゃん。なので時々小説も読みますにゃん」

  茶和ちゃんは自信ありげに笑った。不思議な猫さんだなとわたしは肉球のある手でページを捲る茶和ちゃんを眺めた。

  
  茶和ちゃんはニマニマ笑いながらページを捲っている。ヤンバちゃんなんて鳥なのに難しそうな小説を読みチワワンちゃんは犬の飼い方の本なんて読んでいる。チワワちゃんあなたは犬でしょう?   面白いワンちゃんだ。
  
  ハイビスカスティーを飲みながらわたしは沖縄の写真集をぺらぺら捲った。沖縄のキラキラと透き通る青い海。どこまでもどこまでも続く海は綺麗で息をのむような美しさだ。

  ああ、この海で泳ぎたいな。沖縄に住んでいるのに最近海に行ってないな。みどりちゃんに海水をバシャとかけて驚かせたいな。

  みどりちゃんはきっと目をつり上げて怒るんだ。こらー真理子なんて言って追いかけてくるその姿が目に浮かぶ。

  そんなことを考えていると面白くて笑ってしまうよ。うひひっ、みどりちゃんの怒った顔は面白い。

「ちょっと真理子、うひひって笑っているけどろくでもないことを考えているんでしょう?」

  顔を上げるとみどりちゃんの顔が目の前にあった。


「あははっ、みどりちゃんろくでもないことって何よ。わたしは沖縄のキラキラ輝く写真集を眺めてうっとりしているんだよ」

  わたしは、綺麗に輝く海のページを指差して言った。

「ふーん、そうなんだ。ふーん、真理子の顔はだらしなくニヤニヤしたりうひひって笑ったりいきなり真面目な顔になったり七変化してるんだけどね。変顔でもして遊んでるのかなと思ったよ」

  みどりちゃんはそう言ってわたしの顔をじっと見た。

「変顔って失礼な……」

  わたしは、自分の頬に触れた。いけない、いけない、思わず笑ってしまった。みどりちゃんは鋭いから自分のことだと気がついてしまう。

「ちょっと、真理子、様子がおかしいよ」

  みどりちゃんはわたしの顔を怪しそうに見ている。

「なんでもありませ~ん」

  わたしはにっこりと笑って見せた。


  「真理子ちゃんってわたし達系だよねワン」

  チワワンちゃんが読んでいた犬の飼い方の本をパタンと閉じて言った。

「わたし達系?  チワワンちゃんそれはどういう意味かな?」

  わたしが首を傾げて聞くとチワワンちゃんは、「それはわたしやみんなみたいな動物に似てるなってことだワン。真理子ちゃんは犬や猫みたいだよ」と言った。

  犬や猫に似ているそれって……?

  一瞬なんのことかなと思った。けれどすぐに気がついた。

「ちょっとチワワンちゃんなんだかそれって酷くない?」

「だって、真理子ちゃんは犬のわたしから見ても可愛らしくてマイペースで仕草も動物みたいで守ってあげたいなって感じだワン」

「そうですにゃん。真理子ちゃんは可愛いにゃん」

   茶和ちゃんまでにゃははと笑うのだから信じられない。これは果たして褒め言葉なのかなと考えてしまう。


    ぷぷぷっ、それまで黙っていたみどりちゃんが笑いを堪えきれない様子で肩を震わせて笑った。

「ちょっと、みどりちゃん笑わないでよ」

  わたしは、笑いが止まらない様子のみどりちゃんをギロリと睨んだ。

「だって、面白くて笑ってしまうよ。犬のチワワンちゃんに守ってあげたいなって感じだって言われているんだよ。正にその通りって感じなんだけどね」

  みどりちゃんは、ああ可笑しいと言いながら手でテーブルをバンバンと叩いて笑いすぎて笑い泣き。泣くほど笑うなんて失礼だと思う。

「わたしも真理子ちゃんは天然ぽくて可愛いなと思うよコッコッコー」

  ヤンバちゃんまでそんなことを言うのだからわたしって……

「ふんだ、いいもんね。そうだよ~わたしは可愛いんだもん。ありがとう」

  わたしはやけくそになりながら言った。

  こんな感じで楽しい時間はあっという間に過ぎていく。なんだか皆に笑われてしまった。納得いかないこともあるけれど楽しい時間だった。

  まりみど古書カフェ店はまだまだこれからです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

金沢ひがし茶屋街 雨天様のお茶屋敷

河野美姫
キャラ文芸
古都・金沢、加賀百万石の城下町のお茶屋街で巡り会う、不思議なご縁。 雨の神様がもてなす甘味処。 祖母を亡くしたばかりの大学生のひかりは、ひとりで金沢にある祖母の家を訪れ、祖母と何度も足を運んだひがし茶屋街で銀髪の青年と出会う。 彼は、このひがし茶屋街に棲む神様で、自身が守る屋敷にやって来た者たちの傷ついた心を癒やしているのだと言う。 心の拠り所を失くしたばかりのひかりは、意図せずにその屋敷で過ごすことになってしまいーー? 神様と双子の狐の神使、そしてひとりの女子大生が紡ぐ、ひと夏の優しい物語。 アルファポリス 2021/12/22~2022/1/21 ※こちらの作品はノベマ!様・エブリスタ様でも公開中(完結済)です。 (2019年に書いた作品をブラッシュアップしています)

あやかし古民家暮らし-ゆるっとカップル、田舎で生きなおしてみる-

橘花やよい
キャラ文芸
「怖がられるから、秘密にしないと」 会社員の穂乃花は生まれつき、あやかしと呼ばれるだろう変なものを見る体質だった。そのために他人と距離を置いて暮らしていたのに、恋人である雪斗の母親に秘密を知られ、案の定怖がられてしまう。このままだと結婚できないかもと悩んでいると「気分転換に引っ越ししない?」と雪斗の誘いがかかった。引っ越し先は、恋人の祖父母が住んでいた田舎の山中。そこには賑やかご近所さんがたくさんいるようで、だんだんと田舎暮らしが気に入って――……。 これは、どこかにひっそりとあるかもしれない、ちょっとおかしくて優しい日常のお話。 エブリスタに投稿している「穂乃花さんは、おかしな隣人と戯れる。」の改稿版です。 表紙はてんぱる様のフリー素材を使用させていただきました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ
キャラ文芸
高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神や不思議なムササビにあやかしがいました。 派遣で働いていた会社が突然倒産した。落ち込んでいた真歌(まか)は気晴らしに高尾山に登った。 パンの焼き上がる香りに引き寄せられ『ムササビカフェ食堂でごゆっくり』に入ると、 そこは、ちょっと不思議な店主とムササビやもふもふにそれからつくも神のぬいぐるみやあやかしのいるカフェ食堂でした。 その『ムササビカフェ食堂』で働くことになった真歌は……。 よろしくお願いします(^-^)/

ナマズの器

螢宮よう
キャラ文芸
時は、多種多様な文化が溶け合いはじめた時代の赤い髪の少女の物語。 不遇な赤い髪の女の子が過去、神様、因縁に巻き込まれながらも前向きに頑張り大好きな人たちを守ろうと奔走する和風ファンタジー。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ナイトメア

咲屋安希
キャラ文芸
「きっとその人は、お姉さんのことを大事に思ってるんだよ」   人と違う力を持つ美誠は、かなわぬ恋に悩んでいた。 そしてある時から不思議な夢を見るようになる。朱金の着物に身を包む美少女が夢に現れ、恋に悩む美誠の話を聞き、優しくなぐさめてくれるのだ。 聞かれるまま、美誠は片思いの相手、名門霊能術家の当主である輝への想いを少女に語る。生きる世界の違う、そして恋人もいる輝への恋心に苦しむ美誠を、着物の少女は優しく抱きしめなぐさめる。美誠は、少女の真剣ななぐさめに心を癒されていた。 しかしある時、ひょんなことから少女の正体を知ってしまう。少女のありえない正体に、美誠の生活は一変する。 長編「とらわれの華は恋にひらく」のスピンオフ中編です。  

処理中です...