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第二章 もふもふが集う古書カフェ店へようこそ!

6 まだ初日

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「真理子ちゃん、いいじゃないですかにゃん。人間苦手な食べ物や苦手なことだってあるもんですにゃん。それが人間というものだと思いますよにゃん」

  茶和ちゃんはにんまり笑った。

「そうだよね。うん、ゴーヤーが苦手だからってなんだって言うのよ。どんくさくて不器用だって仕方がないもんね。わたしなりに精一杯努力しているんだから。茶和ちゃんの言う通りだね」

  わたしは、ちょっと興奮して鼻息まで荒くなってしまった。猫に慰められているなんてと思ってしまうけれど茶和ちゃんのわたしを見つめる目はなんだか優しくて元気が出た。

  自然と笑顔になれちゃうよ。

「にゃはにゃはにゃん。真理子ちゃんの笑顔は可愛らしくて素敵だと思いますにゃん」

「ほ、本当に~嬉しい。ありがとう」

  わたしは心からの笑顔になれた。

「もう、真理子はすぐその気になるんだから、でも真理子のどんくさいところも可愛いね。茶和ちゃんの言う通りだね」

  みどりちゃんはぷくくっと笑った。笑われて少しだけムッとしたけれどきっとみどりちゃんは褒めてくれているのだと良いほうに解釈しておこう。

  「ふふふっ、可愛いだなんて嬉しいよ~」

    みどりちゃんを見ると目が合った。みどりちゃんは白い歯を見せてにっと笑っている。わたしもそんなみどりちゃんの真似をしてにっと笑ってみせた。

  わたしらしい自分でいよう。他の誰かになんてなれないのだから。少し口は悪いけれどみどりちゃんは本当は優しくて思いやりがあることをわたしはよく知っている。

 茶和ちゃんはハイビスカスティーを優雅に飲みヤンバちゃんは美味しそうに赤色の太くて長いくちばしで厚切りトーストを食べている。チワワンちゃんは、「美味しいワン」と言ってさんぴん茶をごくりと飲んだ。

  今夜はとても楽しい。まりみど古書カフェ店に来店されたお客様は可愛らしい動物達だけだったけれど楽しくて笑顔が溢れる時間を過ごすことができたので初日としては良かったのかなと思う。

  
  わたしは店内をぐるりと見渡す。たくさんの夢が詰まった木製の本棚にレトロな木の温もりが感じられる机や椅子。わたしが作った沖縄のコーナーもある。

  まだまだ吉田さんが作ってくれた店内ではあるけれど少しずつわたしとみどりちゃんらしいカラーを出せていけたらいいなと思う。

  そして、動物達ももちろんだけど人間のお客様にもワクワクして本を探してもらい温かいお茶や料理も食べてもらいたいな。

  日常の疲れをほんの少しでも癒してもらえるそんな空間になると嬉しい。わたしに新しい夢が出来た。なんだかワクワクして嬉しくなった。
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