上 下
25 / 75
第二章 もふもふが集う古書カフェ店へようこそ!

6 まだ初日

しおりを挟む
「真理子ちゃん、いいじゃないですかにゃん。人間苦手な食べ物や苦手なことだってあるもんですにゃん。それが人間というものだと思いますよにゃん」

  茶和ちゃんはにんまり笑った。

「そうだよね。うん、ゴーヤーが苦手だからってなんだって言うのよ。どんくさくて不器用だって仕方がないもんね。わたしなりに精一杯努力しているんだから。茶和ちゃんの言う通りだね」

  わたしは、ちょっと興奮して鼻息まで荒くなってしまった。猫に慰められているなんてと思ってしまうけれど茶和ちゃんのわたしを見つめる目はなんだか優しくて元気が出た。

  自然と笑顔になれちゃうよ。

「にゃはにゃはにゃん。真理子ちゃんの笑顔は可愛らしくて素敵だと思いますにゃん」

「ほ、本当に~嬉しい。ありがとう」

  わたしは心からの笑顔になれた。

「もう、真理子はすぐその気になるんだから、でも真理子のどんくさいところも可愛いね。茶和ちゃんの言う通りだね」

  みどりちゃんはぷくくっと笑った。笑われて少しだけムッとしたけれどきっとみどりちゃんは褒めてくれているのだと良いほうに解釈しておこう。

  「ふふふっ、可愛いだなんて嬉しいよ~」

    みどりちゃんを見ると目が合った。みどりちゃんは白い歯を見せてにっと笑っている。わたしもそんなみどりちゃんの真似をしてにっと笑ってみせた。

  わたしらしい自分でいよう。他の誰かになんてなれないのだから。少し口は悪いけれどみどりちゃんは本当は優しくて思いやりがあることをわたしはよく知っている。

 茶和ちゃんはハイビスカスティーを優雅に飲みヤンバちゃんは美味しそうに赤色の太くて長いくちばしで厚切りトーストを食べている。チワワンちゃんは、「美味しいワン」と言ってさんぴん茶をごくりと飲んだ。

  今夜はとても楽しい。まりみど古書カフェ店に来店されたお客様は可愛らしい動物達だけだったけれど楽しくて笑顔が溢れる時間を過ごすことができたので初日としては良かったのかなと思う。

  
  わたしは店内をぐるりと見渡す。たくさんの夢が詰まった木製の本棚にレトロな木の温もりが感じられる机や椅子。わたしが作った沖縄のコーナーもある。

  まだまだ吉田さんが作ってくれた店内ではあるけれど少しずつわたしとみどりちゃんらしいカラーを出せていけたらいいなと思う。

  そして、動物達ももちろんだけど人間のお客様にもワクワクして本を探してもらい温かいお茶や料理も食べてもらいたいな。

  日常の疲れをほんの少しでも癒してもらえるそんな空間になると嬉しい。わたしに新しい夢が出来た。なんだかワクワクして嬉しくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

化想操術師の日常

茶野森かのこ
キャラ文芸
たった一つの線で、世界が変わる。 化想操術師という仕事がある。 一般的には知られていないが、化想は誰にでも起きる可能性のある現象で、悲しみや苦しみが心に抱えきれなくなった時、人は無意識の内に化想と呼ばれるものを体の外に生み出してしまう。それは、空間や物や生き物と、その人の心を占めるものである為、様々だ。 化想操術師とは、頭の中に思い描いたものを、その指先を通して、現実に生み出す事が出来る力を持つ人達の事。本来なら無意識でしか出せない化想を、意識的に操る事が出来た。 クズミ化想社は、そんな化想に苦しむ人々に寄り添い、救う仕事をしている。 社長である九頭見志乃歩は、自身も化想を扱いながら、化想患者限定でカウンセラーをしている。 社員は自身を含めて四名。 九頭見野雪という少年は、化想を生み出す能力に長けていた。志乃歩の養子に入っている。 常に無表情であるが、それは感情を失わせるような過去があったからだ。それでも、志乃歩との出会いによって、その心はいつも誰かに寄り添おうとしている、優しい少年だ。 他に、志乃歩の秘書でもある黒兎、口は悪いが料理の腕前はピカイチの姫子、野雪が生み出した巨大な犬の化想のシロ。彼らは、山の中にある洋館で、賑やかに共同生活を送っていた。 その洋館に、新たな住人が加わった。 記憶を失った少女、たま子。化想が扱える彼女は、記憶が戻るまでの間、野雪達と共に過ごす事となった。 だが、記憶を失くしたたま子には、ある目的があった。 たま子はクズミ化想社の一人として、志乃歩や野雪と共に、化想を出してしまった人々の様々な思いに触れていく。 壊れた友情で海に閉じこもる少年、自分への後悔に復讐に走る女性、絵を描く度に化想を出してしまう少年。 化想操術の古い歴史を持つ、阿木之亥という家の人々、重ねた野雪の過去、初めて出来た好きなもの、焦がれた自由、犠牲にしても守らなきゃいけないもの。 野雪とたま子、化想を取り巻く彼らのお話です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたし異世界でもふもふ達と楽しく過ごします! もふもふアパートカフェには癒し系もふもふと変わり者達が生活していました

なかじまあゆこ
ファンタジー
空気の読めない女子高生満里奈が癒し系のもふもふなや変わり者達が生活している異世界にトリップしてしまいました。 果たして満里奈はもふもふ達と楽しく過ごせるのだろうか? 時に悩んだりしながら生活していく満里奈。 癒しと笑いと元気なもふもふスローライフを目指します。 この異世界でずっと過ごすのかそれとも? どうぞよろしくお願いします(^-^)/

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

金沢ひがし茶屋街 雨天様のお茶屋敷

河野美姫
キャラ文芸
古都・金沢、加賀百万石の城下町のお茶屋街で巡り会う、不思議なご縁。 雨の神様がもてなす甘味処。 祖母を亡くしたばかりの大学生のひかりは、ひとりで金沢にある祖母の家を訪れ、祖母と何度も足を運んだひがし茶屋街で銀髪の青年と出会う。 彼は、このひがし茶屋街に棲む神様で、自身が守る屋敷にやって来た者たちの傷ついた心を癒やしているのだと言う。 心の拠り所を失くしたばかりのひかりは、意図せずにその屋敷で過ごすことになってしまいーー? 神様と双子の狐の神使、そしてひとりの女子大生が紡ぐ、ひと夏の優しい物語。 アルファポリス 2021/12/22~2022/1/21 ※こちらの作品はノベマ!様・エブリスタ様でも公開中(完結済)です。 (2019年に書いた作品をブラッシュアップしています)

佐世保黒猫アンダーグラウンド―人外ジャズ喫茶でバイト始めました―

御結頂戴
キャラ文芸
高校一年生のカズキは、ある日突然現れた“黒い虎のような猫”ハヤキに連れられて 長崎の佐世保にかつて存在した、駅前地下商店街を模倣した異空間 【佐世保地下異界商店街】へと迷い込んでしまった。 ――神・妖怪・人外が交流や買い物を行ない、浮世の肩身の狭さを忘れ楽しむ街。 そんな場所で、カズキは元の世界に戻るために、種族不明の店主が営むジャズ喫茶 (もちろんお客は人外のみ)でバイトをする事になり、様々な騒動に巻き込まれる事に。 かつての時代に囚われた世界で、かつて存在したもの達が生きる。そんな物語。 -------------- 主人公:和祁(カズキ)。高校一年生。なんか人外に好かれる。 相棒 :速来(ハヤキ)。長毛種で白い虎模様の黒猫。人型は浅黒い肌に金髪のイケメン。 店主 :丈牙(ジョウガ)。人外ジャズ喫茶の店主。人当たりが良いが中身は腹黒い。   ※字数少な目で、更新時は一日に数回更新の時もアリ。  1月からは更新のんびりになります。  

恵麗奈お嬢様のあやかし退治

刻芦葉
キャラ文芸
一般的な生活を送る美憂と、世界でも有名な鳳凰院グループのお嬢様である恵麗奈。  普通なら交わることのなかった二人は、人ならざる者から人を守る『退魔衆』で、命を預け合うパートナーとなった。  二人にある共通点は一つだけ。その身に大きな呪いを受けていること。  黒を煮詰めたような闇に呪われた美憂と、真夜中に浮かぶ太陽に呪われた恵麗奈は、命がけで妖怪との戦いを繰り広げていく。  第6回キャラ文芸大賞に参加してます。よろしくお願いします。

わたし沖縄で働くことにしました(沖縄の風や味が忘れられなくて)

なかじまあゆこ
ライト文芸
旅行で行った沖縄。沖縄で食べた美味しかった沖縄そば。そして、亜熱帯地域独特の風が忘れられない、みどりと真理子。 二人は自分たちのことを認めてくれない会社に愛想を尽かして、まだなんとか若いと言える今のうちにやりたいことをやってみようと、東京から沖縄の地にホテルの従業員として働くことに決めたのだった。 沖縄で働きながらほっこり癒やしの物語です。 読んで頂けると嬉しいです。

処理中です...