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第二章 もふもふが集う古書カフェ店へようこそ!

3 動物達と本を探そう

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「みどりちゃん、可愛らしいお客さん達は中々注文しないね」

  さっきからメニューを真剣な表情で眺めてうーんうーんと唸りながら悩んでいる二匹と一羽の姿は可愛らしいのだけどかれこれ二十分も経ったのではないかなと思う。

「あの子達は誰かに似ているよね?」

  みどりちゃんはなぜだかわたしの顔をじっと眺めてにやりと笑った。

「みどりちゃん、どうしてわたしの顔を見るのよ?」

 「だって、真理子は優柔不断で飲食店に行ってもメニューを見てあれも食べたいこれも食べたいと言って悩むでしょう?  その姿に似ているよ」

  確かにわたしは優柔不断だ。美味しそうなメニューがたくさん並んでいると全部食べたくなってすぐに決められない。だって、どんな味がするのかなと想像するとワクワクして幸せな気持ちになる。

  だから、あれもこれもと迷ってしまうのだ。そんなわたしはみどりちゃんが言っていることはごもっともではあるけれど動物と似ているだなんてなんだかなと思う。

  その時、

「すみません~にゃん」と茶和ちゃんが手を上げた。


  「は~い、は~い、ご注文は決まったのかな?」

  わたしは伝票を手にしてにっこりと笑った。

「ハイビスカスティーをくださいにゃん」

「わたしもハイビスカスティーが飲みたいよ。コッコッコー」

「うーん、迷うけどさんぴん茶をくださいワン」

「ご注文は茶和ちゃんとヤンバちゃんがハイビスカスティーでチワワンちゃんはさんぴん茶だね」

  わたしは元気よく注文内容を復唱した。何十分も悩んでお茶一杯なのかと思うと可笑しくなるけれど、悩む気持ちは分かるので良しとしよう。

「ねえ、皆は本は読まないの?  このお店は古書カフェだよ」

  動物達が本を読むとは思えないけれど聞いてみた。

「本ですか?  うにゃ読みますにゃん。探してきますにゃん」と言ったかと思うと茶和ちゃんはハイチェアからぴょーんと飛び降り見事に着地。

  そして、書籍が並ぶコーナーに可愛らしい足取りで歩いて行った。チワワンちゃんとヤンバちゃんも「待って」と言って後に続いた。


  
  可愛らしいなと動物達を眺めながらわたしは、カウンターの前に立っているみどりちゃんに「ハイビスカスティー二つとさんぴん茶一つをお願いね」と言った。

  みどりちゃんは「飲み物だけなんだね」と言って笑顔になった。やっぱりわたしと同じことを思うよね。

「そうそうみどりちゃん、あの子達ってば本も読むみたいだよ」

  調理部屋の暖簾を潜ろうとしているみどりちゃんにわたしは声をかけた。

  みどりちゃんはくるりと振り返り、「あの可愛らしいお客さん達は本も読むんだ」と言って目尻を下げて楽しそうに笑った。

  わたしも可愛らしいお客さん達はどんな本を読むのかなと考えると楽しい気持ちになり自然と笑顔がこぼれた。

  そうだ、わたしも一緒に本でも探そうかな。
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