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第一章 古書カフェ店のスタートです

11 居眠りしていました

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「真理子、ちょっと真理子ってば」

  わたしの肩を誰かがぶんぶん揺する。だからわたしは沖縄ならではのゆっくりゆったり気分を味わっているのだから邪魔なんてしないでほしい。

「梅木さん、ちょっと、梅木さん~」

  またまた誰かがわたしの肩を揺する。本当にうるさい人達で困ったものだ。わたしは、焦らない慌てないと決めたのだからゆっくりさせてもらいたい。

  真っ白なサラサラの砂浜に青くて透き通る沖縄の海。キラキラ輝く夏の太陽が心地いい。ああ、幸せだな。わたしはなんて幸せなんだろう。ずっと、ずっとこの海の中にいたいな。

「真理子、ちょっと真理子ってばヨダレが垂れているよ。汚ないな」

  わたしは、ガバッと起き上がった。

「あれ?  わたし寝ていた?」

「おはよう、真理子。レジカウンターで寝ないでよ」


  
  どうやら知らないうちにわたしは寝ていたようだ。みどりちゃんも吉田さんもわたしの顔をじっと見て笑っている。

「あははっ、寝てた~」

  わたしは手の甲で慌ててヨダレをぬぐい笑ってみせた。

「本当に真理子らしいよね」

  みどりちゃんはクスクス笑っている。

「梅木さんっていつもこんな感じなんですか?」

  吉田さんも目を細めて笑っている。

「そうなんですよ。いつもぽけーっとしてるし朝はわたしが起こさないといつまでもグーグー寝ているんですよ。今日は珍しく早起きしておはようなんて言うのでびっくりしてしまいましたよ」

  みどりちゃんはを吉田さんに余計なことを教えるんだから酷いよ。恥ずかしいじゃないの。

「あははっ、そうなんですね。まあ、それも可愛らしくていいじゃないですか」

  吉田さんは、わたしの顔をじっと見て柔らかい笑顔を浮かべた。可愛らしいなんて言われるとちょっと嬉しくなってしまう。

「あははっ……」

   わたしは、乱れたポニーテールの髪の毛をきゅっと結び直しながらにひひっと笑った。

  すると吉田さんが。


  「お客さんも来ないことですしゆっくりお茶でもしましょう。あ、梅木さんポニーテールの髪の毛がゴムに絡まっていますよ」

「えっ、うそ……結び直したのに……」

  わたしは、頭を触った。

  吉田さんはクスッと笑ったかと思うと奥にある調理部屋の暖簾を潜って行ってしまった。

  うわぁとんでもない失態ではないか。

「真理子ってば本当にどんくさいんだから」

  みどりちゃんはそう言ったかと思うとさっさとわたしの髪の毛を結び直してくれた。

「あ、みどりちゃん、ありがとう……」

「あははっ、どういたしまして。はい、出来上がり。綺麗になったよ」

  みどりちゃんはちょっと呆れたように眉を下げて笑った。なんだか少しだけ悔しいなと思った。
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