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第一章 古書カフェ店のスタートです

7 やりたいことを頑張ろう

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  それからは、本棚の整理にカフェコーナーの準備などで忙しい時間が続いた。

  わたしは主に本棚の整理をしたけれど本は重たくて開店前からかなり疲れた。体力がないことを痛感する。ちょっと運動不足だったかな。

  みどりちゃんはせっせとカフェメニューの準備をしている。わたしも器用だったら美味しい料理を作りたいのになと思いながらみどりちゃんをじっと眺めた。

  わたしと言えば不器用でキュウリの輪切りさえまともに出来ないのだから。

 だけど、いいのだ。わたしが出来ることを頑張ろう。無理に苦手なことをやっても仕方がない。

  そうだ、沖縄のご当地コーナーも可愛く楽しく作ろう。シーサーの置物をずらずらと並べてヤンバルクイナのぬいぐるみも飾った。このぬいぐるみはなんだかヤンバちゃんに似ているなと思うと嬉しくて頬が緩む。

  ふふん、可愛らしいコーナーが出来たぞとわたしは満足した。

  「うひゃーー」

  思わず大きな声が出てしまった。わたしの頬に冷たい飲み物が当てられた。

「お疲れ様です。開店前にシークワーサージュースでも飲みましょう」

  振り返ると、吉田さんがいつの間にかわたしの後ろに立っていてシークワーサージュースの注がれたグラスをわたしの頬に当てていた。

「あ、ありがとうございます。冷たいですよ。びっくりするじゃないですか!」

「あははっ、びっくりしましたか。梅木さんが真剣にシーサーなんて並べているので驚かせてしまいました」

  吉田さんは、猫の寝顔みたいな微笑みを浮かべた。

「真理子ってば、またまたシーサーを並べているんだね」

  みどりちゃんがシークワーサージュースをゴクゴク飲みながら言った。

「うん、やっぱり沖縄と言えばシーサーだもんね」

  わたしは、吉田さんから受け取ったシークワーサージュースをゴクゴク飲みながら笑った。口の中は甘酸っぱくて爽やかなシークワーサージュースでスカッとした。
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