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第一章 古書カフェ店のスタートです
4 可愛い動物達と大切な本とそれから
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「どうしたの? みどりちゃん」
わたしが、みどりちゃんの指差す方向を見ると、そこには……
猫の毛玉ボールとヤンバルクイナの羽根が綺麗に並べて置かれていた。これは、茶和ちゃんとヤンバちゃんの置き土産のようだ。
「あの猫と鳥ってばやってくれるね!」
わたしは、クスクス笑いながら言った。まったくもうあの愛くるしいもふもふの一匹と一羽が毛玉ボールと羽根を並べている姿を想像するとおかしくなってくる。
「そうだね。なんだかやっていることが真理子みたいだよね」
みどりちゃんはそう言ってにーっと笑った。
「ちょっと、みどりちゃんそれって酷くない~」
わたしは、ぷくっぷくぅーと頬を最大限に膨らませた。動物や鳥と一緒にしないでよ。ぷんぷんと頭にくるので手元にある本を本棚にゴトンと乱暴にしまう。本に当たるなんていけないなと思いわたしは本の背表紙をそっと撫でた。
古書カフェ店をやっていくのだから本を大切にしないといけないなと思った。
思えばわたしは子供の頃から本が好きだった。図書館に通いたくさん本を読んだしお母さんやおばあちゃんにも本を買ってもらいワクワクしながら読んだ。
絵本も小説も漫画もなんでも好きだった。海外の文学作品『若草物語』なんて読むと一人っ子のわたしは姉妹に憧れた。お姉ちゃんや妹がいるときっと楽しいのではなんて思いながら読んだな。
ミステリー小説も好きでガストン・ルルーの『黄色い部屋の秘密』なども意味もあまり分かっていなかったけれど夢中になり読んだ。
なんてことを本の背表紙を撫でていると思い出した。
人と少し違う変わり者のわたしを本の世界は温かく迎え入れてくれた。だからだろうかなぜだか分からないけれど古書カフェ店に強く強く惹かれた。
あの張り紙を見てどうしても古書カフェ店の店長になりたいなと思った。
わたしが、ぼーっと物思いにふけていると、ポンポンと肩を叩かれた。
振り返るとみどりちゃんが不思議そうにわたしの顔を見ていた。わたしは、ハッと我に返った。
「あ、みどりちゃん。びっくりした」
「真理子どうしたのぼーっとして大丈夫? 暑くておかしくなってしまった? まあ、真理子は元からおかしいけどね」
みどりちゃんはいつも憎まれ口をたたくのだから。
「ううん、大丈夫だよ。わたしって本が好きだったんだなって思い出していたんだよ。今たくさんの本に囲まれて幸せだなって思ったんだ」
わたしは、みどりちゃんの顔を見てにっこりと笑った。
「そっか、良かった。本当は熱中症にでもなったのかなとか心配したよ。それか不思議な動物や鳥達のことを考えているのかなと思った。わたしも本が好きだよ。この古書の匂いもなんだか懐かしくていいね」
みどりちゃんは、そう言ってくんくんとまるで犬のように息を吸い込んだ。
わたしもみどりちゃんに近づき鼻をくんくんくんくんとさせて息を吸い込み古書の匂いを嗅ぐ。
「真理子、顔が近いってば……」
「えへへっ。なんだか懐かしいな。こうして古書の匂いを嗅いでると幼い日のこととか思い出してしまうな。ここにあるたくさんの本にもきっといろいろな歴史があるんだろうね」
わたしは、嫌そうに後ろに仰け反るみどりちゃんの腕をぎゅっと掴み、「わたしと出会ってくれてありがとう」と言った。
「……えっ、真理子。気持ち悪いな何よそれ……」
びっくりしたようにみどりちゃんは目を大きく見開いている。
「気持ち悪いなって酷いな。だって、わたしみどりちゃんと出会っていなかったら今頃ぽつりんと一人でうじうじしていたかもなんて思うと恐ろしくて、だから、みどりちゃんと出会えたことに感謝しているんだもん」
わたしは、素直な気持ちを伝えることが出来て嬉しくなった。
「……真理子ってばどうしちゃったの? だけど、わたしも真理子といると飽きないよ。ドジで間抜けな真理子が可愛いよ~」
みどりちゃんはにっこり笑った。
「ドジで間抜けって本当のことだけど失礼だね。でも可愛いだなんてありがとう」
わたしは、にっこり笑いみどりちゃんに抱きついた。
「ちょっと、真理子ってば暑苦しいよ」
みどりちゃんはわたしを振り払おうとする。
「駄目だよ。逃がさないよ」
わたしは、にーっと笑った。
わたしが、みどりちゃんの指差す方向を見ると、そこには……
猫の毛玉ボールとヤンバルクイナの羽根が綺麗に並べて置かれていた。これは、茶和ちゃんとヤンバちゃんの置き土産のようだ。
「あの猫と鳥ってばやってくれるね!」
わたしは、クスクス笑いながら言った。まったくもうあの愛くるしいもふもふの一匹と一羽が毛玉ボールと羽根を並べている姿を想像するとおかしくなってくる。
「そうだね。なんだかやっていることが真理子みたいだよね」
みどりちゃんはそう言ってにーっと笑った。
「ちょっと、みどりちゃんそれって酷くない~」
わたしは、ぷくっぷくぅーと頬を最大限に膨らませた。動物や鳥と一緒にしないでよ。ぷんぷんと頭にくるので手元にある本を本棚にゴトンと乱暴にしまう。本に当たるなんていけないなと思いわたしは本の背表紙をそっと撫でた。
古書カフェ店をやっていくのだから本を大切にしないといけないなと思った。
思えばわたしは子供の頃から本が好きだった。図書館に通いたくさん本を読んだしお母さんやおばあちゃんにも本を買ってもらいワクワクしながら読んだ。
絵本も小説も漫画もなんでも好きだった。海外の文学作品『若草物語』なんて読むと一人っ子のわたしは姉妹に憧れた。お姉ちゃんや妹がいるときっと楽しいのではなんて思いながら読んだな。
ミステリー小説も好きでガストン・ルルーの『黄色い部屋の秘密』なども意味もあまり分かっていなかったけれど夢中になり読んだ。
なんてことを本の背表紙を撫でていると思い出した。
人と少し違う変わり者のわたしを本の世界は温かく迎え入れてくれた。だからだろうかなぜだか分からないけれど古書カフェ店に強く強く惹かれた。
あの張り紙を見てどうしても古書カフェ店の店長になりたいなと思った。
わたしが、ぼーっと物思いにふけていると、ポンポンと肩を叩かれた。
振り返るとみどりちゃんが不思議そうにわたしの顔を見ていた。わたしは、ハッと我に返った。
「あ、みどりちゃん。びっくりした」
「真理子どうしたのぼーっとして大丈夫? 暑くておかしくなってしまった? まあ、真理子は元からおかしいけどね」
みどりちゃんはいつも憎まれ口をたたくのだから。
「ううん、大丈夫だよ。わたしって本が好きだったんだなって思い出していたんだよ。今たくさんの本に囲まれて幸せだなって思ったんだ」
わたしは、みどりちゃんの顔を見てにっこりと笑った。
「そっか、良かった。本当は熱中症にでもなったのかなとか心配したよ。それか不思議な動物や鳥達のことを考えているのかなと思った。わたしも本が好きだよ。この古書の匂いもなんだか懐かしくていいね」
みどりちゃんは、そう言ってくんくんとまるで犬のように息を吸い込んだ。
わたしもみどりちゃんに近づき鼻をくんくんくんくんとさせて息を吸い込み古書の匂いを嗅ぐ。
「真理子、顔が近いってば……」
「えへへっ。なんだか懐かしいな。こうして古書の匂いを嗅いでると幼い日のこととか思い出してしまうな。ここにあるたくさんの本にもきっといろいろな歴史があるんだろうね」
わたしは、嫌そうに後ろに仰け反るみどりちゃんの腕をぎゅっと掴み、「わたしと出会ってくれてありがとう」と言った。
「……えっ、真理子。気持ち悪いな何よそれ……」
びっくりしたようにみどりちゃんは目を大きく見開いている。
「気持ち悪いなって酷いな。だって、わたしみどりちゃんと出会っていなかったら今頃ぽつりんと一人でうじうじしていたかもなんて思うと恐ろしくて、だから、みどりちゃんと出会えたことに感謝しているんだもん」
わたしは、素直な気持ちを伝えることが出来て嬉しくなった。
「……真理子ってばどうしちゃったの? だけど、わたしも真理子といると飽きないよ。ドジで間抜けな真理子が可愛いよ~」
みどりちゃんはにっこり笑った。
「ドジで間抜けって本当のことだけど失礼だね。でも可愛いだなんてありがとう」
わたしは、にっこり笑いみどりちゃんに抱きついた。
「ちょっと、真理子ってば暑苦しいよ」
みどりちゃんはわたしを振り払おうとする。
「駄目だよ。逃がさないよ」
わたしは、にーっと笑った。
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