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第一章 古書カフェ店のスタートです
3 さあ、頑張ろう
しおりを挟む新しいお友達も出来たことだし楽しく頑張ってお店を作っていかないとね。
「みどりちゃん、頑張ろうね」
わたしは、少しウェーブのとれかかった髪の毛をポニーテールに結び良しと気合いを入れた。
「真理子にしてはやる気満々じゃない。うん、頑張ろうね。お客さんがたくさん来てくれるといいね」
みどりちゃんもやる気満々で力強い表情を見せた。
古書の整理や値札付け等も大変そうだな。それからカフェ分野は主に飲み物とちょっとしたお菓子や料理などでいいとのことだけど、わたしは不器用だからみどりちゃんに任せないとね。
わたしは、本の値札付けや書棚の整理に力を注ごう。うん、そうしよう。
「ちょっと、真理子なんだかにやにや笑っていない?」
「ううん、なんでもないよ~」
わたしは、ニコニコの笑顔を作り笑って見せた。
「怪しいな……」
みどりちゃんは、わたしの顔をちらりと睨みながら言った。
「さあ、みどりちゃん仕事、仕事だよ~さてと値札付けから始めようかな」
わたしは、エプロンを付けて紐を後ろでクロスにして結んだ。上手く結べないけどまあいいか。
「真理子、エプロンの紐をちゃんと結びなよ」
みどりちゃんがわたしの肩をぽんと叩きながら言った。
「あ、うん、でも面倒くさいじゃない。それにご存知の通りわたしエプロンの紐を結ぶの苦手なんだもーん」
そうそう紐がほどけなければなんでもいいのだ。そう思ってわたしが山積みにされている本を手に取ろうとしたその時、ぐいっと腕を引っ張られた。
振り返るとみどりちゃんが、「わたしがエプロンの紐を結び直してあげるよ」と言った。
みどりちゃんは器用にエプロンの紐を結んでくれた。
「真理子って本当に不器用だね。まあ、それが真理子らしいけどね」
みどりちゃんは、クスクス笑いながら「ほら、結べたよ」と言ってわたしの肩を両手でぽんぽんと叩いた。
「みどりちゃん、ありがとう」
わたしは振り返り笑った。
「どういたしまして。さあ、仕事、仕事だよ。先ずは掃除からかな」
みどりちゃんもサラサラの長い髪の毛を後ろで結わえた。
わたしは、元気で明るくてちょっと意地悪なところもあるけれど本当は優しくて思いやりのあるみどりちゃんが大好きだ。
「ねえ、真理子、笑っている?」
「ううん、笑ってないよ」
なんて答えるわたしだけど口元が緩んでしまう。大好きだよなんて言ってあげないからね。
「ちょっと、真理子、邪魔だよ退いて」
わたしが天井近くまである木製の本棚に本を並べているとホウキを片手に持ったみどりちゃんが、わたしの足もと付近の掃き掃除をする。
「みどりちゃん、わたしは本を並べているんだよ。みどりちゃんこそ邪魔だよ」
わたしは、くるりと振り返りみどりちゃんを睨んだ。
「ふん、真理子がとろとろ本の整理をしているからでしょう? ねえ、そういえば茶和ちゃんとヤンバちゃんはどこに行ったのかな?」
みどりちゃんは箒を動かす手を止めて言った。
「あ、そういえば、茶和ちゃんとヤンバちゃん居ないね?」
わたしは室内をぐるりと見渡した。どこにも喋る猫の茶和ちゃんと同じく喋る鳥のヤンバちゃんの影も形もなかった。
まさか、あの一匹と一羽が居たのは夢だったとか……
そんなはずないよね。確かにこの目で見たのだから。喋る猫や鳥なんていない方が現実的ではあるのだけど。
その時、みどりちゃんが、
「あ、真理子! 見て」と言った。
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