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第一章 古書カフェ店のスタートです
1 古書カフェ店の店長になりました
しおりを挟むあれよという間にわたしとみどりちゃんの採用が決定した。
「じゃあ、お二人この店を頼みましたよ。あ、この鍵を渡しておきますね」
そう言って、吉田さんは銀色の猫のキーホルダーが付いた鍵を渡してきた。
「あ、えっとそのわたし達はまだ仕事を辞めてなくて……」
みどりちゃんがそう答えると吉田さんは、「この古書カフェ店は、今のお仕事をきちんと辞められてからで大丈夫ですよ」と言ってにっこりと微笑んだ。
「あ、それからお店の二階の部屋も住いとして使われても大丈夫ですよ」
わたし達は、吉田さんからお店の経営について書かれたマニュアルなどをどっさり渡された。
「では、何かありましたらこちらまでよろしくお願いします」
吉田さんの住所や連絡先電話番号などが書かれている名刺を渡された。
何がなんだか分からないうちにこの店で店長として働くことになった。
「みどりちゃん、どうしよう……わたし達上手くやっていけるかな?」
「なるようにしかならないよね」
わたしとみどりちゃんは、顔を見合わせて笑った。
ーーーー
それから、わたし達が働いていたホテルに辞める旨を伝え退職した。
わたし達の日常が大きく変わろうとしている。
「みどりちゃん、これから忙しくなるね」
「うん、真理子頑張ろうね。改めてこれからもよろしくね」
わたし達は力一杯握手をした。
「ちょっと、みどりちゃん痛いってば」
「真理子こそ力を込めて握りすぎだよ」
お互いさまだよねと笑い合いわたし達はぎゅぎゅぎゅっーと強く手を握り合った。みどりちゃんってば怪力なんだから。
その時、
にゃーん、にゃにゃーん、どこかから猫の鳴き声が聞こえてきた。その鳴き声に振り返り足元に目を落とすと黄色い目をしたトラ猫がわたしを見上げて鳴いていた。
あ、この猫は、わたしをこの古書カフェへと導いた猫さんではないか。
「みどりちゃん、この子だよ~わたしの運命を変えた猫さんだよ」
猫は、にゃーんと鳴きみどりちゃんは猫をじっと眺めた。
「真理子、この子……」
「えっ、何?」
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