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プロローグ 沖縄と不思議な猫

4 猫

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  わたしの前を歩く猫の可愛らしいピンと立てた尻尾が左右にゆらゆら揺れている。可愛いな。どこに行くのだろうか?

  猫は沖縄の住宅街を真っ直ぐてくてく歩いている。途中わたしの大好きな沖縄そば店があり思わず食べたくなってしまったけれど、いけない、いけない。今は猫を追いかけないと。

  それにしても、沖縄の住宅は木造住宅よりも圧倒的に鉄筋コンクリートの住宅が多いなと思う。

  そんなことをぼんやりと考えながら猫の後を追いかけていると、猫はレトロな雰囲気の漂う建物の前でぴたりと立ち止まった。

  そして、くるりとこちらに振り返った。

  猫の黄色の目とわたしの目が合った。その目はここだよと言っているように見えた。

  そして、にゃーんと猫は鳴いた。

  ここだよ、ここだよと言ってるかのように何度もにゃーんと鳴く猫。

  何だろう?  猫はそのレトロな雰囲気が漂う建物を見上げている。

 

  「猫ちゃん、どうしたの?」

  わたしは、猫の隣に立ち建物を見た。すると、お店のシャッターに張り紙が貼られていた。

  何だろう?  とわたしはその張り紙を見た。すると、そこには、

『沖縄で夢を売りませんか?  古書カフェの雇われ店長二名募集中』と書かれていた。

  沖縄で夢を売りませんか?  この言葉にわたしは強く惹かれた。

  なぜだかよく分からないけれど、これだと思った。そう思うとワクワクして今にもぴょんぴょんと飛び跳ねたくなった。

「決めた!  猫ちゃん、わたし店長になるよ。ねえ、わたし店長になるんだからね」

  わたしは、猫の顔をちらりと見た。すると、猫はわたしを見上げその黄色の瞳は頑張ってねと言っているように見えた。

  そして、もう一度張り紙に目を移すと、張り紙の最後に書かれていた言葉にわたしは目を丸くした。

  だって、『頑張ってね。もふもふっ』なんて書いてあるのだから。もふもふって何だろう、わたしは首を傾げた。まあ、何でもいいや。

  そんなことよりみどりちゃんに早速話さないと。
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