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魔法の村と魔法使いと動物達
花とチャーミにゃん
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俺達はしばらくの間ぼんやりとその美しい花達がぽんぽん、ぽんぽんと咲く光景を眺めていた。
桜の花を眺めると川沿いの桜を歩いた思い出がふわふわふわりと甦ってきた。あれはいつの日のことだっただろうか。最近は忙しくて花見をする時間もなかった。
ひまわりの花を見ると夏の暑い日太陽の方向を向いて大きな花を咲かせるひまわり。俺はひまわり畑の中おもいっきり走った。あれはまだ小学生の頃の俺だろう。
楽しかった夏休みはいつの間にか終わりを告げ俺は大人になった。けれど、俺の目標としていた大人にはなれなかった。
そう思うとなんだか涙が出そうになる。
ハイビスカスの花やブーゲンビリアは沖縄の楽園を思い出す。会社から逃げ出したくて沖縄の海に行こう。いや、行きたいなと思っていた。それがなぜだか貧神とチャーミにゃんに出会い、今この世界にいるのだ。
そんなことを思い出し俺は綺麗に咲く花達を眺めた。
動物達が美しい魔法の杖をくるくると振り回すとぽんぽん、ぽんぽん、ぽんぽんと花が咲く。
ぽんぽん、ぽんぽんと咲く花を眺めていると俺の懐かしい過去が甦ってきた。
俺はどこかで人生の選択を間違えてしまったのだろうか? わからない。何が正しいのか……。
ただ、今、この世界でこの花を見ている俺はとても幸せだ。だから、これでいいんだよな。誰に言うのでもなく『これでいいんだよな』その言葉が宙にぽーんと浮かんだ。
花が次から次へと咲く。綺麗で色鮮やかな花達がようこそと両手を広げて迎え入れてくれる。そんな感覚に陥る。
「貧神、綺麗だな」
「えっ!? 俺って綺麗かな? そうだな神様だから美しいよな」
なんて勘違いをする貧神。
「はぁ? 貧神のことじゃなくてこの花のことだよ」
俺はクスクスと笑いながら貧神の顔を見てそれからも綺麗に咲き誇る花見に目を向けた。
「なんだよ。俺のことじゃないのかよ。俺も美しいぞ」
貧神はそう言って胸を張るけれど、パジャマ姿なんだよな。可笑しくて笑ってしまうぜ。
「貧神、お前は笑わせてくれる神様だよな」
「だから俺は神様を卒業するんだよ」
「はいはい、わかったよ」
「わかったのならばそれで良い。この咲き誇る花は綺麗だな。俺に負けないくらいにな」
「あはは、そうかよ」
俺達はそんな会話をしながらぽんぽん、ぽーんぽんぽんと次から次へと咲く花見達を眺めた。
「にゃはは、綺麗な花達でしょう?」
チャーミにゃんが俺の隣に立ち言った。
「ああ、めちゃくちゃ綺麗だな」
「良かったにゃん。成行と貧神をこの魔法の村に連れてきて」
チャーミにゃんは満足げな笑みを浮かべた。
「チャーミにゃんありがとう」と俺と貧神はほぼ同時に言った。
「にゃはは、どういたしましてにゃん」
チャーミにゃんはちょっと誇らしげな笑みを浮かべた。その時、俺はふと思った。
「なあ、チャーミにゃんもその棒切れみたいな魔法の杖で花をさかせることができるのかい?」
「あ、俺も気になるぞ!」
チャーミにゃんは俯き「……そ、それは……わたしは落ちこぼれな魔法使い猫なので……できませんにゃん」と小さな声で答えた。
これは余計なことを聞いてしまったのではないか隣に俺は反省する。
「チャーミにゃん気にするなよ。余計なことを聞いてごめんなさい」
俺は俯くチャーミにゃんの顔を覗き込んだ。
暫しの沈黙の後、チャーミにゃんは顔を上げた。
そして……。泣くのかと思いきや。
「成行、気にしないでにゃん。わたしはこれから成行や貧神と一緒に素晴らしい魔法使いになる修行をしますにゃん」
そう言って満面の笑みを浮かべた。
「そうか良かった」
俺はほっとしてそう答えたけれど、成行と貧神と一緒にと言う言葉が気になった。
まあ、今は余計なことなど考えず綺麗な花を眺めよう。
桜の花を眺めると川沿いの桜を歩いた思い出がふわふわふわりと甦ってきた。あれはいつの日のことだっただろうか。最近は忙しくて花見をする時間もなかった。
ひまわりの花を見ると夏の暑い日太陽の方向を向いて大きな花を咲かせるひまわり。俺はひまわり畑の中おもいっきり走った。あれはまだ小学生の頃の俺だろう。
楽しかった夏休みはいつの間にか終わりを告げ俺は大人になった。けれど、俺の目標としていた大人にはなれなかった。
そう思うとなんだか涙が出そうになる。
ハイビスカスの花やブーゲンビリアは沖縄の楽園を思い出す。会社から逃げ出したくて沖縄の海に行こう。いや、行きたいなと思っていた。それがなぜだか貧神とチャーミにゃんに出会い、今この世界にいるのだ。
そんなことを思い出し俺は綺麗に咲く花達を眺めた。
動物達が美しい魔法の杖をくるくると振り回すとぽんぽん、ぽんぽん、ぽんぽんと花が咲く。
ぽんぽん、ぽんぽんと咲く花を眺めていると俺の懐かしい過去が甦ってきた。
俺はどこかで人生の選択を間違えてしまったのだろうか? わからない。何が正しいのか……。
ただ、今、この世界でこの花を見ている俺はとても幸せだ。だから、これでいいんだよな。誰に言うのでもなく『これでいいんだよな』その言葉が宙にぽーんと浮かんだ。
花が次から次へと咲く。綺麗で色鮮やかな花達がようこそと両手を広げて迎え入れてくれる。そんな感覚に陥る。
「貧神、綺麗だな」
「えっ!? 俺って綺麗かな? そうだな神様だから美しいよな」
なんて勘違いをする貧神。
「はぁ? 貧神のことじゃなくてこの花のことだよ」
俺はクスクスと笑いながら貧神の顔を見てそれからも綺麗に咲き誇る花見に目を向けた。
「なんだよ。俺のことじゃないのかよ。俺も美しいぞ」
貧神はそう言って胸を張るけれど、パジャマ姿なんだよな。可笑しくて笑ってしまうぜ。
「貧神、お前は笑わせてくれる神様だよな」
「だから俺は神様を卒業するんだよ」
「はいはい、わかったよ」
「わかったのならばそれで良い。この咲き誇る花は綺麗だな。俺に負けないくらいにな」
「あはは、そうかよ」
俺達はそんな会話をしながらぽんぽん、ぽーんぽんぽんと次から次へと咲く花見達を眺めた。
「にゃはは、綺麗な花達でしょう?」
チャーミにゃんが俺の隣に立ち言った。
「ああ、めちゃくちゃ綺麗だな」
「良かったにゃん。成行と貧神をこの魔法の村に連れてきて」
チャーミにゃんは満足げな笑みを浮かべた。
「チャーミにゃんありがとう」と俺と貧神はほぼ同時に言った。
「にゃはは、どういたしましてにゃん」
チャーミにゃんはちょっと誇らしげな笑みを浮かべた。その時、俺はふと思った。
「なあ、チャーミにゃんもその棒切れみたいな魔法の杖で花をさかせることができるのかい?」
「あ、俺も気になるぞ!」
チャーミにゃんは俯き「……そ、それは……わたしは落ちこぼれな魔法使い猫なので……できませんにゃん」と小さな声で答えた。
これは余計なことを聞いてしまったのではないか隣に俺は反省する。
「チャーミにゃん気にするなよ。余計なことを聞いてごめんなさい」
俺は俯くチャーミにゃんの顔を覗き込んだ。
暫しの沈黙の後、チャーミにゃんは顔を上げた。
そして……。泣くのかと思いきや。
「成行、気にしないでにゃん。わたしはこれから成行や貧神と一緒に素晴らしい魔法使いになる修行をしますにゃん」
そう言って満面の笑みを浮かべた。
「そうか良かった」
俺はほっとしてそう答えたけれど、成行と貧神と一緒にと言う言葉が気になった。
まあ、今は余計なことなど考えず綺麗な花を眺めよう。
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