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魔法の村と魔法使いと動物達

魔法の村

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  チャーミにゃんはしょぼい棒切れみたいな杖を振り回しながら歩いている。俺は貧神と横に並んで歩きながら揺れるしょぼい棒切れみたいな杖を眺める。

しょぼい棒切れみたいな杖にくっついている星がキラッと光ったような気がした。

  魔法の村は空気が美味しくて緑が溢れる癒しの世界だ。俺はそんな空間を二足歩行の猫のチャーミにゃんと虎のトラッコさんとそれからパジャマ姿の貧神と一緒に歩いている。

  なんとも不思議な光景だろうなと思う。俺だけが唯一まともなんだからな。

「おい、成行ブツブツ呟いて不気味な奴だよな」貧神がこちらを向き言った。

「いや、この中で俺だけ普通の人間でまともだなと思ってさ」

「はぁ?  まあ、成行だけ人間ではあるけどお前も相当変わった奴だと思うぞ」

「何でだよ!」

  俺は貧神や不思議な動物達と同じ扱いはされたくないぞと思った。

「だってさ、自分はまともだと思っている奴に限って変わっているって言うだろう」

  貧神はふふんと笑う。

「少なくとも貧神よりはまともだよ」

「成行、貧神~魔法のりんごをどうぞにゃん」

  チャーミにゃんに目をやると木からりんごをもぎ取っているではないか。しかもそのりんごは……。

「ピンク色のりんごなんてあるんだね」

   そうなのだ。チャーミにゃんが差し出したりんごはキラキラと輝くピンク色のりんごだったのだ。
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