上 下
68 / 85
魔法の村と魔法使いと動物達

この世界は

しおりを挟む
「わっ!  クッキーが宙を舞っているにゃん。お茶屋の店員さんは流石だね」

「流石お茶屋の店員さんですよ。ガオーガオー」

  チャーミにゃんとトラッコが歓喜の声を上げている。

  俺と貧神は宙を舞い飛ぶクッキーを目を見開き眺め続けた。だって、クッキーが宙を舞うなんてことは普通じゃ考えられないことなのだから。

「クッキーをどうぞですにゃん」

   店員さんのそう言った言葉を理解しているかのようにクッキーは俺達のお皿にぽんぽんぽんと舞い降りてきた。

「わっ!!」と俺と貧神はまたまた声を上げてしまった。

「にゃはは、クッキーありがとうですにゃん」
「ありがとうございます。ガオーガオー」

  チャーミにゃんとトラッコさんは驚いた素振りも見せずにお皿に舞い降りてきたクッキーを眺め微笑みを浮かべている。

「今日のクッキーもきっと美味しいと思いますので寛ぎながら食べてくださいにゃん」

  店員さんはにっこりと笑い「では、ごゆっくりどうぞですにゃん」と言って厨房に去る。

「いつもあのパフォーマンスはあるか?」

「はいにゃん。このお茶屋さんはほぼ毎回何かをサービスしてくれますにゃん」

「そのサービスはお菓子などを宙に舞うのかい?」

  俺が尋ねるとチャーミにゃんが、

「はい、そうですにゃん。お菓子も飛んでくるしたまにティーカップやグラスが飛んでくることもあるにゃん」と答えるではないか。

「魔法の村にあるお茶屋さんですからね。ガオー!」

  トラッコさんはガオーと吠えながら笑みを浮かべた。

  そうか、そういうことなのか。だから、魔法の村なんだな。なんだか俺はワクワクしてきた。
しおりを挟む

処理中です...