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俺達がこの世界にやって来たのは意味があるのかもしれない
魚と貧神
しおりを挟む貧神はパジャマの袖を捲り上げやる気満々だ。
「ねえ、パジャマ姿でなんか無理っぽいにゃんね」
「だよな。なんかつるっと魚に逃げられそうな雰囲気だよな」
俺とチャーミにゃんは顔を見合わせた。
だがしかし、貧神は自信満々だ。
「よ~し! 魚よ待っておれ。この貧神様が捕ってやるぞ!」 貧神はククッと笑う。
「もしかしたら魚を捕るの得意にゃのかな?」
「う~ん? どうなんだろうね?」
貧神は魚を捕まえることに集中しているのか俺達の声は耳に入っていないようだ。
そして、貧神はウッシッシと笑いながらそっと川に手を入れた。
「頑張れ、頑張れ貧神~にゃん!」
チャーミにゃんが貧神を応援する。その手にはしょぼい棒切れみたいな星のくっついた杖が握れている。
「よし! 頑張るぞ。おい、成行も応援してくれよ」
貧神がこちらを振り向き言った。
「えっ! 俺にも応援してほしいのかよ」
俺はクスッと笑い「頑張れ頑張れ貧神~」と応援してやった。
「フフッ! よりやる気が出てきたぞ」
俺の応援も嬉しいらしい貧神は「えいっや!」と気合いを入れて魚を掴んだ。
「わっ! 貧神すご~いにゃん!」
「おっ! 貧神魚を捕まえたのかい!」
俺達は驚きの声を上げた。
「フフッ、俺を誰だと思っているんだよ。神様なんだぞ」
なんて言って自信ありげに笑う貧神ではあるけれど、神様を卒業したかったのではと突っ込みを入れたくなる。
まあそれはさておき貧神が素手で魚を捕まえた事実は凄いではないか。拍手をしてやろう。
「にゃはは、貧神は思ってたより凄いにゃ~ん」
チャーミにゃんはそう言って川の中でぴょんぴょんぴょんぴょんにゃんと飛び跳ねた。
すると、貧神が得意げに持っていた魚がスルッと貧乏神の手をすり抜け飛び跳ねた。
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