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俺達がこの世界にやって来たのは意味があるのかもしれない

俺達とチャーミにゃんとしょぼい魔法のつえ

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  この可愛らしい満面の笑みを浮かべるチャーミにゃんは呑気だけど、お父さんから落ちこぼれ魔女っ子猫と思われているんだよなと思うとなんだか同情してしまう。

「ん?  成行どうしたのにゃん?」

  チャーミにゃんはきょとん顔で可愛らしく首を傾げている。

「ああ、チャーミにゃんもいろいろ大変な思いをしたのかなと思ってね」

  俺は無邪気なチャーミにゃんの丸っこくて大きな目を見て言った。

「大変な思いですかにゃん?  わたしは幸せだよ」

  そう言ってチャーミにゃんはにゃぱにゃぱと無邪気な笑みを浮かべる。

「あはは、そうか。だよな……チャーミにゃんは幸せなんだよな」

  きっと、チャーミにゃんは辛いことがあってもそれを幸せに変える心の才能があるじゃないかな。なんだかそんな気がする。

「はいにゃん。クヨクヨしても美味しいものを食べたり遊んだりしているとわたしは元気になれますにゃん」

「そっか、ちょっとチャーミにゃんが羨ましいな。俺なんてどーんと落ち込んだままだからね」

  会社で嫌なことがあった週の休みの日なんて一日中寝ていたこともある。

「どーんと落ち込んでもにゃんにゃんとゆっくり這い上がるといいと思うにゃん」

「そうだね」

「そうですにゃんよ」

「でもね、チャーミにゃん俺達を猫人間と猫神様にしたことは少しは反省するんだぞ」

  俺が笑いながら言うとチャーミにゃんは、えへへと頭を掻き「了解しましたにゃん」と言ってびしっと敬礼のポーズを取る。

  わかっているのかいないのか疑問に感じるがまあ良しとしようじゃないか。

  貧神も「あはは、口だけじゃないのか」と言ってチャーミにゃんのしょぼい棒切れみたいな杖に手を触れながら笑っていた。


  その時、しょぼい棒切れみたいな杖がキラッと光輝いたことに俺達は気づいてはいなかった。
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