オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしの笑顔と恐怖

なかじまあゆこ

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オレンジ色の世界と恐怖

みんな大好きだったよ

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「次は真夜ちゃん。わたしツインテールの似合う自分の顔も嫌いじゃないけどクールビューティーな真夜ちゃんみたいになりたいなと思ったこともあるんだ」

  美奈はニコニコと笑い真夜の顔を見た。

「そ、それでわたしも選ばれたの」

   きょとんとする真夜に「そうだよ」と言って美奈は笑った。

「次は亜沙美ちゃん」

  わたしは自分の名前を呼ばれてドキドキした。果たして美奈はわたしにどんな思いを抱いていたのだろうか。

「亜沙美ちゃんは、わたしの大好きな友達だったよ。顔もよく似ているし優しくて思いやりがあってこの子とは大人になってもずっと友達でいたいなと思っていた……」

  美奈はわたしの目をじっと見て微笑みを浮かべた。

「……美奈、わたしも美奈が大切だったよ。可愛くて明るくて美奈といるとわたし元気になれたもん」

  気がつくとわたしの頬を涙が伝う。

「亜沙美ちゃん、ありがとう。ずっと一緒にいることが出来なくてごめんね。それと、わたしを小説に書いてくれたんだよね。嬉しいよ」

  美奈の泣いているような笑顔に視線を向けそういえば小説にと思った。まだ、はっきりと思い出すことができない。

「次は、松木君だよ」

「俺は特に何もないと思うけどな?」

「うふふ、松木君は俺様で自分勝手な奴だけど顔がちょっと好みだったよ」

「はっ?  顔ってそれだけかよ。それに自分勝手な俺様とはめちゃくちゃ酷いじゃないか」

「あはは、いいじゃない。だって、本当のことなんだから。でも、本当はいい奴だってこともわたし知っているよ。亜沙美ちゃんをビシバシしごいて良い小説を書かせてね」

  美奈はニコニコ笑い松木を見た。

「美奈、分かったよ。でも俺は美奈が亜沙美の傍にいてくれたらなと思うよ」

「ごめんね。松木君」
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