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オレンジ色の世界と恐怖
そんな……
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「みんな気づいているよね。ここはわたしが半分作り上げた世界だと言うことを……」
みんなは美奈の顔をじっと見ている。わたし以外のみんなはどんな気持ちで美奈のことを見ているのだろうか。
「美奈、どういうことだよ。どうして泣いているんだよ? 俺は全然分からないぞ!」
久野君はびっくりしてパニックになっているようだ。
「そっか、久野君は気づいていないんだね。わたしが死んでいることを」
「はぁ! 死んでいるって何の冗談を言っているんだよ!」
「うふふ、悲しいけどわたし死んでいるんだよ。誰かに殺されたのかな……」
美奈の目は悲しみと苦しみにそれから怒りが混ざっているように見えた。
「美奈ちゃん! 死んでいるなんて言わないで美奈ちゃんはここに存在しているじゃない」
わたしは黙っていられなくて叫んでしまった。
「亜沙美ちゃん、ありがとう。でもわたしはこの世にいないみたいなんだよ」
美奈は悲しげに微笑みそれから悔しそうに唇を噛んだ。
「そ、そんな。紫陽花柄の浴衣姿なのはもしかして、その時に……」
「うん、そうだよ。わたし夏祭りの日に誰かに殺されたんだよ。大好きなみんなとずっと夏祭りみたいな日々を送りたくて招待したけれど、もう電車も動いているしわたしの力もうダメみたい」
美奈の顔は悲しげに曇った。
「美奈ちゃん、そんなことってあるの。あんまりだよ」
みんなが目を見開きびっくりしたり泣いたり様々な表情をしている。
「でも、どうしてわたし達は何も覚えていないの?」
真由香がわたしも気になっていることを聞いた。
美奈は流した涙を手の甲で拭き顔を上げ笑った。
「それはみんなが忘れたいと思っているからかもしれないね」
確かにもし美奈が死んだのであれば忘れたいけれど、だからと言って忘れてしまったなんて信じられない。
「ふふっ、みんな驚いた顔をしているね」
美奈は先程まで涙を流していたのに今はニヤリと笑いこの状況を楽しんでいるようにも見える。わたし達の顔をじっと見た。
「だって、驚くの当然だよな。それと、同窓会の案内状はクラスの奴全員に届いたのか?」
「松木君の言う通りだね。ねえ、みんなどうして案内状が届いたか分かる?」
「それってクラスメイト全員に届いていないってことかな?」
「うん、そうだよ。みんなはわたしに選ばれたのかもね。まあ、あの夏祭りで会っているからだけどね」
美奈のツインテールが風にさらさらと揺れた。
「美奈ちゃんに選ばれた!」
わたし達みんなの声が重なった。
「そうよ。わたしに選ばれたのよ」
だから、かなは同窓会の案内状なんて知らないと言ったのだ。でも、どうしてわたし達は美奈に選ばれたのだろうか。
「どうして?」アザミ柄の浴衣姿の佐和が聞いた。
「それはね。じゃあ、順番に言うわよ。先ずは、久野君からね」
「えっ? 俺?」と久野君は自分の顔を指差し聞いた。
「うん。久野君は明るくて同窓会を盛り上げてくれるからよ」
「なんかただ盛り上げ役じゃないか」
「うふふ、ごめんね」
みんなは美奈の顔をじっと見ている。わたし以外のみんなはどんな気持ちで美奈のことを見ているのだろうか。
「美奈、どういうことだよ。どうして泣いているんだよ? 俺は全然分からないぞ!」
久野君はびっくりしてパニックになっているようだ。
「そっか、久野君は気づいていないんだね。わたしが死んでいることを」
「はぁ! 死んでいるって何の冗談を言っているんだよ!」
「うふふ、悲しいけどわたし死んでいるんだよ。誰かに殺されたのかな……」
美奈の目は悲しみと苦しみにそれから怒りが混ざっているように見えた。
「美奈ちゃん! 死んでいるなんて言わないで美奈ちゃんはここに存在しているじゃない」
わたしは黙っていられなくて叫んでしまった。
「亜沙美ちゃん、ありがとう。でもわたしはこの世にいないみたいなんだよ」
美奈は悲しげに微笑みそれから悔しそうに唇を噛んだ。
「そ、そんな。紫陽花柄の浴衣姿なのはもしかして、その時に……」
「うん、そうだよ。わたし夏祭りの日に誰かに殺されたんだよ。大好きなみんなとずっと夏祭りみたいな日々を送りたくて招待したけれど、もう電車も動いているしわたしの力もうダメみたい」
美奈の顔は悲しげに曇った。
「美奈ちゃん、そんなことってあるの。あんまりだよ」
みんなが目を見開きびっくりしたり泣いたり様々な表情をしている。
「でも、どうしてわたし達は何も覚えていないの?」
真由香がわたしも気になっていることを聞いた。
美奈は流した涙を手の甲で拭き顔を上げ笑った。
「それはみんなが忘れたいと思っているからかもしれないね」
確かにもし美奈が死んだのであれば忘れたいけれど、だからと言って忘れてしまったなんて信じられない。
「ふふっ、みんな驚いた顔をしているね」
美奈は先程まで涙を流していたのに今はニヤリと笑いこの状況を楽しんでいるようにも見える。わたし達の顔をじっと見た。
「だって、驚くの当然だよな。それと、同窓会の案内状はクラスの奴全員に届いたのか?」
「松木君の言う通りだね。ねえ、みんなどうして案内状が届いたか分かる?」
「それってクラスメイト全員に届いていないってことかな?」
「うん、そうだよ。みんなはわたしに選ばれたのかもね。まあ、あの夏祭りで会っているからだけどね」
美奈のツインテールが風にさらさらと揺れた。
「美奈ちゃんに選ばれた!」
わたし達みんなの声が重なった。
「そうよ。わたしに選ばれたのよ」
だから、かなは同窓会の案内状なんて知らないと言ったのだ。でも、どうしてわたし達は美奈に選ばれたのだろうか。
「どうして?」アザミ柄の浴衣姿の佐和が聞いた。
「それはね。じゃあ、順番に言うわよ。先ずは、久野君からね」
「えっ? 俺?」と久野君は自分の顔を指差し聞いた。
「うん。久野君は明るくて同窓会を盛り上げてくれるからよ」
「なんかただ盛り上げ役じゃないか」
「うふふ、ごめんね」
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