72 / 87
オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしは
どうして忘れていたのかな?
しおりを挟む
「えっ? わたしの持ち物ってこれが?」
美奈は言いながらオレンジ色の提灯キーホルダーを左右にぷらぷら揺らした。
「うん、そうだよ。そのオレンジ色の提灯キーホルダーは高校生の時から持っているよね?」
そうなのだ。わたしは思い出した。美奈は高校時代スクールバッグにオレンジ色の提灯キーホルダーをつけていたのだ。
わたしは、そのオレンジ色の提灯キーホルダーを可愛いねと褒めたこともある。どうして今まで忘れていたのかなと不思議に思う。
「まさかわたし知らないよ~」
美奈は首を横に傾げわたしの顔を見る。
「み、美奈ちゃん、どうして嘘をつくの?
わたし思い出したんだよ」
わたしは美奈のきょとんとした顔をじっと見る。
「……あはは、そうなんだね。わたしの提灯キーホルダーなんだね~」
美奈はまるで他人事かのように言った。
「美奈ちゃん、大切なキーホルダーだよと言ってたでしょ?」
「そうだったかしら?」
美奈の薄笑いを浮かべたその表情から何を考えているか読みとることが出来ない。
高校の制服に身を包んだ美奈と揺れるツインテールそして、スクールバッグにつけられたオレンジ色の提灯キーホルダーが鮮やかに甦る。
どうして忘れていたのかなと思うのと同時に美奈がぷらぷら揺らしているオレンジ色の提灯キーホルダーが目に入り妙な気持ちがした。
このオレンジ色の提灯キーホルダーがわたしに何かを語りかけている。そんな気がした。
「わたしも思い出したよ。その提灯キーホルダー美奈ちゃんスクールバッグにつけていたよね」
それまで黙っていた多香子が言った。
「あら、そうだったかな~?」
美奈は今も目の前でオレンジ色の提灯キーホルダーをぷ~らぷ~らと揺らしている。不気味で不思議な光景だ。ねえ、美奈はそのオレンジ色の提灯キーホルダーをどんな気持ちで眺めているのかな?
「そうだったかなって美奈ちゃん……スクールバッグについてるその提灯キーホルダーをわたし毎日見かけていたよ」
「忘れてしまったな。そうだ、佐和ちゃんは覚えているの?」
美奈は多香子の顔をチラッと見てそれから佐和に近づき目の前でオレンジ色の提灯キーホルダーをぷらぷら揺らした。
「わ、わたし、その提灯キーホルダーどこかで見たなと思っていたよ。美奈ちゃんのキーホルダーだったんだね……」
佐和は目の前でオレンジ色の提灯キーホルダーをぷらぷら揺らされちょっと怯えたような表情になっている。
「ふ~ん、そうなんだね。佐和ちゃんははっきり思い出さないんだね~」
美奈はそう言って佐和の顔を見てそれからオレンジ色の提灯キーホルダーに目を移した。そんな美奈をわたし達はじっと眺めた。
このオレンジ色の提灯キーホルダーと美奈と今回の不思議な出来事は何か繋がっているのだろうか。
オレンジ色の提灯キーホルダーをじっと眺めている美奈の横顔を見ていると嫌な予感がしてきた。
「ねえ、コテージのわたしの部屋にオレンジ色の提灯キーホルダーを置いたのは美奈ちゃんなのかな?」
わたしはオレンジ色の提灯キーホルダーをじっと眺め続けている美奈の顔を見て尋ねた。
「……さあね」
「ちょっと美奈ちゃん、ちゃんと答えてよ!」
今もオレンジ色の提灯キーホルダーをぷらぷら揺らし眺めている美奈の目を見て聞くけれど、美奈は答えない。まるで悪戯をして喜んでいる子供のようにも見える。
「ねえ、美奈ちゃんはずっと知らないふりをしていたの? 教えてよ」
わたしは、美奈の本当の気持ちが知りたい。何か理由があるのであればちゃんと話を聞きたいなと心から思う。
「亜沙美ちゃんもみんなも出ていってくれないかな? わたしお風呂に入りたいんだけど」
美奈はわたし達を鋭い目つきで睨み大声を出した。
「あの美奈ちゃん、わたしが先にお風呂に来たんだよ」
「多香子ちゃんうるさいわね。じゃあ、一緒に入る?」
「後で入るから早くしてね」
わたし達三人は風呂場から出た。女湯と書かれた暖簾を見上げわたしは、この先の風呂場だけ別世界のように感じた。
穏やかで無邪気な笑顔を浮かべる美奈はどこに行ってしまったのかな。
「美奈ちゃんがちょっと心配だね」
多香子がぽつりと呟いた。
「うん、いつもの美奈ちゃんと様子が違ったもんね」
わたしは今、風呂場の中で美奈はどんな気持ちでいるのかなと想像してみたがさっぱり分からない。
美奈は言いながらオレンジ色の提灯キーホルダーを左右にぷらぷら揺らした。
「うん、そうだよ。そのオレンジ色の提灯キーホルダーは高校生の時から持っているよね?」
そうなのだ。わたしは思い出した。美奈は高校時代スクールバッグにオレンジ色の提灯キーホルダーをつけていたのだ。
わたしは、そのオレンジ色の提灯キーホルダーを可愛いねと褒めたこともある。どうして今まで忘れていたのかなと不思議に思う。
「まさかわたし知らないよ~」
美奈は首を横に傾げわたしの顔を見る。
「み、美奈ちゃん、どうして嘘をつくの?
わたし思い出したんだよ」
わたしは美奈のきょとんとした顔をじっと見る。
「……あはは、そうなんだね。わたしの提灯キーホルダーなんだね~」
美奈はまるで他人事かのように言った。
「美奈ちゃん、大切なキーホルダーだよと言ってたでしょ?」
「そうだったかしら?」
美奈の薄笑いを浮かべたその表情から何を考えているか読みとることが出来ない。
高校の制服に身を包んだ美奈と揺れるツインテールそして、スクールバッグにつけられたオレンジ色の提灯キーホルダーが鮮やかに甦る。
どうして忘れていたのかなと思うのと同時に美奈がぷらぷら揺らしているオレンジ色の提灯キーホルダーが目に入り妙な気持ちがした。
このオレンジ色の提灯キーホルダーがわたしに何かを語りかけている。そんな気がした。
「わたしも思い出したよ。その提灯キーホルダー美奈ちゃんスクールバッグにつけていたよね」
それまで黙っていた多香子が言った。
「あら、そうだったかな~?」
美奈は今も目の前でオレンジ色の提灯キーホルダーをぷ~らぷ~らと揺らしている。不気味で不思議な光景だ。ねえ、美奈はそのオレンジ色の提灯キーホルダーをどんな気持ちで眺めているのかな?
「そうだったかなって美奈ちゃん……スクールバッグについてるその提灯キーホルダーをわたし毎日見かけていたよ」
「忘れてしまったな。そうだ、佐和ちゃんは覚えているの?」
美奈は多香子の顔をチラッと見てそれから佐和に近づき目の前でオレンジ色の提灯キーホルダーをぷらぷら揺らした。
「わ、わたし、その提灯キーホルダーどこかで見たなと思っていたよ。美奈ちゃんのキーホルダーだったんだね……」
佐和は目の前でオレンジ色の提灯キーホルダーをぷらぷら揺らされちょっと怯えたような表情になっている。
「ふ~ん、そうなんだね。佐和ちゃんははっきり思い出さないんだね~」
美奈はそう言って佐和の顔を見てそれからオレンジ色の提灯キーホルダーに目を移した。そんな美奈をわたし達はじっと眺めた。
このオレンジ色の提灯キーホルダーと美奈と今回の不思議な出来事は何か繋がっているのだろうか。
オレンジ色の提灯キーホルダーをじっと眺めている美奈の横顔を見ていると嫌な予感がしてきた。
「ねえ、コテージのわたしの部屋にオレンジ色の提灯キーホルダーを置いたのは美奈ちゃんなのかな?」
わたしはオレンジ色の提灯キーホルダーをじっと眺め続けている美奈の顔を見て尋ねた。
「……さあね」
「ちょっと美奈ちゃん、ちゃんと答えてよ!」
今もオレンジ色の提灯キーホルダーをぷらぷら揺らし眺めている美奈の目を見て聞くけれど、美奈は答えない。まるで悪戯をして喜んでいる子供のようにも見える。
「ねえ、美奈ちゃんはずっと知らないふりをしていたの? 教えてよ」
わたしは、美奈の本当の気持ちが知りたい。何か理由があるのであればちゃんと話を聞きたいなと心から思う。
「亜沙美ちゃんもみんなも出ていってくれないかな? わたしお風呂に入りたいんだけど」
美奈はわたし達を鋭い目つきで睨み大声を出した。
「あの美奈ちゃん、わたしが先にお風呂に来たんだよ」
「多香子ちゃんうるさいわね。じゃあ、一緒に入る?」
「後で入るから早くしてね」
わたし達三人は風呂場から出た。女湯と書かれた暖簾を見上げわたしは、この先の風呂場だけ別世界のように感じた。
穏やかで無邪気な笑顔を浮かべる美奈はどこに行ってしまったのかな。
「美奈ちゃんがちょっと心配だね」
多香子がぽつりと呟いた。
「うん、いつもの美奈ちゃんと様子が違ったもんね」
わたしは今、風呂場の中で美奈はどんな気持ちでいるのかなと想像してみたがさっぱり分からない。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
The Last Night
泉 沙羅
ホラー
モントリオールの夜に生きる孤独な少女と、美しい吸血鬼の物語。
15歳の少女・サマンサは、家庭にも学校にも居場所を持てず、ただひとり孤独を抱えて生きていた。
そんな彼女が出会ったのは、金髪碧眼の美少年・ネル。
彼はどこか時代錯誤な振る舞いをしながらも、サマンサに優しく接し、二人は次第に心を通わせていく。
交換日記を交わしながら、ネルはサマンサの苦しみを知り、サマンサはネルの秘密に気づいていく。
しかし、ネルには決して覆せない宿命があった。
吸血鬼は、恋をすると、その者の血でしか生きられなくなる――。
この恋は、救いか、それとも破滅か。
美しくも切ない、吸血鬼と少女のラブストーリー。
※以前"Let Me In"として公開した作品を大幅リニューアルしたものです。
※「吸血鬼は恋をするとその者の血液でしか生きられなくなる」という設定はX(旧Twitter)アカウント、「創作のネタ提供(雑学多め)さん@sousakubott」からお借りしました。
※AI(chatgpt)アシストあり
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
逢魔ヶ刻の迷い子3
naomikoryo
ホラー
——それは、閉ざされた異世界からのSOS。
夏休みのある夜、中学3年生になった陽介・隼人・大輝・美咲・紗奈・由香の6人は、受験勉強のために訪れた図書館で再び“恐怖”に巻き込まれる。
「図書館に大事な物を忘れたから取りに行ってくる。」
陽介の何気ないメッセージから始まった異変。
深夜の図書館に響く正体不明の足音、消えていくメッセージ、そして——
「ここから出られない」と助けを求める陽介の声。
彼は、次元の違う同じ場所にいる。
現実世界と並行して存在する“もう一つの図書館”。
六人は、陽介を救うためにその謎を解き明かしていくが、やがてこの場所が“異世界と繋がる境界”であることに気付く。
七不思議の夜を乗り越えた彼らが挑む、シリーズ第3作目。
恐怖と謎が交錯する、戦慄のホラー・ミステリー。
「境界が開かれた時、もう戻れない——。」
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
不労の家
千年砂漠
ホラー
高校を卒業したばかりの隆志は母を急な病で亡くした数日後、訳も分からず母に連れられて夜逃げして以来八年間全く会わなかった父も亡くし、父の実家の世久家を継ぐことになった。
世久家はかなりの資産家で、古くから続く名家だったが、当主には絶対守らなければならない奇妙なしきたりがあった。
それは「一生働かないこと」。
世久の家には富をもたらす神が住んでおり、その神との約束で代々の世久家の当主は働かずに暮らしていた。
初めは戸惑っていた隆志も裕福に暮らせる楽しさを覚え、昔一年だけこの土地に住んでいたときの同級生と遊び回っていたが、やがて恐ろしい出来事が隆志の周りで起こり始める。
経済的に豊かであっても、心まで満たされるとは限らない。
望んでもいないのに生まれたときから背負わされた宿命に、流されるか。抗うか。
彼の最後の選択を見て欲しい。
あの子が追いかけてくる
なかじまあゆこ
ホラー
雪降る洋館に閉じ込められた!!
幼い日にしたことがわたしを追いかけてくる。そんな夢を見る未央。
ある日、古本屋で買った本を捲っていると
『退屈しているあなたへ』『人生の息抜きを』一人一泊五千円で雪降る洋館に宿泊できますと書かれたチラシが挟まっていた。
そのチラシを見た未央と偶然再会した中学時代の同級生京香は雪降る洋館へ行くことにした。
大雪が降り帰れなくなる。雪降る洋館に閉じ込められるなんて思っていなかった未央は果たして……。
ホラー&ミステリになります。悪意、妬み、嫉妬などをホラーという形で書いてみました。最後まで読んで頂くとそうだったんだと思って頂けるかもしれません。
2018年エブリスタ優秀作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる