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オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしは
美奈
しおりを挟む 国王陛下の生誕の式典の晩餐会も無事に終わって、わたくしとクリスタちゃんとレーニちゃんは部屋に下がっていた。クリスタちゃんは王族の席でほとんど料理は食べられなかったようでお腹を空かせていた。
「クリスタ様、ハインリヒ殿下より言付かっております」
「ありがとうございます」
王宮の召使が持って来てくれたのはクリスタちゃんのための軽食だった。サンドイッチとキッシュという簡素なものだが、夜遅くに食べるのでこれくらいがちょうどいいのだろう。
紅茶も添えられていて、クリスタちゃんは椅子に座ってサンドイッチとキッシュを食べていた。
「わたくしも来年社交界デビューを果たしますが、昼食会や晩餐会に出るのを楽しみにしていましたが、楽しいことばかりではないようですね」
「レーニちゃんは楽しんだらいいと思います。わたくしはハインリヒ殿下の婚約者なので王族の席に座って皆様をもてなさなければいけませんから」
「クリスタちゃんだけ大変で申し訳ないですわ」
「ハインリヒ殿下は式典とは別の日に式典の料理を用意させて食べさせてくれることがあるのです。わたくしにはわたくしの楽しみがあるので、レーニちゃんは気にしなくていいのですよ」
自分だけ食べるのは申し訳ないと思っているレーニちゃんに、クリスタちゃんは明るく答えていた。
順番に部屋についているお風呂に入って、わたくしとクリスタちゃんとレーニちゃんは休んだ。
朝になってふーちゃんとまーちゃんとデニスくんとゲオルグくんが部屋のドアをノックするまで、わたくしたちはぐっすりと眠っていた。
「エリザベートお姉様、クリスタお姉様、レーニちゃん、お散歩に行きましょう!」
「お姉様たちの準備が終わるまでいい子で待っていますわ」
「おねえさま、あさのおさんぽです」
「きょうもゆきがっせんがしたいの」
元気な声に起こされて準備をして庭に出て行くと、エクムント様の姿があった。
「エクムント様!?」
「王宮では毎朝この時間に散歩に出ているのですね。ご一緒したくて私も散歩に出てみました」
「朝からお会いできて嬉しいですわ」
エクムント様はわたくしたちを待っていてくれたようだ。
細身の長身の体にブルーグレイのロングコートがとてもよく似合う。マフラーと手袋は白で格好よく決まっている。
「エクムントさま、わたしたち、フランツどのとマリアじょうとゆきがっせんをします!」
「みていてください!」
「今日は負けません!」
「お兄様、頑張りましょう!」
雪合戦を始めるデニスくんとゲオルグくんとふーちゃんとまーちゃんを見ながら、わたくしはエクムント様に問いかける。
「王宮の庭を散歩されるのは初めてですか?」
「早朝に起きて散歩するのは初めてですね。王宮の庭は雪が積もっていない時期は美しいのでしょうね」
「季節の花々が咲いてとても美しいのですよ」
「次回から私も散歩をご一緒してもいいですか?」
「喜んで」
次に王宮に招かれるのはハインリヒ殿下とノルベルト殿下のお誕生日の式典だろうが、そのときにはエクムント様と朝の散歩をご一緒できる。わたくしは今からそれが楽しみだった。
「エリザベート嬢の見る景色を私も一緒に見てみたいのです」
「嬉しいことを言ってくださいますね」
「エリザベート嬢は私の婚約者ですからね」
わたくしの見る景色を見たいというのは、わたくしに興味があるということに他ならなかった。
胸がときめいていると、雪合戦が中断されている。
「おねえさま、おてあらいにいきたくなっちゃった」
「どうしましょう。部屋まで我慢できますか、ゲオルグ?」
「がまんできない! もれちゃうー!」
半泣きになっているゲオルグくんに、動いたのはエクムント様だった。
「ここからだと私の部屋が一番近いですね。私の部屋においでください」
「おねえさまといっしょじゃないといやー!」
「皆様でおいでください」
さすがに未婚の妙齢のレーニちゃんを部屋に招くのはよくないと思ったのか、エクムント様はわたくしとクリスタちゃんとレーニちゃんとふーちゃんとまーちゃんとデニスくんとゲオルグくんの全員を部屋に招いてくれた。
大急ぎでエクムント様の部屋に行くと、ゲオルグくんはお手洗いを貸してもらっていた。
ゲオルグくんが手を洗って出て来ると、恥ずかしそうにデニスくんも申し出る。
「じつは、わたしもおてあらいにいきたくなって」
「私もです」
「わたくしも」
寒い中外に出たのでゲオルグくんだけでなくデニスくんもふーちゃんもまーちゃんもお手洗いに行きたくなっていたようだ。
「どうぞ、お使いください」
「ありがとうございます、エクムントさま」
「使わせていただきます。マリア、先に使っていいからね」
「お兄様、ありがとうございます」
エクムント様の部屋のお手洗いに並んで、デニスくんとまーちゃんとふーちゃんが順番にお手洗いを使っていた。
手を洗って一息つくと、デニスくんとゲオルグくんはエクムント様の部屋の中が気になっているようだ。
「おおきなまどがあります」
「このまどからテラスにでられるのですね」
「テラスに出てみますか?」
「いいのですか?」
「テラスにゆきがつもっています」
興味津々のデニスくんとゲオルグくんにもエクムント様は優しかった。
エクムント様の部屋に入ってみたいが、それを口に出すのははしたないと思っていたわたくしは、思わぬところでエクムント様のお部屋を訪問できて嬉しく思っていた。
テラスからは庭が見下ろせる。
デニスくんとゲオルグくんとふーちゃんとまーちゃんが雪合戦をしていた場所も見えていた。
「おねえさま、おにわがみえるこのおへやにとまれませんか?」
「ここは辺境伯家の方が泊まる部屋なので、無理ですね」
「そうですか。とまりたかったな」
デニスくんとゲオルグくんは庭に面したこの部屋が気に入ったようだった。
客間にもランクがあって、辺境伯家はここ、公爵家はここというのが決まっている。
辺境伯家の割り当てられた部屋にリリエンタール家が泊まるのは難しかった。
庭に戻ると再び雪合戦の続きが行われた。
今回はふーちゃんとまーちゃんも作戦を立てて、ふーちゃんが雪玉を丸めて、まーちゃんが元気いっぱい投げていた。
デニスくんとゲオルグくんは昨日と同じ、ゲオルグくんが雪玉を丸めて、デニスくんが投げている。
「これは勝負がつきませんわね」
「同点ということにしましょう」
いつまで経っても終わらない雪合戦に、レーニちゃんとクリスタちゃんは同点だということにしてデニスくんとゲオルグくん、ふーちゃんとまーちゃんに雪合戦を終わらせていた。
「朝食の時間になるので失礼します。楽しい朝のお散歩でした」
「またお会いしましょう、エリザベート嬢」
エクムント様にお辞儀をして部屋に戻ると、エクムント様は手を振って見送って下さっていた。
レーニちゃんとデニスくんとゲオルグくんはリリエンタール家の部屋で、わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんとまーちゃんはディッペル家の部屋で朝食を取る。
朝食が終われば、荷物を纏めて王宮から帰る時間になる。
身分からいってディッペル家が一番最初に馬車を用意される。
わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんとまーちゃんと両親が馬車に乗り込んでいると、国王陛下と王妃殿下が両親に話しかけている。
「今年も無事に生誕の式典が終わってよかった。ディッペル家のエリザベートも正式に社交界デビューを果たせてよかったな」
「ありがとうございます、国王陛下」
「ハインリヒとノルベルトの誕生日のときには、またマリア嬢のお誕生日のお茶会を開きましょうね」
「そのときにはよろしくお願いいたします、王妃殿下」
両親が頭を下げて挨拶をしていると、ハインリヒ殿下がクリスタちゃんに声をかける。
「冬休み明けに、また学園でお会いしましょう」
「はい、ハインリヒ殿下」
手を振るハインリヒ殿下に、クリスタちゃんは馬車の中からずっと手を振っていた。
「クリスタ様、ハインリヒ殿下より言付かっております」
「ありがとうございます」
王宮の召使が持って来てくれたのはクリスタちゃんのための軽食だった。サンドイッチとキッシュという簡素なものだが、夜遅くに食べるのでこれくらいがちょうどいいのだろう。
紅茶も添えられていて、クリスタちゃんは椅子に座ってサンドイッチとキッシュを食べていた。
「わたくしも来年社交界デビューを果たしますが、昼食会や晩餐会に出るのを楽しみにしていましたが、楽しいことばかりではないようですね」
「レーニちゃんは楽しんだらいいと思います。わたくしはハインリヒ殿下の婚約者なので王族の席に座って皆様をもてなさなければいけませんから」
「クリスタちゃんだけ大変で申し訳ないですわ」
「ハインリヒ殿下は式典とは別の日に式典の料理を用意させて食べさせてくれることがあるのです。わたくしにはわたくしの楽しみがあるので、レーニちゃんは気にしなくていいのですよ」
自分だけ食べるのは申し訳ないと思っているレーニちゃんに、クリスタちゃんは明るく答えていた。
順番に部屋についているお風呂に入って、わたくしとクリスタちゃんとレーニちゃんは休んだ。
朝になってふーちゃんとまーちゃんとデニスくんとゲオルグくんが部屋のドアをノックするまで、わたくしたちはぐっすりと眠っていた。
「エリザベートお姉様、クリスタお姉様、レーニちゃん、お散歩に行きましょう!」
「お姉様たちの準備が終わるまでいい子で待っていますわ」
「おねえさま、あさのおさんぽです」
「きょうもゆきがっせんがしたいの」
元気な声に起こされて準備をして庭に出て行くと、エクムント様の姿があった。
「エクムント様!?」
「王宮では毎朝この時間に散歩に出ているのですね。ご一緒したくて私も散歩に出てみました」
「朝からお会いできて嬉しいですわ」
エクムント様はわたくしたちを待っていてくれたようだ。
細身の長身の体にブルーグレイのロングコートがとてもよく似合う。マフラーと手袋は白で格好よく決まっている。
「エクムントさま、わたしたち、フランツどのとマリアじょうとゆきがっせんをします!」
「みていてください!」
「今日は負けません!」
「お兄様、頑張りましょう!」
雪合戦を始めるデニスくんとゲオルグくんとふーちゃんとまーちゃんを見ながら、わたくしはエクムント様に問いかける。
「王宮の庭を散歩されるのは初めてですか?」
「早朝に起きて散歩するのは初めてですね。王宮の庭は雪が積もっていない時期は美しいのでしょうね」
「季節の花々が咲いてとても美しいのですよ」
「次回から私も散歩をご一緒してもいいですか?」
「喜んで」
次に王宮に招かれるのはハインリヒ殿下とノルベルト殿下のお誕生日の式典だろうが、そのときにはエクムント様と朝の散歩をご一緒できる。わたくしは今からそれが楽しみだった。
「エリザベート嬢の見る景色を私も一緒に見てみたいのです」
「嬉しいことを言ってくださいますね」
「エリザベート嬢は私の婚約者ですからね」
わたくしの見る景色を見たいというのは、わたくしに興味があるということに他ならなかった。
胸がときめいていると、雪合戦が中断されている。
「おねえさま、おてあらいにいきたくなっちゃった」
「どうしましょう。部屋まで我慢できますか、ゲオルグ?」
「がまんできない! もれちゃうー!」
半泣きになっているゲオルグくんに、動いたのはエクムント様だった。
「ここからだと私の部屋が一番近いですね。私の部屋においでください」
「おねえさまといっしょじゃないといやー!」
「皆様でおいでください」
さすがに未婚の妙齢のレーニちゃんを部屋に招くのはよくないと思ったのか、エクムント様はわたくしとクリスタちゃんとレーニちゃんとふーちゃんとまーちゃんとデニスくんとゲオルグくんの全員を部屋に招いてくれた。
大急ぎでエクムント様の部屋に行くと、ゲオルグくんはお手洗いを貸してもらっていた。
ゲオルグくんが手を洗って出て来ると、恥ずかしそうにデニスくんも申し出る。
「じつは、わたしもおてあらいにいきたくなって」
「私もです」
「わたくしも」
寒い中外に出たのでゲオルグくんだけでなくデニスくんもふーちゃんもまーちゃんもお手洗いに行きたくなっていたようだ。
「どうぞ、お使いください」
「ありがとうございます、エクムントさま」
「使わせていただきます。マリア、先に使っていいからね」
「お兄様、ありがとうございます」
エクムント様の部屋のお手洗いに並んで、デニスくんとまーちゃんとふーちゃんが順番にお手洗いを使っていた。
手を洗って一息つくと、デニスくんとゲオルグくんはエクムント様の部屋の中が気になっているようだ。
「おおきなまどがあります」
「このまどからテラスにでられるのですね」
「テラスに出てみますか?」
「いいのですか?」
「テラスにゆきがつもっています」
興味津々のデニスくんとゲオルグくんにもエクムント様は優しかった。
エクムント様の部屋に入ってみたいが、それを口に出すのははしたないと思っていたわたくしは、思わぬところでエクムント様のお部屋を訪問できて嬉しく思っていた。
テラスからは庭が見下ろせる。
デニスくんとゲオルグくんとふーちゃんとまーちゃんが雪合戦をしていた場所も見えていた。
「おねえさま、おにわがみえるこのおへやにとまれませんか?」
「ここは辺境伯家の方が泊まる部屋なので、無理ですね」
「そうですか。とまりたかったな」
デニスくんとゲオルグくんは庭に面したこの部屋が気に入ったようだった。
客間にもランクがあって、辺境伯家はここ、公爵家はここというのが決まっている。
辺境伯家の割り当てられた部屋にリリエンタール家が泊まるのは難しかった。
庭に戻ると再び雪合戦の続きが行われた。
今回はふーちゃんとまーちゃんも作戦を立てて、ふーちゃんが雪玉を丸めて、まーちゃんが元気いっぱい投げていた。
デニスくんとゲオルグくんは昨日と同じ、ゲオルグくんが雪玉を丸めて、デニスくんが投げている。
「これは勝負がつきませんわね」
「同点ということにしましょう」
いつまで経っても終わらない雪合戦に、レーニちゃんとクリスタちゃんは同点だということにしてデニスくんとゲオルグくん、ふーちゃんとまーちゃんに雪合戦を終わらせていた。
「朝食の時間になるので失礼します。楽しい朝のお散歩でした」
「またお会いしましょう、エリザベート嬢」
エクムント様にお辞儀をして部屋に戻ると、エクムント様は手を振って見送って下さっていた。
レーニちゃんとデニスくんとゲオルグくんはリリエンタール家の部屋で、わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんとまーちゃんはディッペル家の部屋で朝食を取る。
朝食が終われば、荷物を纏めて王宮から帰る時間になる。
身分からいってディッペル家が一番最初に馬車を用意される。
わたくしとクリスタちゃんとふーちゃんとまーちゃんと両親が馬車に乗り込んでいると、国王陛下と王妃殿下が両親に話しかけている。
「今年も無事に生誕の式典が終わってよかった。ディッペル家のエリザベートも正式に社交界デビューを果たせてよかったな」
「ありがとうございます、国王陛下」
「ハインリヒとノルベルトの誕生日のときには、またマリア嬢のお誕生日のお茶会を開きましょうね」
「そのときにはよろしくお願いいたします、王妃殿下」
両親が頭を下げて挨拶をしていると、ハインリヒ殿下がクリスタちゃんに声をかける。
「冬休み明けに、また学園でお会いしましょう」
「はい、ハインリヒ殿下」
手を振るハインリヒ殿下に、クリスタちゃんは馬車の中からずっと手を振っていた。
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