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泊まりがけの同窓会とオレンジ色
ゾクゾクする湖畔のコテージ
しおりを挟むわたし達は木々に囲まれた湖畔に佇むコテージに着いた。
昼間のコテージの明るくて柔らかい雰囲気とは異なりなんだか暗い闇に包まれているようで不気味に見えた。
この闇の中に見えない何かがいるのではと思えてきてゾクゾクする。
もしわたし一人でこの闇の中に立っているとなんて考えると恐ろしくてぞっとした。
「暗くてちょっと怖いね」
わたしは隣に立っている松木に言った。
「ああ、真っ暗だよな」
その時、美奈がガチャリとドアを開けてコテージの中に入った。
わたしもこの暗闇から逃げたくて急いでコテージの中に入ったのだけど、なんだか嫌な感じがした。
「うふふ、我が家に帰って来たみたいだね~」
なんて美奈の明るい声が聞こえてきた。
部屋の中は木の温もりを感じる空間だった。さっきの嫌な感じはどこかに消えていた。
そうだ、きっと気のせいなのだとわたしはホッとして息を吐く。
また後でお茶でも飲もうと言い合い各々の部屋に戻る。
わたしは部屋に入り照明のスイッチを入れた。ゆっくりと寛ごうと思ったその時……。
「え? どうして!?」
わたしは目を見開きその場に立ち尽くした。
「ど、どういうこと……」
だって、そんなバカなことが……。あり得ない。信じられなくてわたしはそれをじっと眺めてしまった。
あり得ない。絶対におかしいよ。あり得ないよ。わたしはその恐ろしさにゾクリとする。
だって、オレンジ色のキーホルダーが当たり前みたいな顔をしてそこにあるのだ。
わたしはオレンジ色の提灯キーホルダーを出かける前にごみ箱に捨てた。それなのにオレンジ色の提灯キーホルダーが木製のテーブルの上に置かれている。
それって一体どういうことなのだろうか。
考えると恐怖のあまり倒れてしまいそうになる。同窓会参加者のわたし達は全員出かけていた。
それはつまり……。
オレンジ色の提灯キーホルダーがごみ箱から這い上がってきたということになるではないか。まるでオレンジ色のキーホルダーに足があるみたいだ。
あまりもの恐怖に鳥肌が立つ。
あり得ないことなのに木製のテーブルの上にオレンジ色の提灯キーホルダーがある。
その現実に驚きと恐怖を隠せない。わたしは、オレンジ色の提灯に追いかけられているのだろうか。
わたしの心臓は恐怖で早鐘を打った。
オレンジ色の提灯キーホルダーがわたしを見ているような気がした。
ゾクゾクする。
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