カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して

なかじまあゆこ

文字の大きさ
上 下
70 / 75

出会いは不思議

しおりを挟む
「湖が見える部屋だなんて最高だね」

  亜子ちゃんが座布団を敷いてどかんと腰を下ろした。

「うん、良かった」

  わたしも座布団を敷いて座った。

「琵琶湖にして正解でしたね」

  久美佐ちゃんも笑顔を浮かべながら座布団を敷いて腰を下ろした。

「でもさ、これもカフェノートの祐介君のおかげだよね」

「うん、そうですよ。そのカフェノートの祐介さんに感謝ですよ」

  亜子ちゃんと久美佐ちゃんがわたしの顔をチラッと見て言った。

「うん、祐介君のおかげだね」

  わたしもそう答えながら祐介君とカフェノートを通して出会い琵琶湖に来ることになったんだなと改めて感じた。

  祐介君と出会わなければ大阪には行ったかもしれないけれど滋賀県の琵琶湖には来てなかったんじゃないかなと思う。

  人生の出会いは不思議だな。そんなことを考えながら鞄からカフェノートを取り出しそっと開いた。

  そして、わたしはボールペンを握りペンを走らせた。

『祐介君、わたしも近江舞子駅に着いて今宿に到着しました。窓から湖が見える眺めの良い宿だよ。早乙女』と書いた。

  すると、祐介君からすぐに返事が返ってきたのだけど、わたしはその文章を読みびっくりしてしまった。

  だって、そこには信じられないことが書かれていたのだから。


「早乙女ちゃん、俺達も宿に着いたよ。同じく窓から青空と湖が見える素晴らしい景色だよ。ちょっと感動したよ。花風荘って宿だよ。祐介」と書かれていた。

  わたしはその文章を読みカフェノートを落っことしてしまいそうになった。

「祐介君と同じ宿に宿泊しているなんて!」

  わたしは思わず声に出してしまった。

「早乙女ちゃんどうしたの?  同じ宿ってまさか……」

「早乙女さんどうしたんですか?  まさかですか……」

  亜子ちゃんと久美佐ちゃんが身を乗り出して聞いてきた。

「う、うん。そうだよ、祐介君もこの花風荘に宿泊しているんだって!」

  わたしは答えながらなんとも不思議な気持ちになった。過去と未来ではあるけど同じ宿に泊まっているだなんて信じられなくて胸がドキドキしてきた。

  そんなわたしを亜子ちゃんと久美佐ちゃんはじっと眺めていた。

「不思議な偶然だね」

「宿は教えあっていないんですよね?」

「うん、そうだよ。教えあっていないよ。だからびっくりしてしまったんだよ」

  わたしはカフェノートに『祐介君、わたし達の宿泊先も花風荘だよ。びっくりしてしまったよ。早乙女』と書いた。

  すると、祐介君からすぐに返事が返ってきた。

『マジですか!  めちゃくちゃびっくりしたよ。早乙女ちゃんもこの花風荘にいるんだね。祐介』

『うん、わたしは花風荘にいるよ』

  わたしのペンを握る手は震えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

隣のロッカーが空っぽ

ほしのことば
青春
中学2年生の柳瀬美月のクラスに転校生がやってきた。転校生の渡辺七星は、ずっと空っぽだった美月の右隣のロッカーにカバンを力強く投げ込む。 明るく人と仲良くすることが得意なはずの美月は、不機嫌をあからさまに態度にする七星に戸惑いを覚えるが、自分とは対極な彼女にどこか惹かれる。 短い月日の中で2人は、言葉にしないながらも信頼を深めていく。美月にとって唯一本音を話せる相手になる。 行き場のない怒りをぶつける七星とぶつけられる美月、そしてそれを傍観するクラスメイト達。七星と出会って美月は、今まで知らなかった感情が見えてくる。中学生のまだ自分では抱えきれない感情を知り、向き合っていく。 誰にも話せなかったけど確かに育まれた、2人だけの友情ストーリー。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

処理中です...