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祐介Side3
しおりを挟む朝、目を覚ますと汗をびっしょりかいていた。
どんな夢を見ていたのかはっきり思い出せないけれど、誰かが俺に「置いていかないで」と言って手を伸ばしているそんな夢だったような気がする。
俺は浴室に行きシャワーを浴びた。シャワーを浴びて汗を流すとスッキリして気持ちがよかった。
体を拭いて髪を乾かしながら洗面台の鏡に映る自分の顔をじっと眺めた。
一重まぶたで目が細くてあまり好きではない顔だけど癒し顔だとたまに言われることもある。二十二年後の俺はどんな顔になっているのかなと考えるとちょっと恐ろしくなった。
「まあ、そんなことどうでもいいか」と呟き俺は笑った。
「祐介、鏡を見つめて笑っているけど何か面白いことでもあったのかい?」
その声に振り返ると首を傾げたお父さんが立っていた。
「いや、別に」
「まさか、祐介、自分の顔に見惚れていたんじゃないよな」
お父さんはそう言ってニッと笑った。
「……お父さん、この俺の顔が見惚れるような顔に見えるのかよ。あ~あ、お父さんに似てがっかりだよ。お母さんに似ていたらもう少し格好良かったかもしれないに残念だよ」
俺はふぅーと溜め息をついた。
「……祐介、お父さんに似てがっかりとはどういう意味かな?」
「……言葉の通りだよ。美人なお母さんがお父さんと結婚したなんて不思議だよな」
俺が溜め息をつきながらお父さんの横を通り過ぎようとすると、
「ゆ、祐介~ふざけるな!」と言ってお父さんは顔を真っ赤に上気させながら叫んだ。
「だって、本当のことじゃないか~」
俺はそう言って笑いお父さんの横をすり抜けた。
今日の朝食はご飯と納豆と卵焼きとそれから具だくさんな味噌汁だった。
俺は、「ごちそうさま~」と言って二階に駆け上がり服を着替え鞄に財布と携帯電話とそれからカフェノートを詰めて出かける準備をした。
今日は友達の武也と旅行グッズを一緒に買いに行く予定だ。
「いってきます」と言って俺は玄関の扉を開けた。外に出ると夏の生温い風が頬を撫でた。
待ち合わせの駅ビルに着くと既に武也は来ていた。俺は「お~い、武也」と言って手を振った。
「あ、祐介、待ったぜ行こうか」と言って武也は軽く手を振った。
「うん、待たせたな、行こうぜ」
俺達はエスカレーターで七階まで上がり旅行用品専門店へ向かった。店内に入ると旅行専門店らしくスーツケースやボストンバッグなどの品揃えが豊富だった。
俺と武也はボストンバッグがずらずらと並べられている棚の前で、「たくさんあるから迷うよな」と俺が言い、武也も「そうだよね」と言って頷いた。
俺が青色のボストンバッグを手に取り眺めていると武也が、
「祐介はまた家族で旅行に行くんだよね」と言ってニヤリと笑った。
「はぁ、そうだけど武也お前もじゃないか」と俺も言い返し笑った。
武也も俺と同じく家族で旅行に行くらしいのだ。なので一緒に買い物に来たのだ。
「あはは、まあそうなんだけどね。あ、馬渡さんじゃないか?」
武也がそう言って指差した。その先には馬渡さんが居た。
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