カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して

なかじまあゆこ

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祐介Side2

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  玄関のドアが開き「ただいま」とお父さんが帰って来た。

「おかえりなさい」

「おっ、今日の晩飯はハンバーグにナポリタンパスタか」

  お父さんは言いながら椅子に腰を下ろした。そんなお父さんの顔を俺がじっと見ていると、

「祐介、俺の顔に何かくっついているのか?」と言った。

「いや別に」

「ふ~ん、そうか。俺があまりにも男前だから見ているのかと思ったよ」

  そう言ってガハハと笑うお父さんに俺は呆れた。

「ねえ、お父さん鏡で自分の顔を見たことないのか?」

「祐介、お前は俺に喧嘩を売っているのかい?」

  お父さんは細い目をより細くして俺の顔を睨んだ。

「こらこら、二人とも喧嘩しないの」

  お母さんは困ったように笑いながらお父さんの目の前にハンバーグとナポリタンパスタを置いた。

「おっ、母さん旨そうじゃないか」

  お父さんは嬉しそうに笑った。子供が好きそうなメニューが好きなんだからなんだか可笑しくて俺は笑いそうになる。

  俺にはお父さんとお母さんがいる。今まで当たり前だと思っていたけれど、幸せなのかもしれない。

  早乙女ちゃんにはお父さんがいない。それを寂しいと言っている。彼女とカフェノートでやり取りをしてい俺は大切なことに気がついた。


「うん?  祐介、俺のハンバーグがほしいのか?」

「あはは、俺は小さな子供じゃないぜ」

  口いっぱいにハンバーグを頬張っているお父さんを見て俺は笑った。

  早乙女ちゃん、君に感謝だよ。

  俺を子供扱いする鬱陶しい親も今は愛おしく感じるのだった。

「祐介、食べるかい?」

「……いやいらないよ。お父さんが噛ったハンバーグなんてさ」

「なんだって、俺の食べかけが汚いと言うのか祐介~」

  お父さんは俺の顔をじっと見て唇を尖らせた。

「うん、汚いかもね」

「なんて奴なんだ~」

  お父さんはそう言いながらテーブルをバンバン叩いた。

「ちょっと、お父さん止めなさい!」

  お母さんが呆れ顔で注意をする。そんな二人を見ていると俺は可笑しくて笑ってしまう。

  こんな日常はきっと幸せなんだろうなと思う。いつか俺がもっと大人になった時に思い出しほっこりできるといいな。



  今日の夕飯は家族で笑い合い楽しかった。黙々と食べるよりもせっかく家族が揃っているのだから美味しい食べ物を笑顔で食べて素直に美味しいよと言った方が幸せだなと思った。

  俺は自室に戻りベッドに寝転んだ。二千二十二年の俺は何を考えて生きているのだろうか?  ふと思った。  幸せに暮らしているのかな。

  二千二十二年といえば俺は四十歳なんだよねと思うと不思議な気持ちになる。今の俺からすると遠い未来であり想像も出来ない。

  それとカフェノートを通して話をしている早乙女ちゃんはまだこの二千年は生まれてもいない。

  まだ、この世に存在もしていない早乙女ちゃんと話をしているんだということに改めて気づくとなんとも言えない気持ちになる。

  普段の俺はおちゃらけた性格で真面目に物事を考えることは少ないのだけれど、人生ってとか人間はなんてことを真面目に考えてしまうのだった。

  俺はゴロゴロと寝返りを打つ。ゴロゴロゴロゴロ寝返りを打つ。

  何度も寝返りを打っているうちに気がつくと俺は眠りの世界に落ちていた。夢の中の俺は何処かを旅していた。

  俺は何処で何をしているのだろう?  夢の中で俺は呟いた。

  
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