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信じてくれた

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「信じられないけどそのノートを見ると信じるしかありませんよね……」

「そうですよ。早乙女さんと祐介さんの楽しいやり取りが目に浮かんでくるんですもん。わたしも過去の世界の友達がほしいなと思いましたよ」

  青橋君と久美佐ちゃんは信じてくれた。二人に話して良かったなと思った。

「二人とも信じてくれてありがとう。では、旅行は祐介君プランに決定しました~」

  わたしは満面の笑みを浮かべて言った。

「うふふ、わたしは早乙女さんを応援しますよ。それと、祐介さんからのお手紙が楽しみです」

  久美佐ちゃんは口元に手を当てて笑った。

「ちょっと、久美佐ちゃんちょっとそれってわたしのカフェノートを読むつもりなのかな?」

「はい、そうですよ。あれ?  見せてくれないんですか?」

  久美佐ちゃんはきょとんと首を傾げた。

  わたしは「必要な箇所だけ見せてあげるよ」と答えた。

  久美佐ちゃんは「え~!  全部みたいのに~」と言った。どうやらカフェノートに興味を持ったようだ。

「早乙女ちゃん見せてあげたら~わたしも読みたいし」

  亜子ちゃんはそう言ってニヤリと笑った。

「え~!  見たいの……どうしようかな。見せられるとこだけね」

  この人達は好奇心旺盛で困ってしまうよ。

  そんなわたし達の会話を奈央はニコニコ微笑みを浮かべながら見ていた。


  それからのわたし達は、夏の旅行に向けてドーナツ屋さんのアルバイトを頑張った。季節はだんだんと夏らしくなってきた。

「夏の旅行が楽しみだね」

「はい、湖に串カツに奈良の鹿どれもこれも楽しみですよ」

  久美佐ちゃんは前を向いたまま笑った。

  わたしは早く夏休みにならないかなと思いながらドーナツを販売した。でもやっぱり、目標があると頑張ることができる。


「暑いな~外はめちゃくちゃ暑いな」

  奈央がハンドタオルで顔や首筋の汗を拭いながら休憩室に入ってきた。

「奈央ってば暑そうだね」

  わたしは、アイスティーを飲みながら奈央を見上げた。

「姉ちゃんは涼しそうな顔をしているよね」

 奈央は言いながら汗でぐっしょりしているハンドタオルをテーブルに置いた。

「わっ!  ちょっと汚いよ」

  わたしの目の前にハンドタオルが置かれている。

「ふん!  俺は外で汗をかきながらチラシを配っているんだよ」

「ふふっ、奈央君お疲れ様~」

「ふざけるなよ!  俺は姉ちゃんの代わりに炎天下の青空の下汗だくになりながらチラシを配っているんだよ」

  奈央はわたしの顔をキッと睨み付けながら言った。

「ありゃ……それは大変だね。でも、夏の旅行の為だよ。奈央君頑張ってね」

「ふ、ふざけるなよ~!!」

  奈央は顔を真っ赤に上気させて怒っている。

「真っ赤な小猿みたいになってるよ。そんなに怒らなくてもいいじゃない。これあげるよ」

  わたしは冷えたペットボトルのお茶を渡した。

  奈央はわたしからペットボトルのお茶を受け取るとごくごく飲んだ。余程暑かったんだねと思うと少し可哀想になった。

「姉ちゃんカフェノートに何か書いているの?」

  奈央がペットボトルのお茶をテーブルに置きわたしの開いていたノートを覗き込んだ。

「あ、ちょっと見ないでよ!  これはカフェノートじゃないよ。旅行ノートだよ」

  わたしは奈央を睨みながら言った。

「旅行ノート?」

「うん、旅行に持っていくものとか書いているんだよ」

「ふ~ん、そうなんだ」

「日焼け止めでしょ、水着にお菓子、服、旅行鞄、本、ガイドブック、浮き輪とか必要なものがたくさんあるでしょ。ああ、楽しみだな~」

  わたしは、ニヒヒと笑ってみせた。

「お菓子ってなんだよ。現地で買えばいいじゃん。それと服や本とか最小限にしろよ」

「あ~もう、うるさいよ。奈央ってばお母さんみたいだよ」

「はぁ?  何でだよ。だって、姉ちゃん日帰り旅行に行った時も荷物で鞄がパンパンに膨れ上がっていたよね」

  奈央はふぅーと溜め息をついた。

「溜め息つかなくてもいいじゃない」

  なんて奈央と話をしていると旅行まであと一ヶ月だということに気がつき頬が緩んだ。

「姉ちゃん、なんで、笑っているんだよ?」

「だって、あと一ヶ月で旅行なんだもん」
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