カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して

なかじまあゆこ

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関西旅行

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「と言うことで旅行研究部同好会の旅行の行き先は関西に決定しました」

  わたしはにっこりと微笑みを浮かべホワイトボードに『旅行研究部同好会は関西旅行に行くよ』と書いた。

「えっ!  沖縄じゃないの?」

  亜子ちゃんが納得のいかない顔をした。

「たこ焼きが食べられるよ。亜子ちゃん好きでしょ?」

「う~ん、たこ焼き好きだけど沖縄そばも食べたいんだよね」

  亜子ちゃんは唇を尖らせた。

「亜子さん、関西には串カツがありますよ。亜子さん串カツ好きですよね」

  奈央がそう言ってにっこりと笑った。

「えっ!  珍しいね。奈央君が早乙女ちゃんと同意見だなんて」

  亜子ちゃんは不思議そうに首を傾げた。

「いや俺は串カツを食べたいな~と思っただけですよ」

「ふ~ん、って奈央君が串カツ食べたいだけなの?」

「いやそれは……あ、そうだ、亜子さんの大好きなお好み焼きもありますよ」

「う~ん?  なんだかこの姉弟怪しいんだけどまあ、関西旅行でもいいよ」

  亜子ちゃんは艶のある手触りの良さそうな綺麗な黒髪を触りながら言った。

「では、関西旅行に決定しま~す!  青橋君もいいよね」

 わたしは、ホワイトボードに書いた『旅行研究部同好会は関西旅行に行くよ』に花丸を書いた。


「ねえ、早乙女ちゃん関西のどこに旅行に行くのかな?」

「えっ?  それはまだ決まっていないよ」

「そうだったらわたしは大阪がいいな。たこ焼きと串カツをたらふく食べるんだ~」

  亜子ちゃんはたこ焼きと串カツを思い浮かべているのかその顔は幸せそうだ。

「亜子ちゃん、旅先はまだゆっくり決めようよ」

  わたしは、言いながら関西旅行に決定と発表したのは時期尚早だったなと思った。だって、祐介君から関西旅行の行き先をまだ聞いていなかったのだから。

「えっ?  どうしてよ。だったら何故関西旅行に決定なのかな?」

  亜子ちゃんは怪訝な面持ちで尋ねた。

「あ、それはその……何となく関西旅行がいいかな~って思ったんだよ」

  これは本当のことを言わないと納得してもらえないだろうなと思いながらわたしは答えた。



  亜子ちゃんにはカフェノートのことも知られているのだから理由を教えてもいいかなと思いつつも考えてしまう。

「なんだか怪しいね~」と亜子ちゃんはわたしの顔をじっと眺めた。

「ううん、怪しくなんてないよ。関西旅行に行くと楽しいことがありそうな予感がしたんだよ」

「ふ~ん、予感ね。やっぱりなんか怪しいよね~」

「怪しくないもんね。本当なんだから楽しくてそれはもうワクワクすることがあるような気がするんだよ」

  わたしは頬をぷくりと膨らませて言った。

「ふ~ん、ワクワクすることね……」と亜子ちゃんは言って怪訝な表情を見せたけれど、「まあ、大阪も行きたいけど他にも関西で楽しい観光地があるかもしれないからゆっくり考えようか」と言ってニッと笑った。

  わたしは、ほっと胸を撫で下ろした。

「うん、大阪も含めてゆっくりと考えようね」

  わたしは笑みを浮かべちらりと奈央に視線を移すと目が合った奈央もニッと笑っていた。
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