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過去の君と同じ場所を
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『おっ! 早乙女ちゃん、俺と同じ場所でいいんだね。俺は関西に旅行に行く予定です。まだ、場所ははっきりと決まっていないので決まり次第お伝えします。あ、でも、旅行研究部同好会の部員の了承がいるんだよね。祐介』
と書かれた返事が来た。
わたしは、ペンをぎゅっと握り早速返事を書いた。
『うん、旅行研究部同好会の部員の了承は必要だけど、わたしは部長なのでなんとかねじ伏せてみせます。うひひ。早乙女』と書いた。
『早乙女ちゃん、仲間をねじ伏せるのか! うひひ笑いがちょっと怖いです。あはは、頑張ってねじ伏せてね! 祐介』
返ってきた祐介君のその文字を見てきっと、ノートの向こうの祐介君は笑っているんだろうなと想像ができた。
よし、わたし早乙女は部長なんだから部員のみんなをねじ伏せてみせましょうと声高らかに笑った。
「姉ちゃん気持ち悪いんだけど」
その声に振り返ると奈央が紙袋を手に持ち立っていた。
「あ、奈央! って気持ち悪いとは失礼だね」
「だって、休憩室でうひひなんて笑っているんだから気持ち悪いよね」
奈央は紙袋をテーブルにドーンと置きながらニヤニヤ笑っている。なんて失礼な奴なんだと呆れる。
「き、聞こえていたの?」
「そりゃ聞こえるでしょ。声高らかに笑っているんだからね」
「……あっそ。あれ? 奈央チラシ配り終わったの? もう休憩?」
「違うよ。俺はチラシ配りのプロだからチラシが空っぽなんだよ。だから補充をしにきたんだよ」
奈央はふてくされた顔で紙袋を逆さにして空っぽになったんだよと見せる。
「あら、奈央君ってばご立派なんだね~」
「姉ちゃん、ふざけるなよ」
奈央をからかうとムキになるから面白い。今も顔を真っ赤にして膨れているのだから。
「ふふん、チラシ配り頑張ってね~わたしは、ドーナツの販売を頑張らなきゃね」
「姉ちゃんって本当に意地悪だよな」
「ふん! なんとでも言ってよ」
「あれ? 姉ちゃん」
奈央の視線が……。これはちょっとまずいのではとわたしは焦ってしまった。
「えっ? 奈央どうしたの?」
わたしは、言いながらテーブルに開いたまま置きっぱなしになっていたカフェノートを閉じた。
「そのノート何? ドーナツについて書かれているのかな?」
なんて言いながら覗き込んでくるではないか。
「そ、そんなわけないでしょ。これはわたしのノートなんだから見ないでよ」
「そうなんだ。ふ~ん、姉ちゃんなんだか必死になっているけどそんなに大事なノートなの?」
奈央はじとっとわたしの顔見てそれからカフェノートに視線を落とした。
「奈央チラシ配りをするんでしょ。亜子ちゃん一人だとチラシが捌けないよ」
わたしはノートを手に取りパッと鞄に入れた。
「まあ、俺がいないとチラシ配りは終わらないけどさ。ノートにねじ伏せるって書いてあったような気がするんだけど気になるな~」
「あ、わたしのノート勝手に読んだんだね!」
わたしは奈央を睨んだ。
「ノートを開いて置きっぱなしにする方が悪いんじゃない」
「でも奈央はわたしのノートを覗き込んだよね」
「はいはい、俺が悪かったですよ。早乙女さん」
奈央はそう言って戸棚からチラシを取り補充した。
なんだか馬鹿にされているような気がするのだけど。
「じゃあ、俺は姉ちゃんの代わりにチラシを配ってくるよ」
奈央は補充したチラシの入っている紙袋を手に持ち扉に向かった。
「相変わらず憎たらしいな~頑張ってチラシを配ってね。わたしは奈央の代わりにドーナツを販売してあげるよ」
わたしはふんと鼻息を荒くして言った。
「はいはい、分かりました。俺にチラシ配りを押しつけた早乙女さん」
奈央は憎たらしい台詞を吐いた。
「ふん! チラシを配って配りまくるんだよ」
「はいはい、了解しました」
そう言いながら奈央は休憩室から出ていこうとしたのだけど、くるりとこちらに振り返り「祐介君って誰かな?」と言ってニヤリと笑い踵を返し部屋から出ていった。
「見られていた……」
わたしは悔しくてドンとテーブルを叩いた。
と書かれた返事が来た。
わたしは、ペンをぎゅっと握り早速返事を書いた。
『うん、旅行研究部同好会の部員の了承は必要だけど、わたしは部長なのでなんとかねじ伏せてみせます。うひひ。早乙女』と書いた。
『早乙女ちゃん、仲間をねじ伏せるのか! うひひ笑いがちょっと怖いです。あはは、頑張ってねじ伏せてね! 祐介』
返ってきた祐介君のその文字を見てきっと、ノートの向こうの祐介君は笑っているんだろうなと想像ができた。
よし、わたし早乙女は部長なんだから部員のみんなをねじ伏せてみせましょうと声高らかに笑った。
「姉ちゃん気持ち悪いんだけど」
その声に振り返ると奈央が紙袋を手に持ち立っていた。
「あ、奈央! って気持ち悪いとは失礼だね」
「だって、休憩室でうひひなんて笑っているんだから気持ち悪いよね」
奈央は紙袋をテーブルにドーンと置きながらニヤニヤ笑っている。なんて失礼な奴なんだと呆れる。
「き、聞こえていたの?」
「そりゃ聞こえるでしょ。声高らかに笑っているんだからね」
「……あっそ。あれ? 奈央チラシ配り終わったの? もう休憩?」
「違うよ。俺はチラシ配りのプロだからチラシが空っぽなんだよ。だから補充をしにきたんだよ」
奈央はふてくされた顔で紙袋を逆さにして空っぽになったんだよと見せる。
「あら、奈央君ってばご立派なんだね~」
「姉ちゃん、ふざけるなよ」
奈央をからかうとムキになるから面白い。今も顔を真っ赤にして膨れているのだから。
「ふふん、チラシ配り頑張ってね~わたしは、ドーナツの販売を頑張らなきゃね」
「姉ちゃんって本当に意地悪だよな」
「ふん! なんとでも言ってよ」
「あれ? 姉ちゃん」
奈央の視線が……。これはちょっとまずいのではとわたしは焦ってしまった。
「えっ? 奈央どうしたの?」
わたしは、言いながらテーブルに開いたまま置きっぱなしになっていたカフェノートを閉じた。
「そのノート何? ドーナツについて書かれているのかな?」
なんて言いながら覗き込んでくるではないか。
「そ、そんなわけないでしょ。これはわたしのノートなんだから見ないでよ」
「そうなんだ。ふ~ん、姉ちゃんなんだか必死になっているけどそんなに大事なノートなの?」
奈央はじとっとわたしの顔見てそれからカフェノートに視線を落とした。
「奈央チラシ配りをするんでしょ。亜子ちゃん一人だとチラシが捌けないよ」
わたしはノートを手に取りパッと鞄に入れた。
「まあ、俺がいないとチラシ配りは終わらないけどさ。ノートにねじ伏せるって書いてあったような気がするんだけど気になるな~」
「あ、わたしのノート勝手に読んだんだね!」
わたしは奈央を睨んだ。
「ノートを開いて置きっぱなしにする方が悪いんじゃない」
「でも奈央はわたしのノートを覗き込んだよね」
「はいはい、俺が悪かったですよ。早乙女さん」
奈央はそう言って戸棚からチラシを取り補充した。
なんだか馬鹿にされているような気がするのだけど。
「じゃあ、俺は姉ちゃんの代わりにチラシを配ってくるよ」
奈央は補充したチラシの入っている紙袋を手に持ち扉に向かった。
「相変わらず憎たらしいな~頑張ってチラシを配ってね。わたしは奈央の代わりにドーナツを販売してあげるよ」
わたしはふんと鼻息を荒くして言った。
「はいはい、分かりました。俺にチラシ配りを押しつけた早乙女さん」
奈央は憎たらしい台詞を吐いた。
「ふん! チラシを配って配りまくるんだよ」
「はいはい、了解しました」
そう言いながら奈央は休憩室から出ていこうとしたのだけど、くるりとこちらに振り返り「祐介君って誰かな?」と言ってニヤリと笑い踵を返し部屋から出ていった。
「見られていた……」
わたしは悔しくてドンとテーブルを叩いた。
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