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放課後 十七歳人生について語り合う
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「亜子ちゃん、わたし達まだまだ夢を見てもいいのかな?」
「いいに決まってるじゃない。わたし達はまだ、十七歳なんだよ。人生始まったばかりだよ」
亜子ちゃんがふふんと鼻息を荒くして言った。
「じゃあさ、わたし、アイドルや漫画家や小説家になれるかな?」
「……早乙女ちゃんアイドルってそれ諦めたって言ってなかった?」
「あ、うん、めちゃくちゃ歌が下手だから諦めたんだけどね」
「まあ、夢を見るのは自由だけどね。わたしもこの美しい美貌を生かして女優になろうかな~」
「……亜子ちゃん、美貌ってどこが、ちょっと可愛いだけじゃん。あ、魔女役とかなら良いかもね」
「早乙女ちゃんってば酷いこと言うよね」
亜子ちゃんはチョコレートケーキをぱくぱく食べた。
「なんか人生って難しいね」
「それが人生だよ」
わたし達はなぜだか人生について語り合っていた。
その時、わたしは鞄の中に入っているカフェノートのことを思い出した。
ふと祐介君はどんな大人になっているのだろうか? 今、大人になった祐介君はどんな人生を歩んでいるのかなと考えた。
祐介君、大人になったあなたは、高校生の頃の夢を叶えましたか。それとももっと大きな夢を見つけましたか? 今、生きていて幸せですか……。
わたしは、大人になった祐介君に聞いてみたくなったのだ。
ねえ、わたしはどんな大人になると良いですか? これから先の人生の歩み方を教えてください。
「早乙女ちゃんどうしたの?」
「えっ? あ、亜子ちゃん」
亜子ちゃんの声に気づき顔を上げると不思議そうな顔でわたしを見ていた。
「何、ぼーっとしているのよ」
「えっと、亜子ちゃんのチョコレートケーキ美味しそうだなと思って」
「……早乙女ちゃんもチョコレートケーキ食べているじゃない。ちょっと早乙女ちゃんてばおかしいよ~」
「あ、そうだね。あはは、わたしもチョコレートケーキ食べているじゃん」
わたしは、自分の目の前に置かれたチョコレートケーキと亜子ちゃんの顔を交互に見て笑った。
祐介君のことやこれから先の人生のことを考えているうちに亜子ちゃんが目の前にいることを忘れていたなんて言えないではないか。
「最近の早乙女ちゃんはちょっと変だよ。まあ、元から変だけどさ」
亜子ちゃんはそう言って眉間に皺を寄せた。
「そっかな変じゃないよ~それと元から変だって酷いことを言うね」
わたしは、ちょっとむっとしながらチョコレートケーキを食べた。
「早乙女ちゃんのことを心配して言ったんだよ」
「そうだよね。亜子ちゃんごめんね。わたし、高校三年生になってからいろいろ考えてしまってね……」
「それは分かるよ。わたしもいろいろ考えてしまうもんね。きっと、クラスのみんなもそうだよね」
「わたし達って悩める年頃だよね」
「そうだよね」
わたし達はそう言ってお互いの顔を見た。亜子ちゃんの大きな澄んだ目を眺めていると、祐介君のことをそしてカフェノートのことを話したくなってきた。
「……ねえ、亜子ちゃん」
「うん? 何、早乙女ちゃん」
「……えっと、例えばの話なんだけどね。過去の世界にいる人とノートを通じて話すことが出来るとしたら何を聞きたい?」
亜子ちゃんの大きな目がより大きく見開かれた。やっぱり、おかしいことを言うなと思われているのだろうか?
そう思うと聞かなければ良かったかなと思った。
すると、亜子ちゃんは……。
「いいに決まってるじゃない。わたし達はまだ、十七歳なんだよ。人生始まったばかりだよ」
亜子ちゃんがふふんと鼻息を荒くして言った。
「じゃあさ、わたし、アイドルや漫画家や小説家になれるかな?」
「……早乙女ちゃんアイドルってそれ諦めたって言ってなかった?」
「あ、うん、めちゃくちゃ歌が下手だから諦めたんだけどね」
「まあ、夢を見るのは自由だけどね。わたしもこの美しい美貌を生かして女優になろうかな~」
「……亜子ちゃん、美貌ってどこが、ちょっと可愛いだけじゃん。あ、魔女役とかなら良いかもね」
「早乙女ちゃんってば酷いこと言うよね」
亜子ちゃんはチョコレートケーキをぱくぱく食べた。
「なんか人生って難しいね」
「それが人生だよ」
わたし達はなぜだか人生について語り合っていた。
その時、わたしは鞄の中に入っているカフェノートのことを思い出した。
ふと祐介君はどんな大人になっているのだろうか? 今、大人になった祐介君はどんな人生を歩んでいるのかなと考えた。
祐介君、大人になったあなたは、高校生の頃の夢を叶えましたか。それとももっと大きな夢を見つけましたか? 今、生きていて幸せですか……。
わたしは、大人になった祐介君に聞いてみたくなったのだ。
ねえ、わたしはどんな大人になると良いですか? これから先の人生の歩み方を教えてください。
「早乙女ちゃんどうしたの?」
「えっ? あ、亜子ちゃん」
亜子ちゃんの声に気づき顔を上げると不思議そうな顔でわたしを見ていた。
「何、ぼーっとしているのよ」
「えっと、亜子ちゃんのチョコレートケーキ美味しそうだなと思って」
「……早乙女ちゃんもチョコレートケーキ食べているじゃない。ちょっと早乙女ちゃんてばおかしいよ~」
「あ、そうだね。あはは、わたしもチョコレートケーキ食べているじゃん」
わたしは、自分の目の前に置かれたチョコレートケーキと亜子ちゃんの顔を交互に見て笑った。
祐介君のことやこれから先の人生のことを考えているうちに亜子ちゃんが目の前にいることを忘れていたなんて言えないではないか。
「最近の早乙女ちゃんはちょっと変だよ。まあ、元から変だけどさ」
亜子ちゃんはそう言って眉間に皺を寄せた。
「そっかな変じゃないよ~それと元から変だって酷いことを言うね」
わたしは、ちょっとむっとしながらチョコレートケーキを食べた。
「早乙女ちゃんのことを心配して言ったんだよ」
「そうだよね。亜子ちゃんごめんね。わたし、高校三年生になってからいろいろ考えてしまってね……」
「それは分かるよ。わたしもいろいろ考えてしまうもんね。きっと、クラスのみんなもそうだよね」
「わたし達って悩める年頃だよね」
「そうだよね」
わたし達はそう言ってお互いの顔を見た。亜子ちゃんの大きな澄んだ目を眺めていると、祐介君のことをそしてカフェノートのことを話したくなってきた。
「……ねえ、亜子ちゃん」
「うん? 何、早乙女ちゃん」
「……えっと、例えばの話なんだけどね。過去の世界にいる人とノートを通じて話すことが出来るとしたら何を聞きたい?」
亜子ちゃんの大きな目がより大きく見開かれた。やっぱり、おかしいことを言うなと思われているのだろうか?
そう思うと聞かなければ良かったかなと思った。
すると、亜子ちゃんは……。
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