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アルバイト(チラシ配り)
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「ねえ、亜子ちゃん、わたし達どうしてピンク色のポロシャツとミニスカート姿なのかな?」
「うん、わたしも疑問に思うよ。まあ、でもわたし達可愛いからね。お店の宣伝になるかもね」
黒髪を高い位置でポニーテールに結わえチラシを握りしめている亜子ちゃんが言った。
「まあね、わたしも亜子ちゃんも可愛いからチラシを配ることになったんだよね」
わたしは、黒髪を高い位置でツインテールに結わえチラシを握りしめながら言った。
そうなのだ。わたしと亜子ちゃんは奈央から呼び出されドーナツ屋でアルバイトをすることになったのだけど、なぜだか可愛い制服を着た販売員ではなく可愛いユニフォームを着てチラシを配る係りになっていた。
「こうなったらチラシを配りまくるぞ!」
「うん、チラシを配って配りまくろうね!」
わたしと亜子ちゃんはガッツポーズをして気合いを入れた。
「よろしくお願いしま~す! 新しくオープンしましたにこやかドーナツ屋さんで~す」
わたしは、最高の早乙女スマイルを浮かべながら道行く人にチラシを配ったのだけど、簡単には受け取ってくれない。
「あ~もう嫌になるよ~」
わたしは、思わず声に出してしまった。
だって、一時間くらいチラシを配り続けているというのにたったの十枚くらいしか受け取ってもらっていないのだ。
どんな仕事でも大変なのかなと思いチラシを配っていると、後ろからぽんといきなり背中を叩かれびっくりして「ひっ!」と声が出そうになった。
だけどこれは、チラシをくださいということなのかなと思い直し最高の早乙女スマイルを浮かべ振り返ったのだけど、後ろに立っていたのは奈央だった。
「あ、なんだ、奈央か、びっくりするじゃない」
わたしの早乙女スマイルがもったいないではないか。
「姉ちゃん、どうして怒っているんだよ。チラシ配りは苦戦してるみたいだね」
「……苦戦中だよ。っていうかどうして奈央は販売員でわたしは、チラシ配りなのよ?」
わたしは、ポロシャツにお店のロゴがプリントされたエプロンをつけている奈央を睨んだ。
「だって、俺は販売員の募集の応募をして受かったんだもん」
奈央は誇らしげに胸を張った。
「あっそ、それでどうしてわたしは、チラシ配りなのよ」
「店長がチラシ配りのアルバイトを探していたんだよ。だから、姉ちゃんと亜子さんを推薦したんだよ」
「……推薦しないでくれるかな」
「でも、高校生活最後の思い出として旅行に行きたいんだよね?」
奈央はそう言ってわたしの顔をじっと眺めた。
「うっ、それは……」
わたしは、言葉に詰まってしまった。
「良かったじゃん。チラシ配りのアルバイトが見つかって」
「……奈央、ムカつくんだけど」
「えっ? どうして? 姉ちゃんの夏の思い出のためにアルバイトを紹介してあげたのにさ!」
奈央は口元に手を当ててふふんと笑っている。
「頼んでいません!」
わたしは、悔しくて地団駄を踏んだ。
「姉ちゃん、頑張ってね」
「……奈央あんたって憎たらしい子だね」
「はぁ? なんでだよ。それはそうとチラシ配り苦戦中なんだよね。俺がチラシ配りの極意を教えてあげようか」
奈央はそう言ってニヤニヤと笑った。
「極意って奈央チラシなんて配ったことないよね?」
「ううん、姉ちゃん達が来る前に店長に配らされたんだよ。そしたらめちゃくちゃ受け取ってもらえたんだぜ」
奈央の奴は得意げに鼻を鳴らした。
「じゃあ、その極意とやらを見せてよ」
「うん、いいよ。奈央のチラシ配りをお見せしようではないか~」
わたしからチラシを受け取った奈央は街頭に立ち道行く人にチラシを配った。
「よろしくお願いしま~す! 新しくオープンしましたにこやかドーナツ屋さんで~す」と笑顔を浮かべたかと思うと、そのチラシを次から次へと受け取ってもらっているではないか。
信じられない、奈央にチラシ配りの才能があったなんて……。
「うん、わたしも疑問に思うよ。まあ、でもわたし達可愛いからね。お店の宣伝になるかもね」
黒髪を高い位置でポニーテールに結わえチラシを握りしめている亜子ちゃんが言った。
「まあね、わたしも亜子ちゃんも可愛いからチラシを配ることになったんだよね」
わたしは、黒髪を高い位置でツインテールに結わえチラシを握りしめながら言った。
そうなのだ。わたしと亜子ちゃんは奈央から呼び出されドーナツ屋でアルバイトをすることになったのだけど、なぜだか可愛い制服を着た販売員ではなく可愛いユニフォームを着てチラシを配る係りになっていた。
「こうなったらチラシを配りまくるぞ!」
「うん、チラシを配って配りまくろうね!」
わたしと亜子ちゃんはガッツポーズをして気合いを入れた。
「よろしくお願いしま~す! 新しくオープンしましたにこやかドーナツ屋さんで~す」
わたしは、最高の早乙女スマイルを浮かべながら道行く人にチラシを配ったのだけど、簡単には受け取ってくれない。
「あ~もう嫌になるよ~」
わたしは、思わず声に出してしまった。
だって、一時間くらいチラシを配り続けているというのにたったの十枚くらいしか受け取ってもらっていないのだ。
どんな仕事でも大変なのかなと思いチラシを配っていると、後ろからぽんといきなり背中を叩かれびっくりして「ひっ!」と声が出そうになった。
だけどこれは、チラシをくださいということなのかなと思い直し最高の早乙女スマイルを浮かべ振り返ったのだけど、後ろに立っていたのは奈央だった。
「あ、なんだ、奈央か、びっくりするじゃない」
わたしの早乙女スマイルがもったいないではないか。
「姉ちゃん、どうして怒っているんだよ。チラシ配りは苦戦してるみたいだね」
「……苦戦中だよ。っていうかどうして奈央は販売員でわたしは、チラシ配りなのよ?」
わたしは、ポロシャツにお店のロゴがプリントされたエプロンをつけている奈央を睨んだ。
「だって、俺は販売員の募集の応募をして受かったんだもん」
奈央は誇らしげに胸を張った。
「あっそ、それでどうしてわたしは、チラシ配りなのよ」
「店長がチラシ配りのアルバイトを探していたんだよ。だから、姉ちゃんと亜子さんを推薦したんだよ」
「……推薦しないでくれるかな」
「でも、高校生活最後の思い出として旅行に行きたいんだよね?」
奈央はそう言ってわたしの顔をじっと眺めた。
「うっ、それは……」
わたしは、言葉に詰まってしまった。
「良かったじゃん。チラシ配りのアルバイトが見つかって」
「……奈央、ムカつくんだけど」
「えっ? どうして? 姉ちゃんの夏の思い出のためにアルバイトを紹介してあげたのにさ!」
奈央は口元に手を当ててふふんと笑っている。
「頼んでいません!」
わたしは、悔しくて地団駄を踏んだ。
「姉ちゃん、頑張ってね」
「……奈央あんたって憎たらしい子だね」
「はぁ? なんでだよ。それはそうとチラシ配り苦戦中なんだよね。俺がチラシ配りの極意を教えてあげようか」
奈央はそう言ってニヤニヤと笑った。
「極意って奈央チラシなんて配ったことないよね?」
「ううん、姉ちゃん達が来る前に店長に配らされたんだよ。そしたらめちゃくちゃ受け取ってもらえたんだぜ」
奈央の奴は得意げに鼻を鳴らした。
「じゃあ、その極意とやらを見せてよ」
「うん、いいよ。奈央のチラシ配りをお見せしようではないか~」
わたしからチラシを受け取った奈央は街頭に立ち道行く人にチラシを配った。
「よろしくお願いしま~す! 新しくオープンしましたにこやかドーナツ屋さんで~す」と笑顔を浮かべたかと思うと、そのチラシを次から次へと受け取ってもらっているではないか。
信じられない、奈央にチラシ配りの才能があったなんて……。
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