113 / 134
109
しおりを挟む
入園式以来、伯父さんは本当に学校行事に一度も出なかった。
運動会も、発表会も、授業参観も。
入学式も、卒業式も、そして個人面談でさえも……
全部、僕の両親が代理で出席していた。
柊ちゃんを育てたのは、伯父さんじゃなかった。
ベビーシッターや家政婦さんが、赤ちゃんの頃から柊ちゃんの世話をしていたみたいだ。
伯父さんは柊ちゃんに、一度も触れた事がなくて……
だから、柊ちゃんは、母親や父親の温もりを知らないんだ。
伯父さんは会社の存続の為に、『跡取り』の道具としてしか、柊ちゃんを見ていなかった。
そんな中でも柊ちゃんは、常に学年トップの成績で、学級委員長をしたり、運動神経も良いから運動部でも引っ張りだこで。
近寄りがたい雰囲気だけど、カリスマ性があって人を引き寄せた。
優等生だったけど小学校の高学年から、だんだんと裏で悪い奴等とつるむようになってきた。
中学に上がる頃には、不良グループのリーダーになっていて。
心配で柊ちゃんの後をついていくうちに、俺も不良の仲間入りをしていた。
中学、高校と表では生徒会長、裏では不良のリーダーをしていて……
先生は噂を知ってたけれど、成績優秀で品行方正な姿に、噂を信じる大人はいなかった。
誰かが気付いて、止めてくれれば……
柊ちゃんは、今と違ったのかもしれないーーー
※ ※ ※ ※
暁は柊の過去を一通り話し終えると、冷めたカフェラテを飲み干した。
「柊ちゃんは男にも女にもすごくモテてたけど、特定の恋人は作らなかった。それに、誰かを好きになる事は、一度もなかったんだ。だから、柚希ちゃんを好きになった事を知った時は、正直すごく驚いたよ」
「そう……なんだ……」
「柊ちゃんが柚希ちゃんと初めて会った日に、酷い事したっていうのは……噂でなんとなく知っている……」
「…………」
俺がビッチだの、何股もしてるだのって……
そういう噂の方が圧倒的に多かった。
でも、一部では『レイプされた』って噂が、密やかに囁かれていた。
暁はその噂を、耳にしたのかもしれない。
「柊ちゃんの事、好きになってとか、許してほしいだなんて思わない……だけど、ほんの少しでいいから…………わかってほしい」
「…………」
暁の話を聞いた後、何も言葉が浮かばなかった……
お互いただ無言で、黙々と食事を食べ進め、周りの学生達の愉しげな声が、俺達の間に流れる重い沈黙を和らげてくれた。
柊は生まれた時から
ずっと独りぼっちで……
とても寂しい人だった。
何故俺を激しく求め、
縛りつけるのか……
なんとなく、わかった気がする。
柊は自分でも気付いてないけど、
俺に対して、母の愛を求めてるんだと思う。
子供みたいにいつも側にいたくて
俺の姿が見えないと不安で
本能で俺に、惹かれている。
欲しかった愛情が貰えなかったから……
本当の愛を知らないから……
愛を信じられず、
コントロールが出来なくて……
だから、俺を縛りつけて
執着がすごいんだ。
柊が俺にした事は、この先も許せない……
でも……
暁に言われた通り
わかってあげたいなって……
そして、柊の事を
もっと知りたいって思った。
運動会も、発表会も、授業参観も。
入学式も、卒業式も、そして個人面談でさえも……
全部、僕の両親が代理で出席していた。
柊ちゃんを育てたのは、伯父さんじゃなかった。
ベビーシッターや家政婦さんが、赤ちゃんの頃から柊ちゃんの世話をしていたみたいだ。
伯父さんは柊ちゃんに、一度も触れた事がなくて……
だから、柊ちゃんは、母親や父親の温もりを知らないんだ。
伯父さんは会社の存続の為に、『跡取り』の道具としてしか、柊ちゃんを見ていなかった。
そんな中でも柊ちゃんは、常に学年トップの成績で、学級委員長をしたり、運動神経も良いから運動部でも引っ張りだこで。
近寄りがたい雰囲気だけど、カリスマ性があって人を引き寄せた。
優等生だったけど小学校の高学年から、だんだんと裏で悪い奴等とつるむようになってきた。
中学に上がる頃には、不良グループのリーダーになっていて。
心配で柊ちゃんの後をついていくうちに、俺も不良の仲間入りをしていた。
中学、高校と表では生徒会長、裏では不良のリーダーをしていて……
先生は噂を知ってたけれど、成績優秀で品行方正な姿に、噂を信じる大人はいなかった。
誰かが気付いて、止めてくれれば……
柊ちゃんは、今と違ったのかもしれないーーー
※ ※ ※ ※
暁は柊の過去を一通り話し終えると、冷めたカフェラテを飲み干した。
「柊ちゃんは男にも女にもすごくモテてたけど、特定の恋人は作らなかった。それに、誰かを好きになる事は、一度もなかったんだ。だから、柚希ちゃんを好きになった事を知った時は、正直すごく驚いたよ」
「そう……なんだ……」
「柊ちゃんが柚希ちゃんと初めて会った日に、酷い事したっていうのは……噂でなんとなく知っている……」
「…………」
俺がビッチだの、何股もしてるだのって……
そういう噂の方が圧倒的に多かった。
でも、一部では『レイプされた』って噂が、密やかに囁かれていた。
暁はその噂を、耳にしたのかもしれない。
「柊ちゃんの事、好きになってとか、許してほしいだなんて思わない……だけど、ほんの少しでいいから…………わかってほしい」
「…………」
暁の話を聞いた後、何も言葉が浮かばなかった……
お互いただ無言で、黙々と食事を食べ進め、周りの学生達の愉しげな声が、俺達の間に流れる重い沈黙を和らげてくれた。
柊は生まれた時から
ずっと独りぼっちで……
とても寂しい人だった。
何故俺を激しく求め、
縛りつけるのか……
なんとなく、わかった気がする。
柊は自分でも気付いてないけど、
俺に対して、母の愛を求めてるんだと思う。
子供みたいにいつも側にいたくて
俺の姿が見えないと不安で
本能で俺に、惹かれている。
欲しかった愛情が貰えなかったから……
本当の愛を知らないから……
愛を信じられず、
コントロールが出来なくて……
だから、俺を縛りつけて
執着がすごいんだ。
柊が俺にした事は、この先も許せない……
でも……
暁に言われた通り
わかってあげたいなって……
そして、柊の事を
もっと知りたいって思った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる