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自分がわからない所で、柊が不穏な動きを見せている。
どこまでわかってる……
どんな動きをしてくる……
俺を……
確実に、俺を狙っている……
「柚希、手にすごい汗かいている……深呼吸して、頭空っぽにしよう」
ベッドの横で手を握ってくれている陽人が、心配しながら見守るように微笑んでいる。その笑顔は俺の強張った心を解して、明るい方へと導いてくれた。
静かな保健室に、スマホのバイブ音が鳴り響いた。
《柚希先輩、具合大丈夫ですか?征爾先輩から頼まれて、ファイルを作成しました。元気になった時にでも見てください》
大夢から生徒会のトークへ、暴行を加えられた生徒の、顔写真と名前をリストアップしたPDFファイルが送られてきた。
《それと……山崎が1年の男子生徒にセクハラしたみたいで……今日付けで、懲戒免職になりました》
「山崎が……不良達の暴行といい……何か関係あるのかな……」
顎に手を置いて陽人が考え込み、険しい表情で呟いた。
ファイルの写真を見ているうちに、ある共通点を見つけ出した。
「……こいつら、多分だけど……俺にしつこく付き纏ったり、襲おうとしてきた奴等だ……」
「柚希、本当?」
「全員の顔覚えてなくて、自信ないけど……多分、間違いない。それが共通点だとしたら、山崎も関係あるし……」
『俺も自分のオンナに触る奴、ぶっ殺してやりてぇわ』
その事に気付いた時、怒りに満ちた柊の言葉が、脳裏に蘇ってきた。
ーー俺に変な事しようとしただけで、ここまでされるんだ……陽人と付き合っている事がバレたら…………陽人が……陽人が危ない……
柊の執着ぶりにゾワリと全身が粟立ち、恐ろしくてカタカタと震え出す。
「柚希……またネガティブな事考えてるの?」
「えっ……」
「暗い顔になってる。柚希は笑ってる方が可愛いんだからさ。でも、他の奴に見せないでよ。みんな柚希を好きになっちゃうから」
「プハッ………陽人一回眼科行ってこいよ……んな事、ねぇから……」
「うん。やっぱり、柚希の笑ってる顔が一番好き」
「なんだよ、急に……そんな事、言うなよ……」
「嫌だ……今まで好きって言いたくても、言えなかったんだから。言いたくなったら、俺はいつでも言うよ。好きだよ、柚希」
「誰かに聞かれるだろ……」
「いいよ、聞かれたって。そんなの、構わない。俺は柚希を愛してる。何も、恥ずかしくないし、悪い事じゃない」
「陽人って……強いよな……」
「柚希以外の事は、強気かもね」
「俺が弱点なの?」
「そう。柚希がいないと、弱いかな。柚希がいれば、俺は強いよ。だから、柊なんかに絶対、渡さない」
「陽人……」
寝そべる俺に覆い被さるように、キスをしてきた。
暖かな陽に照らされたみたいに、唇から熱を帯びてくる。
「顔色、良くなってきたかも。もう少し休んだら、教室へ戻ろうか」
「んっ……」
目を細める陽人と見つめ合った後、トラバーチン模様の天井を眺めた。
この先、どうなるんだろう……
正直な話、不安だった。
むしろ、不安しかなかった。
それでも陽人みたいに前向きに考えて、
気持ちで負けちゃダメだって、
気持ちだけでも強く持たないとって……
ベッドに横たわりながら、弱く後ろ向きな自分を、鼓舞し奮い立たせた。
どこまでわかってる……
どんな動きをしてくる……
俺を……
確実に、俺を狙っている……
「柚希、手にすごい汗かいている……深呼吸して、頭空っぽにしよう」
ベッドの横で手を握ってくれている陽人が、心配しながら見守るように微笑んでいる。その笑顔は俺の強張った心を解して、明るい方へと導いてくれた。
静かな保健室に、スマホのバイブ音が鳴り響いた。
《柚希先輩、具合大丈夫ですか?征爾先輩から頼まれて、ファイルを作成しました。元気になった時にでも見てください》
大夢から生徒会のトークへ、暴行を加えられた生徒の、顔写真と名前をリストアップしたPDFファイルが送られてきた。
《それと……山崎が1年の男子生徒にセクハラしたみたいで……今日付けで、懲戒免職になりました》
「山崎が……不良達の暴行といい……何か関係あるのかな……」
顎に手を置いて陽人が考え込み、険しい表情で呟いた。
ファイルの写真を見ているうちに、ある共通点を見つけ出した。
「……こいつら、多分だけど……俺にしつこく付き纏ったり、襲おうとしてきた奴等だ……」
「柚希、本当?」
「全員の顔覚えてなくて、自信ないけど……多分、間違いない。それが共通点だとしたら、山崎も関係あるし……」
『俺も自分のオンナに触る奴、ぶっ殺してやりてぇわ』
その事に気付いた時、怒りに満ちた柊の言葉が、脳裏に蘇ってきた。
ーー俺に変な事しようとしただけで、ここまでされるんだ……陽人と付き合っている事がバレたら…………陽人が……陽人が危ない……
柊の執着ぶりにゾワリと全身が粟立ち、恐ろしくてカタカタと震え出す。
「柚希……またネガティブな事考えてるの?」
「えっ……」
「暗い顔になってる。柚希は笑ってる方が可愛いんだからさ。でも、他の奴に見せないでよ。みんな柚希を好きになっちゃうから」
「プハッ………陽人一回眼科行ってこいよ……んな事、ねぇから……」
「うん。やっぱり、柚希の笑ってる顔が一番好き」
「なんだよ、急に……そんな事、言うなよ……」
「嫌だ……今まで好きって言いたくても、言えなかったんだから。言いたくなったら、俺はいつでも言うよ。好きだよ、柚希」
「誰かに聞かれるだろ……」
「いいよ、聞かれたって。そんなの、構わない。俺は柚希を愛してる。何も、恥ずかしくないし、悪い事じゃない」
「陽人って……強いよな……」
「柚希以外の事は、強気かもね」
「俺が弱点なの?」
「そう。柚希がいないと、弱いかな。柚希がいれば、俺は強いよ。だから、柊なんかに絶対、渡さない」
「陽人……」
寝そべる俺に覆い被さるように、キスをしてきた。
暖かな陽に照らされたみたいに、唇から熱を帯びてくる。
「顔色、良くなってきたかも。もう少し休んだら、教室へ戻ろうか」
「んっ……」
目を細める陽人と見つめ合った後、トラバーチン模様の天井を眺めた。
この先、どうなるんだろう……
正直な話、不安だった。
むしろ、不安しかなかった。
それでも陽人みたいに前向きに考えて、
気持ちで負けちゃダメだって、
気持ちだけでも強く持たないとって……
ベッドに横たわりながら、弱く後ろ向きな自分を、鼓舞し奮い立たせた。
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