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可愛い子には旅をさせよ※《陵辱、精神的リョナ、トコロテン》
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はぁ……はぁ……はぁ……
真夏の太陽が照りつける、真っ昼間の街中。
裸足でタイル模様の歩道を無我夢中で走った。
足裏は小石や様々な破片を踏みつけ傷付き、その上軽く火傷している。
なのに、そんな痛みなんて、全く気にならなかった。
ーー柊(しゅう)が気付く前に、早く逃げきらなきゃ……
只々、あてのない道を無心でひたすら走り続けた。
◇
「今日は東京へ行くから、帰りは遅くなる」
「……わかった」
「柚希(ゆずき)の事、信用してるから……首輪はしないからな。逃げんなよ」
「……逃げない…から……」
朝から濃厚に口付けられる。
別れを惜しむような長いキスに、呼吸が苦しくて柊の胸を思わず叩いた。
涙目で咳き込みながら、ゼェゼェと苦しげに肩で息をしてると、柊はニヤリと笑いながら「俺はぜんぜん足りてないんだけど」と唾液で濡れた俺の唇を指で拭った。
再び軽くキスをすると、「いってくる」と言って柊は出掛けていった。
正午過ぎ、インターフォンが鳴った。
通話ボタンを押す。
セキュリティー会社の制服姿の男が、モニター越しに会釈をして挨拶を始めた。
どうやらセキュリティーのメンテナンス作業で全てのセキュリティーを一時的に切るらしい。この家の中の監視カメラもメンテナンスの対象で、切らせていただきますという説明だった。
ああ、そうなんだってぼんやりと考えた後、じわじわと胸がザワつき始めた。
ーーーー“チャンス”、なのでは?ーーーー
今、俺が逃げ出した所で、柊はすぐには気付かない。
柊が動き出す前に遠くまで逃げきれば、大丈夫なんじゃないのか。
そう答えが辿り着いた瞬間、
玄関の重い扉を開き、家を飛び出した。
勢いだけで飛び出して来たから、先の事や周りからの視線なんて気にしてなかった。
寧ろ、いろんな事を考えてしまってたら、あの家から飛び出すことなんて、きっと出来なかったと思う。
歩行者や隣を通り過ぎる車から、刺さるような視線を感じる。
それも、そうだろう。
夏とはいえ、身に付けてるのは白いワイシャツとボクサーパンツだけ。ワイシャツは大きいからシャツワンピにしか見えないけど、男の俺が着るには違和感がある。
それに、本来なら学校にいる筈の時間に、小柄な少年が裸足で歩いていれば、嫌でも目立ってしまう。
「君、どうしたの?」
ハザードを焚き、歩道に徐行しながら幅寄せをしてきたワンボックスカー。
青年が助手席の窓を開け、運転席から身を乗り出して声を掛けてきた。
この人に助けを求めれば、助かるかもしれない。
ただ、元々痴漢や変質者の被害にあっていた俺は、すぐに青年を信じる事が出来なかった。
「いきなり知らない人に声かけられて、信用できないかもしれないけど、あまりに君の様子が尋常じゃないから心配でさ」
青年は車から降りると、俺に近付いて話し掛けてきた。
俯いたまま、黙って男の話に耳を傾ける。
「何も知らない相手じゃ、信用出来ないよね」
青年はそう言うと、学生証を見せてきた。県内で唯一ある、医科大学に通ってるらしい。
車窓からはよく見えなかったけど、明るい所で見る青年は、清潔で真面目な出で立ちで、不審者というよりは好感を持てる青年だ。
それだけで信用した訳ではないけれど……
時間を費やす余裕なんてない状況に藁にもすがる気持ちで、青年の車の助手席へいそいそと乗り込んだ。
「話にくい事かもしれないけれど……柚希くんはなにか事件に巻き込まれてるの?」
青年の質問に答えられないでいる。
なんて答えるのが最適解か、わからない。
ワイシャツの裾をクシャリと掴んで、思考を巡らせる。
「警察へ……」
「警察は、やめてっ……!」
青年が話終える前に、言葉を遮った。
「家族に……知られたくないから……」
目を伏せて泣きそうな顔で懇願する俺を、黙ったまま青年は暫く見つめていた。
「…………そっか。じゃあ、君の行きたい所まで乗せてくよ」
「青葉(あおば)市まで。親友がいるんです……遠いけれど、大丈夫ですか?」
「友達の所に行けば、君は助かるんだね?」
「はい……」
「わかったよ」
“親友”ーーー
そう言葉にした時、脳裏には恋人の陽人(はると)の顔が思い浮かんでいた。
逢いたい……
陽人に逢いたい……
◇
「そこのサービスエリアに寄っていいかな?トイレに行きたくて、ずっと我慢してるんだ」
「すみません……大丈夫です」
サービスエリアに入り、車を停める。
エンジンをかけたまま、青年は勢いよく車から降りて、トイレへと走っていった。
俺に気遣って、トイレまで我慢させてしまったのかと思うと、青年に対して申し訳なく感じた。
静かな車内に勢いよく吹き出す、クーラーの音が少し煩い。
ナビに表示される時計が、刻々と過ぎていく。
青年はお腹を押さえていたから、時間が掛かってるのかもしれない。
コンコン……
助手席の窓をノックする音が聞こえて、音の方へと視線を向けた。
「ひっ……!」
ガラス越しでも、伝わってくる威圧感。
一言も喋らないまま、柊が車の横に立って覗き込んでいた。
無機質なガラスよりもずっと冷たく、怒気を孕んだ瞳に捉えられ、金縛りにあったみたいに動く事が出来なかった。
◇
柊は運転席の方へ向かい、ドアを開け静かに座った。
ロックを掛け、窓を開けると、外にいる青年と話し始めた。
「これ、俺の車の鍵。家の場所は知ってるよな?駐車場に停めておいて」
「わかりました、樋浦(ひうら)さん」
「お疲れ。これ、手間賃な」
柊が一万円札を何枚か渡すと、「あざっす」と青年は頭を下げて消えていった。
「行き先は、“青葉市”で良いんだよな?」
「ちが……家に……戻りたい……」
「遠慮するなよ……久々の地元だろ?」
「いい……帰る……」
「逃げ出して、真っ先に目指した場所なんだからさ……連れてってやるよ……」
地を這うような声で睨み付けられ、恐ろしくて声を出すことさえ出来なかった。
青葉市へ車が入ると、景色は懐かしい物へと変わって行った。
なんとなく見覚えのある公園、
子供の頃から何度も行ってるスーパー、
陽人と出逢った保育園……
次々と映し出される景色と想い出に、胸がチクチクと痛み出す。
「柊……どこへ……行くの?」
「見覚えあるだろ、この道」
「もう、十分だから…………帰ろう……」
「ここ、三年間歩いて通ってたんだな。もうすぐ、着くぜ」
目指してる先がどこだかわかると、心臓がバクバク脈打ち、冷や汗がダラダラと流れ落ちた。
懐かしい門構えと学び舎が視界に入ってくる。
学校沿いの道端の、金網スレスレの所へ車は停車した。
「へぇー。こんな時間から、部活やってるんだ」
「多分、特別日課で午前中授業なんだと思う……」
「懐かしいだろ?柚希の通ってた中学校。こっちのが、よく見えるから来いよ」
柊に腕を強引に引っ張られ、フルフラットになった後部座席に移動させられる。
窓から見える、その景色に引き寄せられた。
ーー陽人……
車の停めた位置で薄々は気付いていた。
金網越しとはいえ、サッカー部の様子が良く見える場所だ。
学校へ通っていた時は、当たり前に見ていた光景。
陽人を見に来てる、女子達からの黄色い声援。
次々と、陽人へと渡されるパス。
最後はお決まりのように、鮮やかに陽人が決めるシュート。
久々に見る陽人。
相変わらずかっこよくて、
キラキラ輝いていて……
太陽のような笑顔に、胸がキュンとして、
止めどなく愛しさが溢れてきた。
「陽人、かっこいいな」
陽人を毛嫌いしてる柊が、陽人の名前を口にしている。それだけじゃなくて、誉めている事に正直驚きを隠せない。
「おまえの、“元”恋人、既におまえの代わりがいるんじゃねぇの?」
「そんな事……やっ……」
後ろから抱きつかれ、耳にキスをされる。
そのまま、低い声で脳内に刻み込むように、柊は話を続けてきた。
「おまえがいなくなったって、辛くなさそうじゃん、陽人。楽しそうに、生き生きしてるぜ」
「やめ……」
聞きたくない言葉が、鋭利なナイフのように心を抉る。
柊は話ながら、厭らしく身体を弄り始めた。
「生徒会長で、サッカー部のエース……陽人、モテるんだろうな。友達だって沢山いるし。相手には困らねぇよな」
「やだ……あっ……」
闇雲に弄っていた手は狙いを定め、焦らすように胸元や太腿の内側を撫で始める。
「陰キャでボッチヤンキーの柚希とじゃ、釣り合わねーよ」
「聞きたくなっ……やっ、触んな…で……」
両手で胸を揉みしだきながら、シャツの越しに尖りに触れられる。
“釣り合わない”ーーー
そんな事は、自分が一番、良くわかってる……
幼馴染みで、たまたま近くにいたから選ばれたんだって。
恋人として付き合えた時、嬉しい反面、「俺でいいのかな」って……
不安でいっぱいだった。
でも、それでも……
陽人の『愛してる』って言葉だけ信じて、
心を奮い立たせていた。
「忘れろよ……自分が惨めになるだけだろ……」
「うっ、ひぐっ……」
柊の言葉に、涙がポロポロと勝手に零れ落ちてきた。
忘れられるなら、とっくに忘れてる。
柊に拉致監禁され、二度と目にする事なんてないと思っていた。
想い出さないように、心の奥に閉じ込めていた。
なのに、いざ陽人を目にしてしまうと、
次々と愛しさが込み上げてきて……
忘れるなんて、出来なかった。
「嗚咽上げて、泣いてんのに……こんなに乳首硬くさせて……おまえの身体は、俺を欲しがってるんだよ」
「やめっ、やだっ……!」
シャツごと摘ままれた乳首が、硬くなってるのが自分でもわかった。
否定しても、快楽を覚えた身体は勝手に反応してしまう。
「今だけあいつ見るの許すよ。もう、二度と逢わせるつもりはねぇしな……」
「や、ああっ……」
ボクサーパンツをずり下ろされ、緩く勃ち上がったぺニスをシャツごと擦られる。
カウパーで濡れたシャツが鈴口を刺激して、ぺニスは明確に硬さを増し、ますますカウパーが溢れ出した。
「すげー、ビチョビチョ。これなら、ローション必要ねぇな」
カウパーで濡れた指で、後孔に指を挿入し出し入れし始める。
最後までするんだってわかり、逃げようと身を捩った。
「や、こんなところで……やだ、ぃやだ……やめてっ……」
力の入らない身体、狭い車内ではそんな僅かな動きで逃げられる訳もなく……
指の本数は増え、性感帯を刺激する動きに、頭が痺れ甘い声が漏れ出す。
「いつもみたいに、気持ち良くなって、全部忘れちまえよ……」
「ああっーーー」
バックから貫くように、ぺニスを挿入される。
勢いにフラつき、窓に両手をついた。
「あぅ、やら、やめ、アァン……」
「厭らしい音……柚希のケツマンコ、吸い付くみたいに絡み付いてくる……俺ので感じて、身体ビクつかせて……本当、可愛いな……」
車内にはグチュグチュと卑猥な水音と肉のぶつかり合う音、メスのような甘い声で啼く俺の声が虚しく響く。
「あっ、アン、んっ、ァア……」
「柚希の感じる所、いっぱい擦ってやるからな……」
「アァ、そこばっか……やぁ……」
「すげー、うねる……イキそうなんだろ?イッていいよ……」
「あ、やら、アッ、出ちゃ……んんっ……」
狙ったように前立腺を攻め立てられ、呆気なく吐精した。
「はは……トコロテンしちゃったな……」
触れられる事なく、震えながら勢いのない白濁を鈴口から吐き出す。
「や、イッた……からっ……も、やめ……てぇ……」
吐精中、止まっていた抽挿は再開され、先程より激しさを増す。
入り口から前立腺、奥の俺の弱い所まで突き上げられ、強請るみたいに矯声が勝手に上がる。
「まだ、俺イッてないから……俺がイクまでの間、好きなだけイケよ……」
何度も穿たれ、何度も達した。
繰り返される絶頂に
頭は痺れ、ボロボロと涙が零れ……
虚ろな瞳には、愛しい人が映し出されていた。
明るい場所でキラキラと、
弾けるような笑顔は
夏の太陽より、ずっと輝いていて……
眩しくて、
眩しくて……
手が届きそうだけど、遠い場所で
俺と違う世界で、
彼は生きていた。
真夏の太陽が照りつける、真っ昼間の街中。
裸足でタイル模様の歩道を無我夢中で走った。
足裏は小石や様々な破片を踏みつけ傷付き、その上軽く火傷している。
なのに、そんな痛みなんて、全く気にならなかった。
ーー柊(しゅう)が気付く前に、早く逃げきらなきゃ……
只々、あてのない道を無心でひたすら走り続けた。
◇
「今日は東京へ行くから、帰りは遅くなる」
「……わかった」
「柚希(ゆずき)の事、信用してるから……首輪はしないからな。逃げんなよ」
「……逃げない…から……」
朝から濃厚に口付けられる。
別れを惜しむような長いキスに、呼吸が苦しくて柊の胸を思わず叩いた。
涙目で咳き込みながら、ゼェゼェと苦しげに肩で息をしてると、柊はニヤリと笑いながら「俺はぜんぜん足りてないんだけど」と唾液で濡れた俺の唇を指で拭った。
再び軽くキスをすると、「いってくる」と言って柊は出掛けていった。
正午過ぎ、インターフォンが鳴った。
通話ボタンを押す。
セキュリティー会社の制服姿の男が、モニター越しに会釈をして挨拶を始めた。
どうやらセキュリティーのメンテナンス作業で全てのセキュリティーを一時的に切るらしい。この家の中の監視カメラもメンテナンスの対象で、切らせていただきますという説明だった。
ああ、そうなんだってぼんやりと考えた後、じわじわと胸がザワつき始めた。
ーーーー“チャンス”、なのでは?ーーーー
今、俺が逃げ出した所で、柊はすぐには気付かない。
柊が動き出す前に遠くまで逃げきれば、大丈夫なんじゃないのか。
そう答えが辿り着いた瞬間、
玄関の重い扉を開き、家を飛び出した。
勢いだけで飛び出して来たから、先の事や周りからの視線なんて気にしてなかった。
寧ろ、いろんな事を考えてしまってたら、あの家から飛び出すことなんて、きっと出来なかったと思う。
歩行者や隣を通り過ぎる車から、刺さるような視線を感じる。
それも、そうだろう。
夏とはいえ、身に付けてるのは白いワイシャツとボクサーパンツだけ。ワイシャツは大きいからシャツワンピにしか見えないけど、男の俺が着るには違和感がある。
それに、本来なら学校にいる筈の時間に、小柄な少年が裸足で歩いていれば、嫌でも目立ってしまう。
「君、どうしたの?」
ハザードを焚き、歩道に徐行しながら幅寄せをしてきたワンボックスカー。
青年が助手席の窓を開け、運転席から身を乗り出して声を掛けてきた。
この人に助けを求めれば、助かるかもしれない。
ただ、元々痴漢や変質者の被害にあっていた俺は、すぐに青年を信じる事が出来なかった。
「いきなり知らない人に声かけられて、信用できないかもしれないけど、あまりに君の様子が尋常じゃないから心配でさ」
青年は車から降りると、俺に近付いて話し掛けてきた。
俯いたまま、黙って男の話に耳を傾ける。
「何も知らない相手じゃ、信用出来ないよね」
青年はそう言うと、学生証を見せてきた。県内で唯一ある、医科大学に通ってるらしい。
車窓からはよく見えなかったけど、明るい所で見る青年は、清潔で真面目な出で立ちで、不審者というよりは好感を持てる青年だ。
それだけで信用した訳ではないけれど……
時間を費やす余裕なんてない状況に藁にもすがる気持ちで、青年の車の助手席へいそいそと乗り込んだ。
「話にくい事かもしれないけれど……柚希くんはなにか事件に巻き込まれてるの?」
青年の質問に答えられないでいる。
なんて答えるのが最適解か、わからない。
ワイシャツの裾をクシャリと掴んで、思考を巡らせる。
「警察へ……」
「警察は、やめてっ……!」
青年が話終える前に、言葉を遮った。
「家族に……知られたくないから……」
目を伏せて泣きそうな顔で懇願する俺を、黙ったまま青年は暫く見つめていた。
「…………そっか。じゃあ、君の行きたい所まで乗せてくよ」
「青葉(あおば)市まで。親友がいるんです……遠いけれど、大丈夫ですか?」
「友達の所に行けば、君は助かるんだね?」
「はい……」
「わかったよ」
“親友”ーーー
そう言葉にした時、脳裏には恋人の陽人(はると)の顔が思い浮かんでいた。
逢いたい……
陽人に逢いたい……
◇
「そこのサービスエリアに寄っていいかな?トイレに行きたくて、ずっと我慢してるんだ」
「すみません……大丈夫です」
サービスエリアに入り、車を停める。
エンジンをかけたまま、青年は勢いよく車から降りて、トイレへと走っていった。
俺に気遣って、トイレまで我慢させてしまったのかと思うと、青年に対して申し訳なく感じた。
静かな車内に勢いよく吹き出す、クーラーの音が少し煩い。
ナビに表示される時計が、刻々と過ぎていく。
青年はお腹を押さえていたから、時間が掛かってるのかもしれない。
コンコン……
助手席の窓をノックする音が聞こえて、音の方へと視線を向けた。
「ひっ……!」
ガラス越しでも、伝わってくる威圧感。
一言も喋らないまま、柊が車の横に立って覗き込んでいた。
無機質なガラスよりもずっと冷たく、怒気を孕んだ瞳に捉えられ、金縛りにあったみたいに動く事が出来なかった。
◇
柊は運転席の方へ向かい、ドアを開け静かに座った。
ロックを掛け、窓を開けると、外にいる青年と話し始めた。
「これ、俺の車の鍵。家の場所は知ってるよな?駐車場に停めておいて」
「わかりました、樋浦(ひうら)さん」
「お疲れ。これ、手間賃な」
柊が一万円札を何枚か渡すと、「あざっす」と青年は頭を下げて消えていった。
「行き先は、“青葉市”で良いんだよな?」
「ちが……家に……戻りたい……」
「遠慮するなよ……久々の地元だろ?」
「いい……帰る……」
「逃げ出して、真っ先に目指した場所なんだからさ……連れてってやるよ……」
地を這うような声で睨み付けられ、恐ろしくて声を出すことさえ出来なかった。
青葉市へ車が入ると、景色は懐かしい物へと変わって行った。
なんとなく見覚えのある公園、
子供の頃から何度も行ってるスーパー、
陽人と出逢った保育園……
次々と映し出される景色と想い出に、胸がチクチクと痛み出す。
「柊……どこへ……行くの?」
「見覚えあるだろ、この道」
「もう、十分だから…………帰ろう……」
「ここ、三年間歩いて通ってたんだな。もうすぐ、着くぜ」
目指してる先がどこだかわかると、心臓がバクバク脈打ち、冷や汗がダラダラと流れ落ちた。
懐かしい門構えと学び舎が視界に入ってくる。
学校沿いの道端の、金網スレスレの所へ車は停車した。
「へぇー。こんな時間から、部活やってるんだ」
「多分、特別日課で午前中授業なんだと思う……」
「懐かしいだろ?柚希の通ってた中学校。こっちのが、よく見えるから来いよ」
柊に腕を強引に引っ張られ、フルフラットになった後部座席に移動させられる。
窓から見える、その景色に引き寄せられた。
ーー陽人……
車の停めた位置で薄々は気付いていた。
金網越しとはいえ、サッカー部の様子が良く見える場所だ。
学校へ通っていた時は、当たり前に見ていた光景。
陽人を見に来てる、女子達からの黄色い声援。
次々と、陽人へと渡されるパス。
最後はお決まりのように、鮮やかに陽人が決めるシュート。
久々に見る陽人。
相変わらずかっこよくて、
キラキラ輝いていて……
太陽のような笑顔に、胸がキュンとして、
止めどなく愛しさが溢れてきた。
「陽人、かっこいいな」
陽人を毛嫌いしてる柊が、陽人の名前を口にしている。それだけじゃなくて、誉めている事に正直驚きを隠せない。
「おまえの、“元”恋人、既におまえの代わりがいるんじゃねぇの?」
「そんな事……やっ……」
後ろから抱きつかれ、耳にキスをされる。
そのまま、低い声で脳内に刻み込むように、柊は話を続けてきた。
「おまえがいなくなったって、辛くなさそうじゃん、陽人。楽しそうに、生き生きしてるぜ」
「やめ……」
聞きたくない言葉が、鋭利なナイフのように心を抉る。
柊は話ながら、厭らしく身体を弄り始めた。
「生徒会長で、サッカー部のエース……陽人、モテるんだろうな。友達だって沢山いるし。相手には困らねぇよな」
「やだ……あっ……」
闇雲に弄っていた手は狙いを定め、焦らすように胸元や太腿の内側を撫で始める。
「陰キャでボッチヤンキーの柚希とじゃ、釣り合わねーよ」
「聞きたくなっ……やっ、触んな…で……」
両手で胸を揉みしだきながら、シャツの越しに尖りに触れられる。
“釣り合わない”ーーー
そんな事は、自分が一番、良くわかってる……
幼馴染みで、たまたま近くにいたから選ばれたんだって。
恋人として付き合えた時、嬉しい反面、「俺でいいのかな」って……
不安でいっぱいだった。
でも、それでも……
陽人の『愛してる』って言葉だけ信じて、
心を奮い立たせていた。
「忘れろよ……自分が惨めになるだけだろ……」
「うっ、ひぐっ……」
柊の言葉に、涙がポロポロと勝手に零れ落ちてきた。
忘れられるなら、とっくに忘れてる。
柊に拉致監禁され、二度と目にする事なんてないと思っていた。
想い出さないように、心の奥に閉じ込めていた。
なのに、いざ陽人を目にしてしまうと、
次々と愛しさが込み上げてきて……
忘れるなんて、出来なかった。
「嗚咽上げて、泣いてんのに……こんなに乳首硬くさせて……おまえの身体は、俺を欲しがってるんだよ」
「やめっ、やだっ……!」
シャツごと摘ままれた乳首が、硬くなってるのが自分でもわかった。
否定しても、快楽を覚えた身体は勝手に反応してしまう。
「今だけあいつ見るの許すよ。もう、二度と逢わせるつもりはねぇしな……」
「や、ああっ……」
ボクサーパンツをずり下ろされ、緩く勃ち上がったぺニスをシャツごと擦られる。
カウパーで濡れたシャツが鈴口を刺激して、ぺニスは明確に硬さを増し、ますますカウパーが溢れ出した。
「すげー、ビチョビチョ。これなら、ローション必要ねぇな」
カウパーで濡れた指で、後孔に指を挿入し出し入れし始める。
最後までするんだってわかり、逃げようと身を捩った。
「や、こんなところで……やだ、ぃやだ……やめてっ……」
力の入らない身体、狭い車内ではそんな僅かな動きで逃げられる訳もなく……
指の本数は増え、性感帯を刺激する動きに、頭が痺れ甘い声が漏れ出す。
「いつもみたいに、気持ち良くなって、全部忘れちまえよ……」
「ああっーーー」
バックから貫くように、ぺニスを挿入される。
勢いにフラつき、窓に両手をついた。
「あぅ、やら、やめ、アァン……」
「厭らしい音……柚希のケツマンコ、吸い付くみたいに絡み付いてくる……俺ので感じて、身体ビクつかせて……本当、可愛いな……」
車内にはグチュグチュと卑猥な水音と肉のぶつかり合う音、メスのような甘い声で啼く俺の声が虚しく響く。
「あっ、アン、んっ、ァア……」
「柚希の感じる所、いっぱい擦ってやるからな……」
「アァ、そこばっか……やぁ……」
「すげー、うねる……イキそうなんだろ?イッていいよ……」
「あ、やら、アッ、出ちゃ……んんっ……」
狙ったように前立腺を攻め立てられ、呆気なく吐精した。
「はは……トコロテンしちゃったな……」
触れられる事なく、震えながら勢いのない白濁を鈴口から吐き出す。
「や、イッた……からっ……も、やめ……てぇ……」
吐精中、止まっていた抽挿は再開され、先程より激しさを増す。
入り口から前立腺、奥の俺の弱い所まで突き上げられ、強請るみたいに矯声が勝手に上がる。
「まだ、俺イッてないから……俺がイクまでの間、好きなだけイケよ……」
何度も穿たれ、何度も達した。
繰り返される絶頂に
頭は痺れ、ボロボロと涙が零れ……
虚ろな瞳には、愛しい人が映し出されていた。
明るい場所でキラキラと、
弾けるような笑顔は
夏の太陽より、ずっと輝いていて……
眩しくて、
眩しくて……
手が届きそうだけど、遠い場所で
俺と違う世界で、
彼は生きていた。
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どうもですー!リクエストした訳じゃないけど読みました。
あっちの方(陽のあたる場所)の陽人の甘々な感じもいいですが、この鬼畜な柊も性別にドストライクで最高です…
やっぱりいいですね( ^ω^ )
わーせわーなー様
大変遅くなって申し訳ございません💦通知設定のミスで先程気付きましたm(__)m💦
こちらの作品も読んで下さり、また感想までいただきましてありがとうございます✨
甘々な陽人と鬼畜な柊。
双方を楽しんでいただけて、嬉しいです。
励みになります✨ありがとうございました🙇