鏡の中の娼年 ～不幸で性格の悪い俺が、スパダリの親友に溺愛されるようになるまでの話～

報告書

  優雅な音楽が流れる、ゆったりとした造りのホテルのラウンジ。
  一面ガラス張りの開放的な窓に、目隠しで植えられてる庭木の緑が目に優しい。
  座り心地の良い一人掛けのソファーと、艶やかでシックな木製のテーブル。
  高級なホテルだけあって、騒がしい客は居らず静かで落ち着く。

  ホットのカフェオレとクリームソーダが並んだテーブルに、A4サイズの水色の封筒が置かれる。
  向かい側には、AHGのサブリーダー、橋下(はしもと)が座っていた。



「暁さんに頼まれてたやつ、探偵雇って調べさせました。その報告書っす」



  封筒から書類を出し、目を通しながら、橋下に話を聞く。



「これで、間違いない？」

「手下の奴にも探らせて、間違いないって事でした」

「ありがとう、助かる。橋下にチームの事、任せっきりなのに……わがまま聞いてくれて、本当にありがとう……」

「暁さんのわがままは、わがままじゃないっす。俺の方こそ、暁さんに返せないくらい助けてもらってるし。すげー、感謝してます」

「ふふっ、何もしてないよ。また、暫くチームの事任せちゃうと思うけど……頼むね」



  橋下は「構わねぇっすよ」と歯を見せながら大きく笑うと、美味しそうにクリームソーダのアイスクリームをスプーンで掬って食べていた。