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焦る心

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※  ※  ※  ※



  ーー本当、長いようで早かったな……あれから、4年か……



  初出勤の日から、俺は連続No.1の記録を更新し続けた。
  あの頃と違うのは、腕に柊とおそいのタトゥーを入れて、耳にたくさんピアスをして。
  髪は柊に初めて貰った、薔薇と同じピンク色をしていた。

  6月の上旬。まだ梅雨入りはしてないけれど、なんとなくグズついた天気が続く。



  17歳の誕生日から、3ヶ月以上の月日が流れていた。






「…………でねぇ、ヤスさんたら、酷いんだよー」

「…………」

「俺、辛いの苦手なのに、激辛カレー頼んで、甘口だって騙したさぁ」

「…………」

「知らないから、食べちゃって。そしたら、メチャクチャ辛くて。震えて涙ぐんでたら、面白がって動画撮って笑ってるし……」

「…………」

「柊…………俺の話……聞いてる?」

「…………悪ぃ、聞いてない。そろそろ、帰るわ」

「まだ、時間あるでしょ?帰らないでよ!」

「悪いな……マジで忙しいんだよ……」

「何で、忙しいの?何、してるの?……最近、変だよ……」

「あー……まっ、いろいろと」

「じゃあ、電話は、出てよ」

「俺だって、出られねー時とか、あるし……」

「前は、何があっても、出てくれたじゃん!」

「仕方ねぇだろ、忙しいんだよ…………時間ないないから、帰るわ……」

「やだっ!待って!」



  無情にも、バタンと乾いたドアの閉まる音だけを残し、柊は部屋から出て行った。

  サイドテーブルへ置いた、スマホを手に取り電話を掛ける。



「暁…………柊が……怒って帰っちゃった……うっ、うぐっ……うぅっ…………」



  柊がホテルに来ている間、外に出掛けてくれている暁に電話する。



『わかった。すぐ戻るよ』



  その言葉通り、暁はすぐに帰って来て、泣きじゃくる俺を抱きしめてくれた。
  ここのところ、柊と逢っても喧嘩ばかり……
  その度に、暁が慰めてくれた。



「なんか、最近……柊が変なんだよ……すごく、冷たいし……暁は、何か知ってる?」

「…………ごめんね。僕も、知らないんだ……ごめん」

「知らないなら、いい…………謝るなよっ……ひっ、うぅっ……」

「ごめん…………美玲、ごめんね……」



  何故だか暁は苦しそうな顔で、何度も俺に謝ってきた。


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