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娼年※ ~美玲 side~

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  薄明かりの部屋の中、男の唇が少年の白い肌の上を、ねっとりと蛞蝓のように厭らしく這う。

  時々漏れるハスキーな甘い声と、ピチャピチャとした卑猥な水音に、男の興奮した息遣いが絡み付いた。



「あぁ……綺麗だよ……レイ……」

「気持ち…イイ……誠さん……もっと、優しく舐めて…………触れるか触れないかの、優しいくらいがすごく気持ちいいんだよ……
……ねっとりと、焦らすように、愛撫して……」

「ごめんね、レイ……夢中になっちゃって……レイが気持ちよくなれるように、優しくしてあげるよ……」

「あ、んんっ……ちくびに……誠さんの、熱い息がかかって……気持ちいっ……あっ、やん……」

「可愛い声だ……ツンっと乳首を立てて、蕩けた顔をして……」

「こんな顔、誠さんにしか、見せてないんだからね……
……でも…あんまり、見ないで…………恥ずかしいっ……」

「本当に、おまえは…………可愛いな……」

「やっ、んっ……強く、吸わないでぇ……」






  コースは90分。
  残り時間は、あと40分くらい。
  たっぷり攻めさせてやったから、もう十分だろう。
  そろそろ、俺が主導権を握らないと。

  今日も予約で枠は全て完売し、お陰様で“満員御礼”。

  だから、時間が押すなんて事は、許されない。

  キスをして、全身リップして、フェラをして。
  正常位でキスをしながらの、フィニッシュ。



「レイ……今日も、最高だったよ……気持ちよかった……」

「俺も、すごくよかったぁ……誠さんとは、相性が良すぎて……
誠さんとシてる時は、仕事の事、忘れちゃう」

「レイは口が上手いな……」

「嘘じゃないよ……誠さんといる時は、“レイ”じゃなくて……本当の“俺”だから……」

「可愛い奴……」

「まことさん……」



  男の名前を呼び、熱っぽい目で見つめ、手に指を絡める。
  男は目の色を変え、貪るように口付けて来た。



  こいつは射精した後に、だらだらとベッドでイチャつき、恋人気分を味わいたいタイプだ。
  濃厚なセックスより、寧ろこっちが好みだ。

  ベッドでイチャイチャ、バスタブでは抱き合って、ソファで沢山キスをする……



  タイマーが鳴り、プレイ時間は終了。
  男は名残惜しそうに玄関までついてきて、ドアノブを握る俺を寂しそうに見つめる。

  突然、後ろを振り向き、不意打ちで男の胸に抱き付いた。
  男は驚きながらも、俺の背中に腕を回し、抱きしめてきた。



「レイ……」

「誠さんと、離れたくない……」



  眉尻を下げ、潤んだ上目遣いで男を見て、鼻にかかった声で可愛く甘える。



「……そんな可愛い顔をされたら……帰したくなくなる……」

「このまま……一緒に、いたい…………」



  時間終了を知らせる着信音が、無情にも鳴り響く。



「…………呼ばれちゃった……」



  切なげに涙声で言うと、男の腕に力が入る。



「受付中の予約は、全て完売しているんだろう?」

「うん……」

「来週の水曜、枠を押さえておいてくれないか?」

「少ししか、会えないんでしょ?」

「次は全枠買うよ。デートもしよう。最近出来た、三つ星のレストランの個室を予約しておく」

「本当?すっごく、嬉しいっ」



  来週の指名は、確定。
  しかも、貸し切り。



  ーー相変わらず、チョロい奴……



  来週はこいつの給料日。
  オプションをいっぱい付けて、チップもたんまり貰わなきゃ。



「誠さん、大好きっ」



  触れるだけの軽いキスをすると、男は鼻の下をだらしなく伸ばして、間抜けな顔になった。


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