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~エピローグ~

~本の最後のページ~

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カノンと美桜がそれぞれの国に戻り、空いた時間の中で不思議な体験を思い返すように日記やおまじないの本を見返していると、おまじないの本の最後のページにたどり着いた。

日本にある本にはアルストロメリア王国の古代文字が。
一方でアルストロメリア王国にある本には英文字が書かれていた。

二人はおまじないの本の解読をしている時は読めなかった文字が、お互いの国の文字を猛勉強していた事もあり、読み解けるようになっていた。

おまじないの本の最後のページ。

『なんとも不思議だ。

わたしは不思議な体験をした。

故にこの体験を書き記す。

人生一番つまらないときに唱えると奇跡が起きる。

たしかに奇跡は起きた。

見知らぬ異界の者と入れ替わり見知らぬ世界での生活。

じつに身の為になる経験だ。

入れ替わった理由は私とアノ者の境遇が似ており、同じ時間に同じおまじないをした。

その結果入れ替わりが起きた。

だが私は私のいた世界に戻れはしない。

本の効力が消えてしまった。

どうやら三度しか入れ替われないらしい。

私は自分の国ではない、見知らぬこの世界で生きて行く。

世界に失望し、自分らしさを失っていたあの時、きっかけをくれたこの本には感謝をしている。

それと同時に不安もある。

だが、あの頃のように絶望はしていない。

自分の人生とは何か。

何の目的で生きているのか。

わかったような、わからないような。

だが、一つだけわかった事がある。

私は私らしく生きていく。

それを見失わない限り『人生つまらない』その考えから一瞬でも抜け出せる時がある。

この本を手に取った者よ。

どういう経緯で手に伝ったかはわからぬが、そなたもきっと、『つまらない』、そう思った事だろう。

何をしても、何を思ってもうまくいかない事もあろう。

だが、結局は道を開くのは自分しかいないのだ。

自分を見失うでない…。
でなければ…あの世界から抜け出せなくなるぞ。

混沌の…何もない、自分の心の世界…。

幸いにも、私には気付かせてくれた友がいた。

入れ替わった友だ。

その者のおかげであの空虚な世界から抜け出せた。

あの者は抜け出せただろうか…。

もはや知る術はない。

なんとも不思議な力を持った者だった。

いろんな物を生み出したり…いや、予言をしていたかな…。

もう、意識が溶け込んで、過去の自分は何をしていたのか分からなくなってきている。

それでも私らしくありたいと願う。

それをこれからも探していこうと思う。

そなた達は、私のように意識が溶け込む…なんて事がないように願っている。

これはいわば呪いで、精霊のいたずらかもしれぬ。

長々と書いてしまったが…
どうか…自分の道を踏み外すことなく、真っ直ぐに前を見て生きて欲しい。

この本が…正しく使われる事を願っている。』



~エンドロール~

キャスト
アルストロメリア王国の人物

カノン・グレイス・フローライト(主人公)
オリヴァー・グレイス・フローライト(父)
スリジエ・グレイス・フローライト(母)
フロックス・グレイス・フローライト(兄)
サントリナ・グレイス・フローライト(姉)
リリー(使用人)
カクタス(執事)
サーラ(仕立て屋)
ロドニー(鍛冶職人)
ウッド(建築家)
ハンプス(アザレアの市長)
ノーマン・レイン・アルストロメリア(物作り大好きな昔の国王)
ライラック・レイン・アルストロメリア(現在の皇太子・カノンの婚約者)
アイリス・フォン・カーネリアン(カノンの令嬢友達・侯爵家・ライラックの幼馴染)
ジェード(フローライト家の男性用心棒)
シェル(フローライト家の女性用心棒)
アルストロメリア王国の国民
リーデル子爵(大罪人)

現代日本
一ノ瀬 美桜(主人公)
一ノ瀬 結:ゆい(母)
一ノ瀬 徹:とおる(父)
一ノ瀬 要:かなめ(兄)
原 いのり(中学からの美桜の親友)
峰岸 雅(美桜の恋人)
鳴宮(母の高校からの親友で社長)
月(占い師)
柊(空手部の主将)
風音(療養施設の院長・元ピアニスト)
現代日本の国民

原作者:桜庵

スポンサー:読者の皆様

皆様、ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
長い物語を購読…お疲れ様でございました。

皆様に読んで頂いているという事を励みに、ここまで書き上げる事が出来ました。
処女作な為、大変お見苦しい表現やつたない表現があった事と思います。

それでも読んで頂いた事、本当に感謝しております。

また何かの作品でお会い出来たら幸いです。
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